目次
  1. あなたは「損してる」んじゃない、「守ってる」んです
  2. 私の「お釣りパニック」と、27年間の暗闘
    1. 「普通」ができない恐怖
    2. ポイントカードという「新たな敵」
  3. 思考のコストカット──「計算しない」という最強の戦略
    1. 私が選んだ「たった1つの決済手段」
    2. 「思考のコスト」を数値化してみた
    3. 選んだ理由:なぜ楽天カードなのか
    4. 障がい者こそ「行動経済学」を味方につけろ
  4. 具体的な実践方法──私の「シンプル決済生活」
    1. ステップ1:現金を持たない
    2. ステップ2:決済手段を1つに絞る
    3. ステップ3:明細は「見ない」
    4. 【具体的な使い方のコツ】
    5. 【デメリットも正直に】
  5. 3,400万円の資産を築けた「本当の理由」
    1. 計算できなくても、資産は作れる
    2. 「できないこと」を諦めたから、「できること」に集中できた
    3. 同じ境遇の方へ:「諦める」は「負け」じゃない
  6. 周囲への伝え方──「助けて」と言えるまで
    1. 最初は言えなかった
    2. 転機は「妻」だった
    3. 「助けて」の言い方
  7. おすすめの本──心に響いた「処方箋」たち
    1. 『発達障害の私が夫と普通に暮らすために書いているノート』ななしのういさん
    2. 『嫌われる勇気』岸見一郎・古賀史健
    3. 『お金の不安と焦りがなくなる 自分サイズのお財布の育て方』市野瀬克己
  8. まとめ:あなたは「損してる」んじゃない、「生き延びてる」んです

あなたは「損してる」んじゃない、「守ってる」んです

「今日はポイント5倍デーですよ!」

レジでそう言われた瞬間、頭が真っ白になった経験はありませんか?

私はあります。何度も、何度も。

「えっと、5倍ってことは…100円で5ポイント?いや、還元率が1%だから…」

頭の中で数字がぐるぐる回り始め、後ろに並ぶ人の視線を感じ、手が震え、結局何も考えられなくなる。

これ、私の日常でした。

はじめまして、りゅうぞうです。38歳、妻と子供が一人ずつ。そして、自閉スペクトラム症(ASD)と限局性学習症(SLD)という2つの障がいを持っています。

特にSLDの影響で、暗算がまったくできません。本当に、まったく。

でも今、私の資産は3,400万円を超えています。そのうち90%が株式です。

「計算できないのに、なんで資産運用できてるの?」

よく聞かれます。答えはシンプルです。

「計算しなくていい仕組み」を作ったから。

今日お伝えしたいのは、ポイント還元の計算でパニックになるくらいなら、「無視していい」という選択肢があるということ。

これは「損すること」じゃありません。

「思考のコストカット」という、立派な資産防衛術なんです。


私の「お釣りパニック」と、27年間の暗闘

「普通」ができない恐怖

27歳で診断を受けるまで、私は自分が「異常に頭が悪い」のだと思っていました。

小学校の算数で、みんなが当たり前にできる計算ができない。

「りゅうぞう、ちゃんと考えてる?」

先生にそう言われるたび、必死で考えているのに、と泣きたくなりました。

大人になっても状況は変わりませんでした。

レジでの「お釣り計算」は、私にとって毎回が戦場でした。

  • 867円の買い物に1,000円を出す
  • 「お釣り133円です」と言われる
  • 合ってるかどうか、確認できない
  • でも後ろに人が並んでいる
  • とりあえず受け取って、逃げるように店を出る

帰り道、財布の中身を数え直して、「たぶん合ってる…」と自分を納得させる。

この**「たぶん」の不安**が、毎日毎日、少しずつ心を削っていきました。

ポイントカードという「新たな敵」

そこに追い打ちをかけたのが、ポイントカードの普及です。

  • 「本日ポイント3倍!」
  • 「税抜価格の1%還元」
  • 「1ポイント=1円として使えます」
  • 「ただし100ポイント以上から利用可能」

もう、意味がわからない。

何がお得で、何が損なのか。どのカードをいつ出せばいいのか。

レジで「ポイントカードはお持ちですか?」と聞かれるたびに、心臓がキュッと縮む感覚がありました。

ある日、スーパーで買い物中にパニック発作を起こしました。

ポイント還元の説明を聞いているうちに、息ができなくなって、その場にしゃがみ込んでしまったんです。

「こんな生活、もう無理だ」

その日、私は決意しました。

ポイントなんて、全部無視しよう。


思考のコストカット──「計算しない」という最強の戦略

私が選んだ「たった1つの決済手段」

現在、私の決済手段は楽天カード1枚だけです。

ポイントの倍率も、還元率の変動も、キャンペーン情報も、一切追っていません

「えっ、それって損してない?」

そう思いますよね。数字で見てみましょう。

私の計算(というか、妻に計算してもらった結果):

項目金額・数値
月の生活費(カード払い分)約15万円
楽天カードの基本還元率1%
月間獲得ポイント約1,500ポイント
年間獲得ポイント約18,000ポイント

もし私が「ポイント5倍デー」を狙って買い物し、複数のカードを使い分け、キャンペーンにエントリーし続けたら、年間3万〜4万ポイント獲得できるかもしれません。

差額は、年間1〜2万円。

でも、その1〜2万円を得るために、私が支払うコストを考えてみてください。

「思考のコスト」を数値化してみた

【ポイント最適化に必要な労力】

  • 毎日のキャンペーン情報チェック:10分 × 365日 = 約60時間/年
  • 複数カードの明細確認・管理:月2時間 × 12ヶ月 = 24時間/年
  • レジでの「どのカードを出すか」の判断ストレス:計測不能
  • 計算パニックによる精神的ダメージ:計測不能

合計:最低84時間+精神的コスト(無限大)

年間1〜2万円を84時間で割ると、時給約120〜240円。

最低賃金以下です。

しかも私の場合、計算するたびにパニックになるリスクがある。

だったら、「計算しない」ことで得られる心の平穏のほうが、よっぽど価値があるんです。

選んだ理由:なぜ楽天カードなのか

正直に言うと、「どのカードが最強か」の比較検討すらしていません

選んだ理由はこれだけ:

  1. 妻が使っていたから(相談しやすい)
  2. ポイントが自動で貯まるから(何も考えなくていい)
  3. 楽天市場で勝手にポイントが使われるから(使い道を考えなくていい)

これだけです。

「もっとお得なカードがあるよ」と言われても、私には関係ない

「管理できるカード」が、私にとっての「最強カード」なんです。


障がい者こそ「行動経済学」を味方につけろ

ここで少しマニアックな話をします。

行動経済学に「選択のパラドックス」という概念があります。

人間は、選択肢が多すぎると選べなくなる。そして選んだ後も後悔しやすくなる

これ、定型発達の人でもそうなんです。

ASDやSLDを持つ私たちにとって、この傾向はさらに顕著。

選択肢を「減らす」ことは、弱さの表れではありません。

ノーベル経済学賞を受賞したリチャード・セイラー教授は、「良い選択を自動化する仕組み」を「ナッジ」と呼びました。

私がやっていることは、まさに自分への「セルフナッジ」

決済手段を1つに絞ることで、「選ばなきゃ」というストレスから解放される。

これは合理的で、科学的根拠のある戦略なんです。

興味がある方は、『実践 行動経済学』(リチャード・セイラー、キャス・サンスティーン著)を読んでみてください。「人間は合理的じゃない」という前提に立った、優しい経済学の本です。


具体的な実践方法──私の「シンプル決済生活」

ステップ1:現金を持たない

まず、財布から現金を抜きました

「え、全部?」

全部です。

いや、正確には「1万円札を1枚だけ」入れています。これは本当の緊急時用

現金を持たなければ、お釣りの計算は発生しません。

「計算しなくていい環境」を、物理的に作るんです。

ステップ2:決済手段を1つに絞る

私の決済フロー:

買い物 → 楽天カード(タッチ決済) → 終わり

これだけ。

「でも、楽天カードが使えない店は?」

そういう店には、行きません

冷たく聞こえるかもしれませんが、これも自分を守る選択です。

現金しか使えない店に行くと、私の心が削られる。

それなら、別の店を探せばいい

ステップ3:明細は「見ない」

楽天カードの明細、私は月に1回しか見ません

しかも、見るのは総額だけ

「内訳は?」

見ません。見ても計算できないから。

代わりに、妻に「今月使いすぎてない?」と聞きます

「大丈夫だよ」と言われたら、それでOK。

「確認する」ことより、「信頼できる人に聞く」ことを選んだんです。

【具体的な使い方のコツ】

場面私のやり方
コンビニタッチ決済で2秒終了
スーパーセルフレジ+タッチ決済
ネット通販楽天市場でポイント自動充当
公共料金カード自動引き落とし
現金のみの店行かない(諦める)

【デメリットも正直に】

この方法には、デメリットもあります。

デメリット一覧:

  • 現金のみの店に行けない(地元の美味しいラーメン屋に行けないのは悲しい)
  • 最大効率のポイント獲得はできない(年間1〜2万円の機会損失)
  • カードを紛失したら詰む(予備のカードは妻が管理)
  • 「もったいない」と言われることがある(これが一番つらい)

特に最後の**「もったいない」攻撃**は、けっこう堪えます。

「ポイント○倍デーに買えばよかったのに」 「こっちのカードのほうがお得だよ」

善意のアドバイスなのはわかっています。

でも私は、笑顔でこう返すことにしています。

「うん、でも私はこれでいいんだ」


3,400万円の資産を築けた「本当の理由」

計算できなくても、資産は作れる

ここまで読んで、「でも結局、資産運用って計算必要でしょ?」と思った方もいるかもしれません。

確かに、株式投資には数字がつきものです。

でも私は、「計算しない投資」を徹底しています

私の投資スタイル:

  • 毎月定額を自動積立(計算不要)
  • インデックスファンドのみ(銘柄選定の計算不要)
  • 売らない(売却益の計算不要)
  • 配当は再投資(受取額の計算不要)

つまり、一度設定したら、あとは放置

これを10年続けた結果が、3,400万円です。

「できないこと」を諦めたから、「できること」に集中できた

私がASDとSLDの診断を受けたのは27歳のとき。

それまでの20数年間、私は「普通になろう」ともがき続けていました。

計算ドリルを何度もやり直し、暗算の練習をし、「努力すればできるようになる」と信じていました。

でも、できなかった。

診断を受けて、ようやく理解しました。

これは「努力不足」じゃない。脳の特性なんだ。

その瞬間、肩の荷が降りました。

そして、こう考えるようになりました。

「計算はできない。じゃあ、計算しなくていい方法を探そう」

この発想の転換が、私の人生を変えました。

同じ境遇の方へ:「諦める」は「負け」じゃない

「諦める」という言葉のイメージを、変えてみませんか?

仏教の言葉で「諦める」の語源は、「明らめる」だと言われています。

つまり、「物事の道理を明らかにして、受け入れる」という意味。

私が計算を諦めたのは、自分の限界を「明らかにした」から

そして、その限界を受け入れたからこそ、「じゃあ別の方法で生きよう」と思えた。

これは敗北じゃありません。戦略的撤退です。

ポイント還元を諦めることで、私は心の平穏を手に入れました。

計算を諦めることで、私は資産運用を続けられています。

「できないこと」を手放したから、「できること」に全力を注げるようになった。

これが、計算できない私が3,400万円を築けた「本当の理由」です。


周囲への伝え方──「助けて」と言えるまで

最初は言えなかった

正直に告白します。

障がいを周囲に伝えられるようになるまで、5年以上かかりました

27歳で診断を受けてから、32歳くらいまで、私は「隠す」ことを選んでいました。

理由は単純。怖かったから。

  • 「障がい者」というレッテルを貼られるのが怖い
  • 仕事で不利になるのが怖い
  • 「言い訳するな」と言われるのが怖い
  • 「お前は普通に見える」と否定されるのが怖い

だから、必死で「普通のフリ」をしていました。

レジでパニックになりそうになっても、トイレに逃げ込んで深呼吸して、何事もなかったかのように戻る。

飲み会の割り勘で、「計算お願い」と言えず、適当に多めに払って逃げる。

その「フリ」が、どれだけ心を削っていたか。

転機は「妻」だった

私が初めて障がいのことを打ち明けたのは、今の妻です。

付き合って半年くらいの頃、買い物中にパニックを起こしかけた私を見て、彼女が言いました。

「ねえ、無理しなくていいよ。何かあるなら、聞くから」

その一言で、堰を切ったように話しました。

計算ができないこと。暗算が無理なこと。ポイントカードが怖いこと。レジに並ぶたびに心臓がバクバクすること。

全部、全部話しました。

彼女は、静かに聞いてくれました。

そして最後にこう言いました。

「わかった。じゃあ、私が計算するね」

その瞬間、世界が変わった気がしました。

「助けて」の言い方

今では、職場にも障がいのことを伝えています。

でも、「助けて」の言い方には、コツがあると学びました。

【私が使っている伝え方テンプレート】

  1. 事実を伝える:「私は限局性学習症(SLD)という障がいがあり、計算が極端に苦手です」
  2. 具体的に伝える:「暗算ができないので、割り勘の計算などはお手伝いいただけると助かります」
  3. 感謝を伝える:「いつもご配慮いただき、ありがとうございます」

この3ステップを意識しています。

ポイントは、「何ができないか」と「何をしてほしいか」を具体的に伝えること。

「障がいがあるので配慮してください」だけだと、相手も何をすればいいかわかりません。

「計算が苦手なので、会計のときは電卓を使わせてください」

こう言えば、相手も動きやすい。


おすすめの本──心に響いた「処方箋」たち

計算が苦手な私が、自分を受け入れるまでに読んだ本を紹介します。

『発達障害の私が夫と普通に暮らすために書いているノート』ななしのういさん

楽天ブックス
¥1,760 (2026/01/01 16:09時点 | 楽天市場調べ)

この本を読んで、「工夫していいんだ」と心から思えました。

著者のななしのういさんも発達障害当事者。日常生活の「困った」を、独自のノート術で乗り越えている様子が描かれています。

私が特に救われたのは、「できないことは、できる人に頼む」という姿勢。

「頼る」ことを「甘え」だと思っていた私に、「それも立派な生活スキルだよ」と教えてくれた一冊です。

『嫌われる勇気』岸見一郎・古賀史健

楽天ブックス
¥1,760 (2026/01/01 16:09時点 | 楽天市場調べ)

言わずと知れたベストセラーですが、障がい受容の過程で読むと、また違う響き方をします

「他者の期待を満たすために生きているのではない」

この言葉を読んだとき、涙が出ました。

ポイントを最大化できなくても、計算ができなくても、それは「他者の期待」を満たせないだけ

「私は私の人生を生きていい」と思えるようになった一冊です。

『お金の不安と焦りがなくなる 自分サイズのお財布の育て方』市野瀬克己

この本は、「お金の管理」を超シンプルにする方法が書かれています。

複雑な家計管理は不要。自分に合った「ちょうどいい」を見つければいい。

計算が苦手な私にとって、「複雑にしなくていい」という許可をもらえた本でした。


まとめ:あなたは「損してる」んじゃない、「生き延びてる」んです

長い記事を読んでいただき、ありがとうございます。

最後に、同じように苦しんでいる方へ、伝えたいことがあります。


ポイント還元を追いかけて、パニックになっていませんか?

「お得に生きなきゃ」と、自分を追い詰めていませんか?

私はそれを、やめました。

ポイントは無視していい。

現金は持たなくていい。

決済手段は1つでいい。

「シンプルに生きる」ことは、「損する」ことじゃありません。

「生き延びる」ための、立派な戦略です。


私は計算ができません。

でも、3,400万円の資産を持っています。

妻と子供がいて、毎日それなりに幸せに暮らしています。

「できないこと」を受け入れたから、「できること」に集中できた。

「普通」を諦めたから、「私らしい普通」を見つけられた。

これが、私の10年間の答えです。


あなたは一人じゃありません。

同じように苦しんでいる人は、きっとたくさんいます。

そして、その苦しみを乗り越えた先に、ちゃんと「生きていける道」があるんです。

不器用でいい。計算できなくていい。ポイントを無視してもいい。

あなたは、あなたのやり方で生きていい。

このブログが、その小さな光になれたら嬉しいです。


りゅうぞう