「お金を持っている」ことが、新たなリスクになる日

はじめまして、りゅうぞうです。

突然ですが、あなたは「投資で増やしたお金を、どう守っていますか?」と聞かれたら、すぐに答えられますか?

私は38歳、ASD(自閉スペクトラム症)とSLD(限局性学習症)を持ちながら、コツコツと約3,400万円の資産を築いてきました。そのうち90%が株式です。

「え、計算苦手って言ってたのに?」

そう思いますよね。私も不思議です(笑)。暗算なんて絶望的だし、割り勘の計算は今でもスマホ必須。でも、仕組み化と自動化の力を借りて、なんとかここまで来ました。

ただ、資産が増えるにつれて、予想外の「敵」が現れたんです。

それが詐欺師悪質な勧誘でした。


この記事の結論を先にお伝えします。

ASDの私たちは「人の裏を読む」のが苦手。だからこそ、自分一人で判断せず、必ず「相談役」を通す仕組みを作ることが、最強の防衛策になる。

今日は、私が実際に詐欺に遭いかけた体験談、そして試行錯誤の末に見つけた「相談役システム」について、包み隠さずお話しします。


私が詐欺に引っかかりそうになった、恥ずかしい話

ある日届いた「特別なご案内」

忘れもしない、2年前の冬のことです。

SNSで繋がった「投資に詳しい人」から、こんなDMが届きました。

「りゅうぞうさんの投資スタイル、素晴らしいですね。実は、一般には公開していない特別な投資案件があるんです。年利20%は固いですよ」

今思えば、「特別」「限定」「一般には非公開」という言葉は詐欺の三種の神器です。

でも当時の私は、素直に「すごい!教えてもらえるなんてラッキー」と思ってしまいました。

ASDの私が見抜けなかった「違和感」

相手は終始、穏やかで親切でした。質問にも丁寧に答えてくれる。何度かやり取りする中で、私は完全に信用してしまったんです。

なぜ見抜けなかったのか?

振り返ると、こういうことでした。

  • 言葉を額面通りに受け取る特性:「嘘をつく人がいる」という前提で話を聞けない
  • 暗黙の了解が読めない:「こんなうまい話があるわけない」という常識が働かない
  • 相手の好意を疑えない:親切にされると、裏があるとは思えない
  • 急な判断を迫られると弱い:「今だけ」と言われると焦ってしまう

私たちASD当事者の多くが持つ、この特性。これは弱点ではなく、単なる「特性」です。でも、詐欺師にとっては格好の標的になる特性でもあるんです。

救ってくれたのは、妻の「ちょっと待って」

振り込み直前、たまたま妻にその話をしました。

「へー、年利20%?」

妻は怪訝な顔をして、スマホで調べ始めました。

5分後。

「これ、完全に詐欺の手口だよ。同じパターンで被害に遭った人の体験談、たくさん出てくる」

背筋が凍りました。

あと少しで、数百万円を失うところだったんです。


「相談役システム」という最強の防衛策

一人で判断しない、と決めた日

この経験から、私は一つのルールを作りました。

「10万円以上の金銭が動く判断は、必ず誰かに相談してから」

これ、シンプルですけど効果絶大です。

ASDの私たちは、「自分の判断に自信を持ちすぎる」か「逆に自信がなさすぎる」か、極端になりがち。だからこそ、第三者の目を強制的に通す仕組みが必要なんです。

私の「相談役」リスト

現在、私が実際に使っている相談役はこの3つです。

① 妻(最も信頼できる第一相談役)

  • メリット:私の特性を理解している、即レスしてくれる、本音で話せる
  • デメリット:投資の専門知識はない、感情的になることもある

② 信頼できる友人(セカンドオピニオン)

  • メリット:客観的な意見がもらえる、私と違う視点を持っている
  • デメリット:いつでも連絡できるわけではない

③ AI(Claude、ChatGPTなど)

  • メリット:24時間対応、感情抜きで分析してくれる、恥ずかしい質問もできる
  • デメリット:最終判断は自分でする必要がある、100%正確ではない

AIを「詐欺検知システム」として使う裏技

ここで、少しマニアックな話をさせてください。

実は私、怪しい勧誘を受けたとき、AIに「この話が詐欺かどうか判定して」とお願いしています。

たとえば、こんな感じで質問します。

以下の投資案件について、詐欺の可能性を分析してください。

【案件の概要】
・年利20%保証
・元本保証あり
・紹介者からの勧誘
・一般には非公開
・今週中に決める必要がある

詐欺の典型的パターンと照らし合わせて、リスクを教えてください。

すると、AIはこんな風に答えてくれます。

「この案件には複数のレッドフラグがあります。

  1. 年利20%保証は非現実的(S&P500の過去平均リターンは約10%)
  2. 元本保証と高利回りの両立は矛盾
  3. 時間的プレッシャーは詐欺の典型手法
  4. 非公開・限定という言葉は信頼性の演出

結論:高確率で詐欺です。絶対に送金しないでください。」

どうですか?人間に聞くより、ある意味で正直に答えてくれますよね。

AIは感情がないからこそ、「え、そんなこと聞くの?」という質問にも淡々と答えてくれる。これ、私たちASD当事者にとっては、かなり使いやすい相談役なんです。


詐欺師が狙う「障がい者」という現実

悲しいけど、知っておくべきこと

あまり言いたくないことですが、発達障害を持つ人は詐欺のターゲットにされやすいという現実があります。

消費者庁の報告によると、障害者の消費者被害は年々増加傾向にあります。理由として挙げられているのは以下の点です。

  • 断ることが苦手:「いらない」と言えずに契約してしまう
  • 複雑な説明についていけない:契約内容を理解しないままサインしてしまう
  • 信頼しやすい:親切にされると疑わない
  • 孤立しがち:相談できる人がいない

これ、全部私に当てはまります。

だからこそ、仕組みで守る必要があるんです。

実践している5つの「防衛ルール」

私が日常的に実践している、詐欺対策のルールをリストにまとめました。

  1. 即決しない:「今すぐ」と言われたら、必ず一晩置く
  2. 相談役を通す:10万円以上の判断は、誰かに話してから
  3. 公式を確認する:必ず企業の公式サイトを自分で検索する(相手から送られたリンクは踏まない)
  4. 文字にする:話の内容をメモして、後で冷静に読み返す
  5. 「怪しい」と思ったら正解:直感を信じる

特に4番目の「文字にする」は、ASD当事者におすすめです。

私たちは聴覚情報より視覚情報の方が処理しやすいことが多いので、話を文字にするだけで「あれ、これおかしくない?」と気づけることがあります。


お金を持っていることを「バレない」技術

資産が増えると、困ったことが起きる

3,000万円を超えたあたりから、不思議なことが起き始めました。

  • 急に連絡してくる旧友:「久しぶり!ちょっと相談があって…」
  • 保険の勧誘が増える:「資産をお持ちの方向けの特別プランが…」
  • 怪しいDMが増える:「投資で成功されている方にお話が…」

「なんで知ってるの?」と思いました。

調べてわかったのは、SNSから情報が漏れているということでした。

私が実践している「資産を隠す」技術

ここで、私が実際にやっている「資産バレ対策」を紹介します。

① SNSでお金の話をしない

  • 「〇〇買った!」という投稿をしない
  • 高級品、旅行、車などの写真を載せない
  • 投資の成績を具体的に書かない

② 住所と資産を紐づけない

  • 証券口座の住所は実家にしている(私の場合)
  • 重要書類は郵便局留めにする

③ 「お金がない」キャラを維持する

  • 「うちはカツカツだよー」と周りには言っている
  • 質素な生活を心がける(これは本当に好きでやってる)

④ 信頼できる人にだけ話す

  • 妻と、本当に親しい友人2人だけが知っている
  • 親にも詳しい金額は言っていない

これ、「嘘をつくのは苦手」というASDの特性と矛盾するように見えますよね。

でも、「言わない」と「嘘をつく」は違うんです。聞かれなければ言わない。これは嘘ではなく、自分を守るための境界線です。


信頼できる「相談役」の見つけ方

誰でもいいわけじゃない

「相談役を作ろう」と言っても、誰でもいいわけではないですよね。

私が考える「良い相談役」の条件はこれです。

必須条件

  • あなたの障がい特性を理解している(または、理解しようとしてくれる)
  • 金銭的な利害関係がない
  • 秘密を守れる
  • 感情的にならず、冷静に話を聞いてくれる

あると嬉しい条件

  • ある程度の金融知識がある
  • あなたと違う視点を持っている
  • 連絡が取りやすい

身近に相談役がいない場合の選択肢

「そんな人、周りにいないよ…」

そう思った方、大丈夫です。私も最初はそうでした。

選択肢1:家族に頼む

配偶者、親、兄弟姉妹など。ただし、お金の話で関係が悪くなるリスクもあるので、慎重に。

選択肢2:専門家に頼む

  • FP(ファイナンシャルプランナー):相談料は約5,000円〜15,000円/時間
  • 弁護士:契約書のチェックなど、約30分5,500円〜
  • 消費生活センター:無料で相談できる、188(いやや)に電話

選択肢3:AIに頼む

先ほど紹介した方法です。無料〜月額約3,000円で使えます。

選択肢4:当事者コミュニティに頼む

同じ障がいを持つ人の集まりには、似た経験をした人がいることも。ただし、そこにも詐欺師が紛れ込んでいる可能性があるので、注意は必要です。


私が詐欺に遭いかけて学んだ3つのこと

振り返ると、あの経験から学んだことは、お金を守る技術だけじゃありませんでした。

① 自分の特性を知ることは、武器になる

「人を疑えない」「暗黙の了解がわからない」。これは弱点じゃなくて、特性です。特性を知っているからこそ、対策が打てる。知らないままだったら、私はとっくに全財産を失っていたと思います。

② 一人で戦わなくていい

ASDの私たちは、なぜか「一人でなんとかしなきゃ」と思いがちです。でも、それは幻想でした。妻に話していなかったら、私は今頃どうなっていたか。相談役は、弱さの証明じゃなくて、生存戦略なんです。

③ 仕組みは裏切らない

人間の意志力には限界があります。「次は気をつけよう」と思っても、詐欺師は私たちの弱いタイミングを狙ってきます。だからこそ、意志に頼らない仕組みを作る。これが、計算が苦手な私が3,400万円を守り続けている秘訣です。


今日からできる、3つのアクション

最後に、この記事を読んだあなたが今日からできることを3つ提案させてください。

【アクション1】相談役を1人決める

家族でも、友人でも、AIでもいい。「お金の判断で迷ったら、この人に聞く」という人を1人決めてください。決めるだけでいいんです。まだ相談しなくてもいい。「いざというとき頼れる人がいる」と思えるだけで、心の余裕が生まれます。

【アクション2】「即決しない」と紙に書いて貼る

冗談じゃなく、本当に効きます。私は財布の中に「10万円以上は妻に相談」と書いたカードを入れています。アナログですけど、デジタルより目に入りやすいんです。

【アクション3】この記事を誰かにシェアする

同じ特性を持つ仲間に、この記事を送ってください。「こんな記事あったよ」の一言でいいんです。あなたのその行動が、誰かを詐欺から守るかもしれません。


あなたは一人じゃない

27歳で診断を受けてから、11年が経ちました。

あの頃の私は、暗闘の中で手探りをしているような毎日でした。お金の管理なんて、夢のまた夢。「自分みたいな人間が、資産形成なんてできるわけない」と思っていました。

でも今、私は妻と子どもと一緒に、穏やかに暮らしています。

計算は相変わらずできません。暗算は無理です。割り勘はスマホ必須です。

それでも、3,400万円の資産を築くことができました。

「できない」を「できる」に変えたのは、根性じゃありません。仕組みです。

そして、「一人で抱え込まない」と決めたことです。


あなたが今、どんな状況にいるかわかりません。

診断を受けたばかりで戸惑っているかもしれない。お金の管理に苦手意識があるかもしれない。詐欺に遭って傷ついているかもしれない。

でも、覚えておいてください。

あなたは一人じゃない。

助けを求めることは、恥ずかしいことじゃない。

そして、仕組みを作れば、あなたの資産は守れる。

このブログが、あなたの「暮らしの攻略本」の一ページになれたら、こんなに嬉しいことはありません。


【付録】詐欺かも?と思ったら使えるチェックリスト

最後に、実用的なチェックリストを置いておきます。プリントアウトして使ってください。

詐欺判定チェックリスト

以下の項目に1つでも当てはまったら、即決せずに相談役に連絡してください。

チェック項目
「今だけ」「今日中に」など、時間を急かされている
「特別」「限定」「あなただけ」という言葉が使われている
年利10%以上の利回りを「保証」している
元本保証と高利回りの両方を約束している
紹介者からの勧誘で、公式サイトが見つからない
契約書や説明資料がない、または見せてもらえない
「誰にも言わないで」と口止めされている
送金先が個人口座、または海外口座
話がうますぎて、デメリットの説明がない
なんとなく違和感がある(直感を信じて!)

1つでもチェックが入ったら:赤信号です。絶対に即決しないでください。


相談先リスト

相談先連絡先備考
消費者ホットライン188(いやや)無料、土日も対応
警察相談専用電話#9110緊急ではない相談用
金融庁相談窓口0570-016811金融商品に関する相談
法テラス0570-078374無料法律相談


最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

不器用な私ですが、これからもこのブログで、「暮らしの攻略本」を一緒に作っていけたら嬉しいです。

どうぞ、ゆっくりしていってください。

りゅうぞう