あなたも、あの不安を感じていませんか?

「親が死んだら、自分はどうやって生きていくんだろう」

この問いが、夜中に突然頭をよぎって眠れなくなったこと、ありませんか?

私はあります。何度も、何度も。

38歳、妻と子供が一人。自閉スペクトラム症(ASD)と限局性学習症(SLD)を抱えながら生きている、りゅうぞうです。

結論から言います。

私は「3400万円の資産」と「年間約136万円の配当金」という”お金が働いてくれる仕組み”を作ることで、この不安にひとつの答えを出しました。

「え、計算苦手って言ってなかった?」

そう思いましたよね。はい、暗算は本当に無理です。スーパーのレジで合計金額を予測することすらできません。

でも、計算ができないことと、資産を築けないことは、イコールじゃなかったんです。

この記事では、親亡き後問題という重いテーマに真正面から向き合いながら、「計算が苦手な障がい者」である私がどうやって生存戦略を立てたのかをシミュレーションとともにお伝えします。


「親亡き後問題」が他人事じゃなくなった日

27歳で診断、そこから始まった現実との対峙

私が自分の障がいを知ったのは27歳。それまでの人生は、文字通り「なんで自分だけうまくいかないんだろう」の連続でした。

  • 暗黙の了解が読めない
  • 急な予定変更でパニックになる
  • 暗算ができない(本当に、1桁の足し算も怪しい)
  • 文字を書くのが極端に苦手

診断名がついた時、ショックよりも「やっと理由がわかった」という安堵感が大きかったことを覚えています。

でも、安堵したのも束の間。次に襲ってきたのが「将来への恐怖」でした。

親の老いを目の当たりにして

30代に入り、両親の白髪が増えていることに気づきました。父は腰を痛め、母は物忘れが増えた。

その時、初めてリアルに思ったんです。

「この人たちがいなくなったら、俺は本当に一人で生きていけるのか?」

障がい者支援の世界では、これを「親亡き後問題」と呼びます。

【用語解説:親亡き後問題とは】 障がいのある子どもを持つ親が亡くなった後、その子どもが自立して生活できるかどうかという課題のこと。住居、金銭管理、日常生活のサポートなど、多岐にわたる問題を含む。

特に私のように「見た目では障がいがわかりにくい」タイプは、支援の網からこぼれ落ちやすい。福祉サービスを受けようにも、「あなたは働けますよね?」と言われてしまうことも少なくありません。


「計算できない男」が3400万円を築くまで

私の投資スタイル:徹底的に「考えない」仕組み

ここで、多くの人が疑問に思うでしょう。

「計算苦手なのに、どうやって資産運用してるの?」

答えはシンプルです。計算しなくていい方法を選んだんです。

私の資産構成はこうなっています:

資産の種類割合金額(概算)
株式(ETF・高配当株中心)90%約3,060万円
現金・預金10%約340万円
合計100%約3,400万円

私が実践している「脳に負担をかけない投資術」

  1. インデックスETFをメインに据える
    • VYM、HDV、SPYDなど米国高配当ETFを中心に保有
    • 個別株の分析は脳が爆発するので、基本やらない
  2. 証券会社のアプリに全部任せる
    • 配当金の計算?アプリが勝手にやってくれる
    • 税金の計算?特定口座で自動処理
  3. 「毎月〇日に〇円買う」だけのルール化
    • 判断を減らすことで、ASD特有の「決断疲れ」を防ぐ
    • 予定変更が苦手な私には、むしろルーティン化が心地いい
  4. スプレッドシートは使わない、見ない
    • 数字の羅列を見ると頭がフリーズするので、視覚的にわかりやすいアプリだけ使用

【コラム:ASD × 投資の意外な相性の良さ】

実は、ASDの特性と長期投資は相性が良いと言われています。

  • ルーティンを好む → 定期積立と相性◎
  • 感情に流されにくい傾向 → 暴落時のパニック売りを防げる
  • 興味を持つと深掘りする → 一度決めた投資方針を貫ける

私の場合、株価が暴落しても「ふーん、下がったんだ」くらいの感覚で、狼狽売りしたことがありません。これは強みでした。


年間136万円の配当金シミュレーション

具体的な数字で見る「生存戦略」

さて、ここからが本題です。

「親がいなくなった後、このお金はどう私を助けてくれるのか?」

現在の資産3,400万円、株式部分3,060万円で計算してみます。

【前提条件】

  • 配当利回り:年4.5%(高配当ETFの平均的な利回り)
  • 税引後利回り:約3.6%(米国株の場合、日米二重課税を考慮)

シミュレーション結果

項目金額
年間配当金(税引前)約137万円
年間配当金(税引後)約110万円
月あたり約9.2万円

毎月9万円が、働かなくても口座に入ってくる。

この金額、どう感じますか?

正直、これだけで生活するのは難しいです。でも、「最悪働けなくなっても、完全にゼロにはならない」という安心感は、計り知れません。

リアルな生活費シミュレーション

障害基礎年金(2級)を受給できると仮定して、シミュレーションしてみます。

収入源月額
配当金(税引後)約9.2万円
障害基礎年金(2級)約6.6万円
合計約15.8万円

一人暮らしで節約生活をすれば、ギリギリ生きていける金額です。

もちろん、妻と子どもがいる私の場合は、この数字だけでは足りません。だからこそ、今も働きながら資産を積み上げています。

でも、「最悪の事態」を想定した時の精神的な安定感は、お金には代えられない価値があります。


生存戦略に必要な「お金以外」の準備

お金だけでは解決しない問題

正直に言います。

3400万円あっても、全ての不安は消えません。

特に私のような特性を持つ人間が一人で生きていくには、お金以外の準備も必要です。

私が実際に準備していること

1. 「頼れる先」のリスト化

  • かかりつけ医の連絡先
  • 自立支援医療の申請先
  • 地域の障がい者支援センター
  • 信頼できる親戚(少ないけど)

これをスマホのメモ帳に入れて、いつでも見られるようにしています。

2. 成年後見制度の勉強

【用語解説:成年後見制度とは】 判断能力が不十分な方の財産管理や身上保護を、家庭裁判所が選任した後見人等が行う制度。将来に備えて自分で後見人を選んでおく「任意後見」という選択肢もある。

正直、この制度にはメリットとデメリットがあります。

メリット:

  • 詐欺や悪徳商法から守られる
  • 金銭管理の負担が減る

デメリット:

  • 自由にお金を使えなくなる可能性
  • 後見人への報酬がかかる(月2〜6万円程度)

私は今のところ、任意後見契約を検討中です。信頼できる人に、自分の意思を伝えた上でお願いしたい。

3. 「助けて」と言える練習

これが一番難しい。

ASDの特性で、「困っている」ということ自体を認識しにくいんです。そして、認識できても言語化できない。

だから私は、**妻との「定期ミーティング」**を設けています。

毎週日曜の夜、15分だけ。「今週困ったことある?」とお互いに聞き合う時間。

最初は「特にない」としか言えなかった私が、少しずつ「実は〇〇が辛かった」と言えるようになってきました。


テクノロジーとサービスを味方につける

計算・書字が苦手な私を救ってくれるツール

「できないこと」を無理にできるようにするより、「できなくてもいい仕組み」を作る方がずっと楽です。

私が実際に使っているツールを紹介します。

お金の管理編

ツール名用途おすすめポイント
マネーフォワードME家計簿・資産管理銀行・証券口座を連携するだけで自動集計
SBI証券アプリ投資管理配当金の推移がグラフで見える
PayPay日常の支払い現金を数えなくていい

日常生活編

ツール名用途おすすめポイント
Googleカレンダースケジュール管理リマインダーで予定変更にも対応しやすい
音声入力文字入力書字障がいの強い味方
Notion情報整理視覚的にわかりやすいデータベースが作れる

最新トレンド:AIの活用

最近はChatGPTなどのAIが、私の「外部脳」として大活躍しています。

  • 複雑な計算 → AIに聞く
  • 文章の校正 → AIに頼む
  • 制度の調べ物 → AIに要約してもらう

「自分でできないといけない」という思い込みを捨てたら、世界が広がりました。


失敗談と本音

資産形成で失敗したこと

偉そうに書いてきましたが、私もたくさん失敗しています。

失敗①:個別株で30万円溶かした

「この会社、面白そう!」という直感だけで投資して、見事に暴落。ASDの「興味を持つと深掘りする」特性が裏目に出た例です。

教訓:興味と投資判断は分けること。

失敗②:妻に相談せず大金を投資した

「自分のお金だから」と思っていたら、大喧嘩になりました。家庭がある以上、お金の判断は家族の問題でもある。

教訓:報告・連絡・相談は、投資においても大事。

失敗③:暴落時に「もっと下がるかも」と追加投資できなかった

2020年のコロナショック、絶好の買い場だったのに、恐怖で動けませんでした。

教訓:ルール化しておかないと、いざという時に動けない。

まとめ:「生存戦略」は、未来の自分への手紙

最後に、同じ不安を抱えるあなたへ

長い記事を読んでくださって、ありがとうございます。

最後にお伝えしたいことがあります。

「完璧な準備」なんて、存在しません。

3400万円あっても、不安は消えない。配当金が毎月9万円入ってきても、「本当にこれで大丈夫なのか」という気持ちは残ります。

でも、何もしないよりは、ずっとマシなんです。

私が「生存戦略」を立てて変わったこと

資産を築き始める前と後で、明らかに変わったことがあります。

【ビフォー】

  • 将来のことを考えると胃が痛くなる
  • 「親が死んだらどうしよう」が頭から離れない
  • 夜中に不安で目が覚める

【アフター】

  • 不安はあるけど、「対策している」という事実が心を軽くする
  • 「最悪でも〇〇万円ある」と思えることで、日常が穏やかになる
  • 妻にも「ちゃんと考えてるんだな」と信頼してもらえるようになった

お金は、不安を完全に消してはくれません。でも、不安を「管理可能なサイズ」にしてくれる。

それが、私が11年かけて学んだことです。


今日からできる、最初の一歩

「3400万円なんて無理」と思った方も多いでしょう。

でも、私も最初は貯金ゼロからでした。27歳で診断を受けた時、口座には数万円しか入っていなかった。

大事なのは、今日、何か一つ始めることです。

今日からできること:

  1. 証券口座を開設する(SBI証券、楽天証券がおすすめ。無料で開設できます)
  2. 毎月1000円から積立を始める(金額は後から増やせばいい)
  3. マネーフォワードMEで資産を「見える化」する(現状把握が第一歩)
  4. この記事をブックマークしておく(忘れた頃に読み返してみてください)

「あなたは一人じゃない」

冒頭でもお伝えしましたが、私がこのブログを書く理由はただ一つ。

「あなたは一人じゃない」と伝えたいからです。

親亡き後問題は、多くの当事者と家族が抱える、重くて、でも誰にも相談しにくいテーマです。

私自身、この記事を書きながら何度も手が止まりました。「こんなこと書いて、誰かの役に立つのか」「偉そうに聞こえないか」と。

でも、かつての私が一番欲しかったのは、「同じような状況で、なんとかやっている人の話」でした。

専門家の正論よりも、当事者の体験談。

きれいごとよりも、失敗も含めたリアル。

だから、これからも不器用に、正直に、書き続けていきます。


読者のあなたへ、3つのメッセージ

最後に、この記事を読んでくださったあなたへ、3つの言葉を贈ります。

1. 「できない」は、「工夫の入り口」

計算ができなくても、資産は築ける。書字が苦手でも、音声入力がある。できないことに絶望するより、「じゃあどうするか」を考える方が、人生は楽になります。

2. 完璧を目指さなくていい

100点の生存戦略なんてない。60点でも、30点でも、ゼロ点よりはいい。今日1ミリ進めば、それで十分です。

3. 助けを求めることは、弱さじゃない

福祉サービス、支援制度、テクノロジー、そして周りの人。使えるものは全部使って、生き延びましょう。一人で全部背負う必要なんて、どこにもないんです。


【中級者向けコラム】配当金投資のリアルな注意点

このコラムは、すでに投資を始めている方向けの少しマニアックな内容です。

配当金生活に憧れる方は多いですが、いくつか知っておくべきリスクがあります。

注意点①:減配リスク

企業の業績が悪化すれば、配当金は減らされます(減配)。2020年のコロナショック時には、多くの企業が減配・無配に転じました。

対策: 一つの銘柄に集中せず、ETFで分散する。VYMやHDVなど、数百社に分散されたETFがおすすめです。

注意点②:為替リスク

米国株からの配当金はドルで受け取ります。円高になると、日本円換算での受取額が減ります。

例:

  • 年間配当1000ドル × 150円/ドル = 15万円
  • 年間配当1000ドル × 120円/ドル = 12万円

3万円の差が出る計算です。

対策: 為替は予測不可能なので、「長期では平均化される」と割り切る。または、日本株の高配当銘柄も一部組み入れる。

注意点③:インフレリスク

年間110万円の配当収入も、インフレで物価が上がれば実質的な価値は目減りします。

対策: 配当金を全額使わず、一部を再投資に回す。または、インフレに強い資産(株式自体がインフレヘッジになる側面もあります)を意識する。

注意点④:税金の落とし穴

米国株の配当金には、米国で10%、日本で20.315%の税金がかかります(二重課税)。

確定申告で「外国税額控除」を申請すれば、一部取り戻せますが、手続きが面倒です。

対策: 特定口座(源泉徴収あり)を使えば、確定申告なしでもOK。ただし外国税額控除は受けられないので、手取りが減ることは許容する。私は「面倒を避けるコスト」と割り切っています。

おわりに:未来の自分への投資

この記事を書き終えて、改めて思います。

資産形成は、未来の自分への手紙のようなものだ、と。

「今は大変だけど、この1万円を積み立てておくね」 「将来の君が困らないように、今できることをやっておくよ」

そんな気持ちで、コツコツ続けてきた11年間でした。

親がいなくなる日は、いつか必ず来ます。その時に「あの時の自分、ありがとう」と思えるように。

今日も私は、淡々と積立を続けます。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

この記事が、あなたの「生存戦略」を考えるきっかけになれば嬉しいです。

質問や感想があれば、ぜひコメントで教えてください。同じ悩みを持つ仲間として、一緒に考えていきましょう。

りゅうぞう