投資スタイルの「固執」は武器だ:コロコロ手法を変える人が負ける中、一度決めたルール(S&P500積立など)を絶対に変えないASDの頑固さが勝因になった話

「頑固すぎる」と言われ続けた僕が、3,400万円を築けた理由
「りゅうぞうって、本当に頑固だよね」
これ、僕が人生で何百回と言われてきた言葉です。
学校でも、職場でも、そして家庭でも。「もう少し柔軟になれないの?」「臨機応変に対応しなよ」と、何度言われたか分かりません。
正直に言うと、その度に傷ついてきました。
でもね、38歳になった今、はっきり言えることがあります。
この「頑固さ」のおかげで、僕は3,400万円の資産を築くことができました。
しかも、僕は計算が大の苦手です。暗算なんて、3桁の足し算すら怪しい。書類を書くのも一苦労。ASD(自閉スペクトラム症)とSLD(限局性学習症)という2つの障がいを持っている僕が、なぜ資産形成に成功できたのか。
答えはシンプルです。
「一度決めたルールを、絶対に変えなかった」から。
今日は、僕の11年間の投資人生を振り返りながら、ASDの「同一性保持」という特性が、なぜ資産形成において最強の武器になるのかをお話しします。
コロコロと投資手法を変えて迷子になっている方、計算が苦手で投資を諦めている方、そして「自分の特性なんて役に立たない」と思っている方へ。
あなたの「頑固さ」は、眠れる才能かもしれません。
計算が苦手な僕が投資を始めた日—「これなら僕にもできる」と確信した瞬間
27歳、診断後の模索期
27歳で発達障害の診断を受けた僕は、その後しばらく「自分に何ができるのか」を必死に探していました。
会社での評価は相変わらず低い。暗黙の了解が読めなくてトラブルを起こす。急な予定変更でパニックになる。そんな日々の中で、ふと思ったんです。
「将来、この働き方を続けられるんだろうか」
不安でした。でも、不安がっているだけじゃ何も変わらない。だから、お金の勉強を始めました。
最初の壁:投資本が読めない
書店で投資の本を手に取りました。でも、開いた瞬間に絶望しました。
数字だらけ。計算式だらけ。グラフだらけ。
「PERが15倍以下で、PBRが1倍未満で、ROEが10%以上の銘柄を…」
正直、何を言っているのか全く分かりませんでした。
SLDの特性で、数字を見ると頭がフリーズするんです。3桁以上の数字が並ぶと、もう意味不明な記号にしか見えない。
「やっぱり僕には無理なのかな」
そう思いかけた時、一冊の本に出会いました。
運命の出会い:「シンプルに積み立てるだけ」
その本には、こう書いてありました。
「毎月同じ金額を、同じ投資信託に、淡々と積み立てる。それだけでいい」
え、それだけ?
計算いらないの?
銘柄分析しなくていいの?
タイミングを見計らわなくていいの?
「インデックス投資」という手法でした。
具体的には、S&P500(アメリカの代表的な500社の株価指数)に連動する投資信託を、毎月一定額買い続けるだけ。
これなら、僕にもできる。
いや、これは「僕だからこそ」できるんじゃないか?
そう確信した瞬間を、今でも鮮明に覚えています。
ASDの「同一性保持」が投資で最強な理由—僕が11年間ルールを変えなかった話
「同一性保持」って何?
ここで少し専門的な話をさせてください。
同一性保持(どういつせいほじ)とは、ASDの特性の一つで、「いつも同じであることに安心感を覚え、変化を極端に嫌う」という傾向のことです。
例えば、僕の場合はこんな感じ:
- 毎朝同じ時間に起きないと落ち着かない
- 同じ道順で通勤しないと不安になる
- 急な予定変更があるとパニックになる
- 一度決めたことを変えるのが苦痛
これ、日常生活では正直「困りごと」として扱われることが多いです。
「もっと柔軟に」「臨機応変に」と言われ続けてきました。
でも、投資の世界では、この特性が真逆の評価を受けるんです。
投資で「コロコロ変える人」が負ける理由
投資の世界には、こんな格言があります。
「売ったり買ったりを繰り返す人は、市場の養分になる」
これ、本当なんです。
統計的に見ても、個人投資家の大多数が市場平均に負けています。その原因の一つが、「手法をコロコロ変えること」。
例えば、こんなパターン:
- 「S&P500の積立がいいらしい」と始める
- 3ヶ月後、下落して不安になる
- 「やっぱり日本株の方がいいかも」と乗り換える
- また下落、今度は「仮想通貨が熱い」と聞いて手を出す
- 大暴落で大損
これ、笑い話じゃないんです。多くの人が実際にやってしまう。
人間は本能的に、変化を求めてしまう生き物だから。
「もっといい方法があるんじゃないか」「このままでいいのか」という不安が、余計な行動を誘発します。
僕の11年間:何があっても「変えなかった」
僕がS&P500の積立を始めたのは、27歳の時でした。
その後の11年間で、何度も「変えたくなる誘惑」がありました。
2020年、コロナショック 3月、世界中の株価が大暴落。僕の資産も一時的に30%以上目減りしました。
TwitterやYouTubeでは「今すぐ売れ」「株はもう終わりだ」という声であふれていました。
妻からも「大丈夫なの?」と心配されました。
でも、僕は積立を続けました。
理由は単純です。「一度決めたルールを変えたくなかった」から。
ASDの僕にとって、ルールを変えることの方がストレスなんです。暴落で資産が減るストレスよりも、「自分で決めたことを曲げる」ストレスの方が大きい。
だから、淡々と積立を続けた。
結果、2020年後半から株価は急回復。むしろ、暴落時に買い続けたおかげで、資産は大きく増えました。
2022年、利上げショック アメリカの金利引き上げで、再び株価が下落。
「もう積立投資は時代遅れだ」「今は債券の時代だ」という声が溢れました。
でも、僕は変えなかった。
2024年、日本株ブーム 「日経平均が最高値更新!日本株の時代が来た!」
周りの人は、こぞって日本株に乗り換えていきました。
でも、僕は変えなかった。
結果:3,400万円の資産
11年間、毎月同じ金額を、同じ投資信託に、淡々と積み立て続けた結果。
総資産は3,400万円になりました。そのうち90%が株式です。
特別な才能があったわけじゃない。計算が得意だったわけでもない。
ただ、「決めたルールを変えなかった」だけ。
ASDの「頑固さ」が、そのまま資産形成の武器になった瞬間でした。
具体的な「変えないルール」の作り方—計算が苦手でもできるシンプル設計
僕が守っている5つのルール
ここからは、僕が実際に守っている投資ルールを公開します。
計算が苦手な僕でも続けられるように、徹底的にシンプルにしています。
【ルール1】積立金額は給料の20% 毎月の手取りから、20%を自動的に投資に回す。計算が苦手でも、20%なら「5分の1」と覚えられる。
【ルール2】投資先はS&P500連動の投資信託のみ 「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」一本だけ。他は買わない。迷わない。
【ルール3】積立日は毎月1日(自動設定) 証券口座で自動積立を設定。僕は何もしなくていい。
【ルール4】相場は見ない 毎日の株価をチェックしない。見ると不安になるから。確認するのは3ヶ月に1回だけ。
【ルール5】最低20年は売らない どんなに下がっても、最低20年は売らない。これだけは絶対。
なぜ「シンプル」が大事なのか
投資の世界では、複雑な手法ほど「賢そう」に見えます。
「ポートフォリオを分散して、リバランスを定期的に行って、PERとPBRを分析して…」
でも、複雑な手法には大きな落とし穴があります。
続けられない。
人間は、複雑なことを長期間続けるのが苦手です。最初は頑張れても、3ヶ月、半年、1年と経つうちに、だんだん面倒になってくる。
そして、続けられなくなった時に「手法を変える」という選択をしてしまう。
僕のルールが極端にシンプルなのは、「続けられる」ことを最優先にしたから。
ASDの僕にとって、「続ける」ことは得意中の得意。一度ルーティンになれば、むしろ変える方が難しい。
だから、最初に「これなら一生続けられる」というレベルまでシンプルにしたんです。
行動経済学から見る「ASD投資家」の優位性
ここからは少しマニアックな話をします。
行動経済学という学問分野があります。これは、「人間が経済的な意思決定をする時、どんな心理的バイアス(偏り)に影響されるか」を研究する学問です。
投資において、人間が陥りやすいバイアスには以下のようなものがあります:
【損失回避バイアス】 利益を得る喜びより、損失を避けたい気持ちの方が2倍以上強い。結果、少し下がっただけで怖くなって売ってしまう。
【ハーディング(群集行動)】 「みんなが買っているから買う」「みんなが売っているから売る」という行動。バブルと暴落の原因になる。
【過信バイアス】 「自分は他の人より賢い判断ができる」と思い込む。結果、余計な売買を繰り返して損をする。
【新近性バイアス】 最近起こったことを過大評価する。「最近下がったから、これからも下がる」と思い込む。
これらのバイアス、実はASDの人は影響を受けにくいという研究があります。
なぜか?
ASDの特性である「社会的な同調圧力に影響されにくい」「一度決めたことを変えにくい」「感情より論理で判断しやすい」という傾向が、これらのバイアスを自然とブロックするからです。
つまり、ASDの「障害」とされる特性が、投資においては「優位性」として機能する可能性があるんです。
これは、まだ研究途上の分野ですが、僕自身の経験とも一致しています。
周りが「今すぐ売れ」と叫んでいる時も、僕は「でも、ルールでは売らないって決めたし…」と淡々としていられた。
それが結果的に、正しい判断になっていた。
「普通」じゃないからこそ、できることがある。
それを、僕は身をもって経験しています。
失敗談—それでも僕が「変えてしまった」時の話
正直に告白します
ここまで偉そうに「ルールを変えなかった」と書いてきましたが、正直に告白します。
一度だけ、ルールを破ったことがあります。
2021年のことでした。
あの時、世界中で「仮想通貨ブーム」が起きていました。ビットコインが史上最高値を更新し、TwitterやYouTubeは「仮想通貨で億り人になった」という話であふれていました。
職場の同僚も、「俺、ビットコインで100万円儲かったよ」と嬉しそうに話していました。
「自分だけ乗り遅れている」という焦り
普段は周囲の意見に流されにくい僕ですが、この時ばかりは違いました。
「みんなが儲かっている。自分だけ取り残されている」
この焦りが、じわじわと心を蝕んでいきました。
ASDの僕は、「みんなと同じ」であることにはあまり興味がありません。でも、「自分だけが損をしている」という感覚には、強烈な不安を感じるんです。
これは後から知ったのですが、**FOMO(Fear Of Missing Out)**という心理現象だそうです。「取り残される恐怖」とでも訳しましょうか。
ルールを破った夜
ある夜、僕はついにルールを破りました。
S&P500の積立は続けたまま、別に30万円をビットコインに投入したんです。
「少しだけ。30万円だけ。これくらいなら大丈夫」
そう自分に言い聞かせながら、震える手でスマホを操作したのを覚えています。
購入した瞬間、なぜか罪悪感に襲われました。
「ルールを破ってしまった」
その夜、僕は眠れませんでした。
結果:予想通りの失敗
その後、どうなったか。
最初の1ヶ月は順調でした。30万円が35万円になり、「やっぱり買ってよかった」と思いました。
でも、2022年に入ると状況は一変。
仮想通貨市場は大暴落。僕の35万円は、あっという間に12万円になりました。
約60%の損失。
金額だけ見れば、18万円の損失です。人生を揺るがすほどの金額ではありません。
でも、僕が受けたダメージは金銭的なものだけじゃなかった。
本当のダメージは「自己不信」
一番辛かったのは、**「自分で決めたルールを、自分で破ってしまった」**という事実でした。
ASDの僕にとって、ルールは「安心の源」です。ルールがあるから、迷わずに済む。ルールがあるから、不安にならずに済む。
そのルールを、自分で壊してしまった。
「結局、僕も周りに流される弱い人間なんだ」
「11年間守ってきたことが、全部嘘だったんじゃないか」
そんな自己不信に、しばらく苦しみました。
失敗から学んだこと
この経験から、僕は大切なことを学びました。
【学び1】ルールは「紙に書いて」貼っておく
頭の中だけでルールを覚えていると、都合よく「例外」を作ってしまう。だから今は、投資ルールを紙に書いて、デスクに貼っています。
【学び2】SNSは見ない
TwitterやYouTubeで投資情報を見ると、どうしても心が揺れる。だから、投資関連のSNSは完全にシャットアウトしました。
【学び3】失敗しても、ルールに戻ればいい
完璧な人間なんていません。失敗しても、また元のルールに戻ればいい。大事なのは「失敗しないこと」じゃなく、「失敗しても戻ってこられること」。
ビットコインは結局、12万円になった時点で全て売却しました。18万円の授業料は高かったけど、「ルールを守ることの大切さ」を身をもって学べたと思っています。
テクノロジーの力を借りる—計算が苦手な僕を支えるツールたち
「できない」を補うという発想
SLDで計算が苦手な僕が資産形成を続けられているのは、テクノロジーの力を最大限に活用しているからです。
「できないことを頑張る」のではなく、「できないことは道具に任せる」。
この発想の転換が、僕の人生を変えました。
僕が実際に使っているツール
【1】証券会社の自動積立機能
僕が使っているのは、SBI証券の自動積立サービスです。
一度設定すれば、毎月決まった日に、決まった金額が自動的に投資される。僕は何もしなくていい。
計算も、判断も、操作も不要。これが本当にありがたい。
設定方法もシンプルで、最初の30分だけ頑張れば、あとは10年でも20年でも自動で続いてくれます。
【2】家計簿アプリ「マネーフォワードME」
銀行口座、証券口座、クレジットカードを連携させると、自動で家計簿を作ってくれるアプリです。
僕は計算ができないので、手書きの家計簿は絶対に続きません。でも、このアプリなら勝手に計算してくれる。
月額500円(年額5,300円)のプレミアム版を使っていますが、十分に元が取れています。
【3】Googleスプレッドシートの「自動計算」
資産の推移を記録するのに使っています。
数字を入力するだけで、勝手にグラフを作ってくれる。前月比も、年間推移も、全部自動。
僕がやるのは「数字をコピペする」だけ。それなら、計算が苦手でもできます。
【4】音声入力機能
SLDで書字も苦手な僕は、このブログも音声入力で書いています。
スマホに向かって話すだけで、文字になる。誤字脱字はあとから修正すればいい。
「書けない」ことが、もはやハンデにならない時代になりました。
デメリットも正直に
これらのツール、便利ですがデメリットもあります。
【デメリット1】初期設定が面倒
自動化するためには、最初の設定が必要です。僕は妻に手伝ってもらいながら、半日かけて設定しました。一人だと挫折していたかもしれません。
【デメリット2】コストがかかる
マネーフォワードMEの有料版など、月々の費用がかかるものもあります。でも、「時間」と「ストレス」を買っていると思えば、安いものです。
【デメリット3】システム障害のリスク
ネット証券やアプリに依存しているので、システム障害が起きると何もできません。ただ、長期投資なので、数日アクセスできなくても問題ないと割り切っています。
【国内外の事例】ASD当事者の投資家たち
ここで、僕以外の事例も紹介させてください。
海外の事例:イーロン・マスク
テスラやSpaceXのCEO、イーロン・マスク氏は、自身がアスペルガー症候群(ASDの旧名称)であることを公表しています。
彼の投資スタイルは、「一度決めたら絶対に引かない」こと。電気自動車が不可能と言われた時代から、20年以上同じビジョンを追い続けました。
もちろん、彼と僕ではスケールが全く違います。でも、「頑固に一つのことを続ける」という点では、共通するものを感じます。
国内の事例:発達障害当事者の投資コミュニティ
最近、日本でも発達障害当事者による投資コミュニティが増えています。
SNSでは「#発達障害投資家」というハッシュタグで、当事者同士が情報交換をしています。
「計算が苦手だけど、インデックス投資なら続けられる」
「ルーティンが好きだから、積立投資が性に合っている」
こんな声を見ると、僕だけじゃないんだと勇気をもらえます。
まとめ:あなたの「頑固さ」は、眠れる才能かもしれない
最後に、この記事で伝えたかったことをまとめます。
今日のポイント
- ASDの「同一性保持」は、長期投資において強力な武器になる
- コロコロ手法を変える人が負ける中、「変えない」ことが勝因になる
- 計算が苦手でも、シンプルなルールとテクノロジーで補える
- 失敗しても、ルールに戻ればいい
- 「障害」と思われている特性が、別の分野では「才能」になることがある
最後に、あなたへ
もしあなたが、かつての僕のように「自分の特性なんて役に立たない」と思っているなら。
その考えは、間違っているかもしれません。
「頑固すぎる」と言われてきたあなた。
「融通が利かない」と責められてきたあなた。
「普通になれない」と苦しんできたあなた。
その特性が輝く場所が、きっとあります。
投資はその一つかもしれないし、他の分野かもしれない。
大事なのは、「自分を変えよう」とするのではなく、**「自分が活きる場所を探す」**こと。
僕は27歳で診断を受けてから、11年かけてそれを学びました。
遠回りしたけど、今は「ASDでよかった」と思える瞬間もあります。
だから、あなたにも伝えたい。
あなたは、あなたのままで大丈夫。
あなたの「頑固さ」は、眠れる才能です。







