数字の暗闇にいた僕と、あなたへ

はじめまして、りゅうぞうです。 このブログに辿り着いてくださり、本当にありがとうございます。

まずは、少しだけ私の話をさせてください。 2025年現在、私は38歳。妻と子供と3人で暮らしています。 そして私は、自閉スペクトラム症(ASD)限局性学習症(SLD)という2つの障がいと共に生きています。

私が自分の障がいに気づいたのは、27歳の時でした。 それまでの20数年間は、まさに「暗闇の中で手探りをしている」ような感覚でした。

周りの人と同じように努力しているはずなのに、なぜかうまくいかない。 簡単な暗算でお釣りの計算ができない。 急な予定変更でパニックになり、その場から動けなくなる。

「自分はダメな人間なんだろうか」 「努力が足りないだけなのか」

そうやって、自分を責め続ける日々を送っていました。

27歳で診断名がついた時、正直なところショックよりも、「やっと理由がわかった」という安堵感の方が大きかったことを覚えています。 それは、私が「私として生きていく」ための再スタートの瞬間でもありました。

もし、今これを読んでいるあなたが、かつての私のように「生きづらさ」を感じているなら。 あるいは、ご家族のことで悩んでいるなら。 どうか、「あなたは一人じゃない」ということだけは、覚えていてください。

今日は、そんな不器用な私が、「計算できない(SLD)」という弱点があったからこそたどり着けた、資産形成の話をしたいと思います。

「投資なんて難しそう」「数字を見るだけで頭が痛くなる」 そんなあなたにこそ、読んでほしい内容です。


1. 「計算できない」からこそ、僕らは投資に向いている

いきなり結論を言います。 数字や計算が苦手な私たちこそ、新NISAでの資産形成に向いています。

「えっ、投資って数字の分析が必要なんでしょ?」 「グラフとか決算書とか読めないといけないんじゃ……」

そう思うかもしれません。私もそう思っていました。 SLD(特に算数障害)の傾向がある私にとって、数字の羅列は「敵」です。 家計簿をつけようとして、レシートの集計ができずに挫折した回数は数え切れません。

でも、だからこそ言えるのです。 「計算できないなら、計算しなくていい仕組みを使えばいい」と。

逆に、中途半端に計算が得意な人ほど、「今は買い時か?」「もう少し下がってから……」と余計なことを考えて失敗しやすいと言われています。

私たちがやるべきことは、たった一つ。 「一度設定したら、二度と触らない」 これだけです。

私の「できない」と「できる」の整理

私の特性を少し整理してみます。

  • 苦手なこと(できないこと):
    • 暗算(お釣りの計算、割り勘など)
    • 複雑な数字の比較・分析
    • 急な相場変動への臨機応変な対応
  • 得意なこと(できること):
    • 一度決めたルールを忠実に守り続けること
    • 興味のある分野(自分の未来を守ること)への執着
    • 「仕組み」を作って安心すること

どうでしょう? 実はこれ、「長期・積立・分散」という投資の王道において、最強の資質なのです。


2. マウスを捨ててトラックパッドにするように、投資も「直感」で自動化する

私がPC操作をマウスからトラックパッドに変えた時、手首の痛みから解放されました。 それと同じように、投資も「手動」から「全自動」に切り替えることで、心の痛み(不安)から解放されます。

ここでは、私が実践している「完全放置設定」の極意をお伝えします。

① 銘柄分析はしない。「全世界」を丸ごと買う

どの企業の株が上がるか? そんなことを考える必要はありません。私には無理です。 だから、「全世界株式(オール・カントリー)」と呼ばれる投資信託一本に絞ります。

これは、「世界中の優良企業にまとめて投資するパック商品」のようなものです。 これ一つ買えば、アメリカのAppleも、日本のトヨタも、全部ひっくるめて保有していることになります。

  • なぜこれなのか: 世界経済は、長い目で見れば成長し続けると信じられているから。
  • 私のスタンス: 「どの国が勝つか計算できないから、全部買っておけば負けないよね」

② 銀行口座から勝手に引き落とす設定にする

「毎月、余裕資金を入金して注文する」 これは絶対にやってはいけません。忘れるし、面倒だし、何より「今の値段」を見てしまうからです。

ネット証券(楽天証券やSBI証券など)で、「クレジットカード積立」または「銀行引き落とし」の設定をします。

  • 設定日: 毎月1日(給料日の直後がおすすめ)
  • 金額: 無理のない範囲(月3,000円でも、1万円でもOK)

この設定を一度完了させたら、もう証券会社のログインパスワードは忘れてもいいくらいです(※本当に忘れないでくださいね、管理用にメモは必須です!)。

【初心者向け用語解説】

  • 新NISA(ニーサ): 投資で増えた利益に税金がかからない、国が作ったお得な制度。これを使わない手はありません。
  • 投資信託(とうししんたく): プロが代わりに運用してくれる商品のこと。「株の詰め合わせパック」とイメージしてください。
  • オルカン: 「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」という商品の愛称。手数料が激安で、投資家の間では「これ一本でいい」と言われる王道中の王道。

3. 【実体験】設定画面と向き合った、あの日のこと

私が実際にこの設定をした時の話をします。 正直、怖かったです。 「投資=ギャンブル」というイメージが拭えなかったし、設定画面には「約定日」「受渡日」「基準価額」といった、漢字の多い専門用語が並んでいました。

SLDの特性もあり、文字が滑って頭に入ってきません。 妻に相談しようかと思いましたが、妻も投資には慎重派。 「まずは自分でやってみよう」と、冷や汗をかきながら画面と向き合いました。

やったことはシンプルです。

  1. ランキング1位の「全世界株式」を選ぶ。
  2. 「積立注文」ボタンを押す。
  3. 「毎月3万円」と入力する(当時は勇気を出しました)。
  4. 「クレジットカード決済」を選ぶ。
  5. 暗証番号を入れて「設定する」をクリック。

所要時間は15分程度。 でも、この15分が、私の将来の不安を大きく消し去ってくれました。

翌月、勝手にカードから引き落とされ、勝手に積み立てられていました。 私は何もしなくていい。 計算もしなくていい。 ただ、日々を過ごしているだけで、勝手に資産形成が進んでいく。

「あ、これなら僕にもできる」 そう確信した瞬間でした。


4. 【コラム】ASD的「こだわり」とドルコスト平均法の相性

ここからは少しだけマニアックな話をします。 投資用語に「ドル・コスト平均法」という言葉があります。 これは、価格が変動する商品を「常に一定金額で」定期的に購入し続ける手法のことです。

  • 価格が高い時は、少なく買う。
  • 価格が安い時は、多く買う。

これを自動的に繰り返すことで、平均購入単価を抑える効果があります。

実はこれ、私たちのような「一度決めたルーティンを変えるのが苦手」なASD特性を持つ人にとって、非常に相性が良いのです。

定型発達(健常者)の多くの人は、株価が暴落すると「怖い!売ってしまいたい!」とパニックになり、逆に高騰すると「もっと買わなきゃ!」と欲を出します。これが「感情による投資の失敗」です。

しかし、私たちはどうでしょうか。 「毎月1日に買う」というルール(こだわり)があれば、暴落時も淡々と買い続けることができます。 むしろ、「ルールを破ること」の方がストレスになる場合すらあります。

「空気(相場の雰囲気)を読まない」 この特性が、投資の世界では最強の武器になるのです。 私たちは、相場の空気を読む必要はありません。ただ、設定という「法律」を守ればいいのです。


5. 心の処方箋:「助けて」と言えるようになるまで

さて、お金の話をしてきましたが、最後に「心」の話をして締めくくりたいと思います。

私が新NISAの自動積立を始めたのは、単にお金を増やしたいからだけではありません。 「将来への漠然とした不安」というノイズを消したかったからです。

障がいを持って生きるということは、常にどこかで「普通になれない恐怖」と戦うことでもあります。 「働けなくなったらどうしよう」 「計算ができなくて、詐欺に遭ったらどうしよう」

そんな不安が、常に頭の片隅にありました。

でも、投資の設定を「自動化」したことで、一つだけ確かなことが生まれました。 「私が寝込んでいても、私が計算できなくても、仕組みが私のために働いてくれている」という事実です。

これは、私にとって大きな「救い」でした。

弱さを認める強さ

診断を受けた27歳の時、私は初めて「自分一人で頑張らなくていいんだ」と思えました。 計算ができないなら、電卓を使えばいい。 電卓でも無理なら、人に頼ればいい。 それでもダメなら、こういう便利な制度(NISA)や機械に任せればいい。

「助けて」と言うこと。 便利な道具に頼ること。

それは決して「逃げ」ではありません。 私たちが、私たちらしく生きていくための「戦略」であり「知恵」です。

かつての私のように、 「周りに迷惑をかけたくない」 「普通にならなきゃ」 と、一人で抱え込んでしまっているあなたへ。

もう、十分に頑張ってきましたよね。 これからは、少しだけ荷物を下ろして、機械や仕組みに頼ってみませんか?

新NISAの設定は、その小さな第一歩かもしれません。 画面の向こうにあるのは、冷たい数字の羅列ではなく、あなたを守ってくれる「未来の盾」です。


まとめ

長くなりましたが、今回お伝えしたかったことをまとめます。

  • 計算が苦手なままでいい: 銘柄分析不要の「全世界株式」を選べばOK。
  • 完全放置が最強: SLD/ASDの特性(こだわり・ルーティン遵守)は、積立投資の才能そのもの。
  • 自動化は「お守り」: お金の不安を仕組みに任せることで、心に余裕が生まれる。

もし、この記事を読んで「ちょっとやってみようかな」と思えたら、まずは証券会社の口座開設ページを開いてみてください。 そこまでできたら、今日のところは100点満点です。

焦らず、ゆっくり。 あなたのペースで、あなたらしい資産形成を始めてみませんか。

私も、不器用ながら、このブログでこれからも発信を続けていきます。 またいつでも、ここに帰ってきてくださいね。