「ポイント還元は無視していい」── 計算パニックから解放された私の、超シンプル決済術

あなたは「損してる」んじゃない、「守ってる」んです
「今日はポイント5倍デーですよ!」
レジでそう言われた瞬間、頭が真っ白になった経験はありませんか?
私はあります。何度も、何度も。
「えっと、5倍ってことは…100円で5ポイント?いや、還元率が1%だから…」
頭の中で数字がぐるぐる回り始め、後ろに並ぶ人の視線を感じ、手が震え、結局何も考えられなくなる。
これ、私の日常でした。
はじめまして、りゅうぞうです。38歳、妻と子供が一人ずつ。そして、自閉スペクトラム症(ASD)と限局性学習症(SLD)という2つの障がいを持っています。
特にSLDの影響で、暗算がまったくできません。本当に、まったく。
でも今、私の資産は3,400万円を超えています。そのうち90%が株式です。
「計算できないのに、なんで資産運用できてるの?」
よく聞かれます。答えはシンプルです。
「計算しなくていい仕組み」を作ったから。
今日お伝えしたいのは、ポイント還元の計算でパニックになるくらいなら、「無視していい」という選択肢があるということ。
これは「損すること」じゃありません。
「思考のコストカット」という、立派な資産防衛術なんです。
私の「お釣りパニック」と、27年間の暗闘
「普通」ができない恐怖
27歳で診断を受けるまで、私は自分が「異常に頭が悪い」のだと思っていました。
小学校の算数で、みんなが当たり前にできる計算ができない。
「りゅうぞう、ちゃんと考えてる?」
先生にそう言われるたび、必死で考えているのに、と泣きたくなりました。
大人になっても状況は変わりませんでした。
レジでの「お釣り計算」は、私にとって毎回が戦場でした。
- 867円の買い物に1,000円を出す
- 「お釣り133円です」と言われる
- 合ってるかどうか、確認できない
- でも後ろに人が並んでいる
- とりあえず受け取って、逃げるように店を出る
帰り道、財布の中身を数え直して、「たぶん合ってる…」と自分を納得させる。
この**「たぶん」の不安**が、毎日毎日、少しずつ心を削っていきました。
ポイントカードという「新たな敵」
そこに追い打ちをかけたのが、ポイントカードの普及です。
- 「本日ポイント3倍!」
- 「税抜価格の1%還元」
- 「1ポイント=1円として使えます」
- 「ただし100ポイント以上から利用可能」
もう、意味がわからない。
何がお得で、何が損なのか。どのカードをいつ出せばいいのか。
レジで「ポイントカードはお持ちですか?」と聞かれるたびに、心臓がキュッと縮む感覚がありました。
ある日、スーパーで買い物中にパニック発作を起こしました。
ポイント還元の説明を聞いているうちに、息ができなくなって、その場にしゃがみ込んでしまったんです。
「こんな生活、もう無理だ」
その日、私は決意しました。
ポイントなんて、全部無視しよう。
思考のコストカット──「計算しない」という最強の戦略
私が選んだ「たった1つの決済手段」
現在、私の決済手段は楽天カード1枚だけです。
ポイントの倍率も、還元率の変動も、キャンペーン情報も、一切追っていません。
「えっ、それって損してない?」
そう思いますよね。数字で見てみましょう。
私の計算(というか、妻に計算してもらった結果):
| 項目 | 金額・数値 |
|---|---|
| 月の生活費(カード払い分) | 約15万円 |
| 楽天カードの基本還元率 | 1% |
| 月間獲得ポイント | 約1,500ポイント |
| 年間獲得ポイント | 約18,000ポイント |
もし私が「ポイント5倍デー」を狙って買い物し、複数のカードを使い分け、キャンペーンにエントリーし続けたら、年間3万〜4万ポイント獲得できるかもしれません。
差額は、年間1〜2万円。
でも、その1〜2万円を得るために、私が支払うコストを考えてみてください。
「思考のコスト」を数値化してみた
【ポイント最適化に必要な労力】
- 毎日のキャンペーン情報チェック:10分 × 365日 = 約60時間/年
- 複数カードの明細確認・管理:月2時間 × 12ヶ月 = 24時間/年
- レジでの「どのカードを出すか」の判断ストレス:計測不能
- 計算パニックによる精神的ダメージ:計測不能
合計:最低84時間+精神的コスト(無限大)
年間1〜2万円を84時間で割ると、時給約120〜240円。
最低賃金以下です。
しかも私の場合、計算するたびにパニックになるリスクがある。
だったら、「計算しない」ことで得られる心の平穏のほうが、よっぽど価値があるんです。
選んだ理由:なぜ楽天カードなのか
正直に言うと、「どのカードが最強か」の比較検討すらしていません。
選んだ理由はこれだけ:
- 妻が使っていたから(相談しやすい)
- ポイントが自動で貯まるから(何も考えなくていい)
- 楽天市場で勝手にポイントが使われるから(使い道を考えなくていい)
これだけです。
「もっとお得なカードがあるよ」と言われても、私には関係ない。
「管理できるカード」が、私にとっての「最強カード」なんです。
障がい者こそ「行動経済学」を味方につけろ
ここで少しマニアックな話をします。
行動経済学に「選択のパラドックス」という概念があります。
人間は、選択肢が多すぎると選べなくなる。そして選んだ後も後悔しやすくなる。
これ、定型発達の人でもそうなんです。
ASDやSLDを持つ私たちにとって、この傾向はさらに顕著。
選択肢を「減らす」ことは、弱さの表れではありません。
ノーベル経済学賞を受賞したリチャード・セイラー教授は、「良い選択を自動化する仕組み」を「ナッジ」と呼びました。
私がやっていることは、まさに自分への「セルフナッジ」。
決済手段を1つに絞ることで、「選ばなきゃ」というストレスから解放される。
これは合理的で、科学的根拠のある戦略なんです。
興味がある方は、『実践 行動経済学』(リチャード・セイラー、キャス・サンスティーン著)を読んでみてください。「人間は合理的じゃない」という前提に立った、優しい経済学の本です。
具体的な実践方法──私の「シンプル決済生活」
ステップ1:現金を持たない
まず、財布から現金を抜きました。
「え、全部?」
全部です。
いや、正確には「1万円札を1枚だけ」入れています。これは本当の緊急時用。
現金を持たなければ、お釣りの計算は発生しません。
「計算しなくていい環境」を、物理的に作るんです。
ステップ2:決済手段を1つに絞る
私の決済フロー:
買い物 → 楽天カード(タッチ決済) → 終わりこれだけ。
「でも、楽天カードが使えない店は?」
そういう店には、行きません。
冷たく聞こえるかもしれませんが、これも自分を守る選択です。
現金しか使えない店に行くと、私の心が削られる。
それなら、別の店を探せばいい。
ステップ3:明細は「見ない」
楽天カードの明細、私は月に1回しか見ません。
しかも、見るのは総額だけ。
「内訳は?」
見ません。見ても計算できないから。
代わりに、妻に「今月使いすぎてない?」と聞きます。
「大丈夫だよ」と言われたら、それでOK。
「確認する」ことより、「信頼できる人に聞く」ことを選んだんです。
【具体的な使い方のコツ】
| 場面 | 私のやり方 |
|---|---|
| コンビニ | タッチ決済で2秒終了 |
| スーパー | セルフレジ+タッチ決済 |
| ネット通販 | 楽天市場でポイント自動充当 |
| 公共料金 | カード自動引き落とし |
| 現金のみの店 | 行かない(諦める) |
【デメリットも正直に】
この方法には、デメリットもあります。
デメリット一覧:
- 現金のみの店に行けない(地元の美味しいラーメン屋に行けないのは悲しい)
- 最大効率のポイント獲得はできない(年間1〜2万円の機会損失)
- カードを紛失したら詰む(予備のカードは妻が管理)
- 「もったいない」と言われることがある(これが一番つらい)
特に最後の**「もったいない」攻撃**は、けっこう堪えます。
「ポイント○倍デーに買えばよかったのに」 「こっちのカードのほうがお得だよ」
善意のアドバイスなのはわかっています。
でも私は、笑顔でこう返すことにしています。
「うん、でも私はこれでいいんだ」
3,400万円の資産を築けた「本当の理由」
計算できなくても、資産は作れる
ここまで読んで、「でも結局、資産運用って計算必要でしょ?」と思った方もいるかもしれません。
確かに、株式投資には数字がつきものです。
でも私は、「計算しない投資」を徹底しています。
私の投資スタイル:
- 毎月定額を自動積立(計算不要)
- インデックスファンドのみ(銘柄選定の計算不要)
- 売らない(売却益の計算不要)
- 配当は再投資(受取額の計算不要)
つまり、一度設定したら、あとは放置。
これを10年続けた結果が、3,400万円です。
「できないこと」を諦めたから、「できること」に集中できた
私がASDとSLDの診断を受けたのは27歳のとき。
それまでの20数年間、私は「普通になろう」ともがき続けていました。
計算ドリルを何度もやり直し、暗算の練習をし、「努力すればできるようになる」と信じていました。
でも、できなかった。
診断を受けて、ようやく理解しました。
これは「努力不足」じゃない。脳の特性なんだ。
その瞬間、肩の荷が降りました。
そして、こう考えるようになりました。
「計算はできない。じゃあ、計算しなくていい方法を探そう」
この発想の転換が、私の人生を変えました。
同じ境遇の方へ:「諦める」は「負け」じゃない
「諦める」という言葉のイメージを、変えてみませんか?
仏教の言葉で「諦める」の語源は、「明らめる」だと言われています。
つまり、「物事の道理を明らかにして、受け入れる」という意味。
私が計算を諦めたのは、自分の限界を「明らかにした」から。
そして、その限界を受け入れたからこそ、「じゃあ別の方法で生きよう」と思えた。
これは敗北じゃありません。戦略的撤退です。
ポイント還元を諦めることで、私は心の平穏を手に入れました。
計算を諦めることで、私は資産運用を続けられています。
「できないこと」を手放したから、「できること」に全力を注げるようになった。
これが、計算できない私が3,400万円を築けた「本当の理由」です。
周囲への伝え方──「助けて」と言えるまで
最初は言えなかった
正直に告白します。
障がいを周囲に伝えられるようになるまで、5年以上かかりました。
27歳で診断を受けてから、32歳くらいまで、私は「隠す」ことを選んでいました。
理由は単純。怖かったから。
- 「障がい者」というレッテルを貼られるのが怖い
- 仕事で不利になるのが怖い
- 「言い訳するな」と言われるのが怖い
- 「お前は普通に見える」と否定されるのが怖い
だから、必死で「普通のフリ」をしていました。
レジでパニックになりそうになっても、トイレに逃げ込んで深呼吸して、何事もなかったかのように戻る。
飲み会の割り勘で、「計算お願い」と言えず、適当に多めに払って逃げる。
その「フリ」が、どれだけ心を削っていたか。
転機は「妻」だった
私が初めて障がいのことを打ち明けたのは、今の妻です。
付き合って半年くらいの頃、買い物中にパニックを起こしかけた私を見て、彼女が言いました。
「ねえ、無理しなくていいよ。何かあるなら、聞くから」
その一言で、堰を切ったように話しました。
計算ができないこと。暗算が無理なこと。ポイントカードが怖いこと。レジに並ぶたびに心臓がバクバクすること。
全部、全部話しました。
彼女は、静かに聞いてくれました。
そして最後にこう言いました。
「わかった。じゃあ、私が計算するね」
その瞬間、世界が変わった気がしました。
「助けて」の言い方
今では、職場にも障がいのことを伝えています。
でも、「助けて」の言い方には、コツがあると学びました。
【私が使っている伝え方テンプレート】
- 事実を伝える:「私は限局性学習症(SLD)という障がいがあり、計算が極端に苦手です」
- 具体的に伝える:「暗算ができないので、割り勘の計算などはお手伝いいただけると助かります」
- 感謝を伝える:「いつもご配慮いただき、ありがとうございます」
この3ステップを意識しています。
ポイントは、「何ができないか」と「何をしてほしいか」を具体的に伝えること。
「障がいがあるので配慮してください」だけだと、相手も何をすればいいかわかりません。
「計算が苦手なので、会計のときは電卓を使わせてください」
こう言えば、相手も動きやすい。
おすすめの本──心に響いた「処方箋」たち
計算が苦手な私が、自分を受け入れるまでに読んだ本を紹介します。
『発達障害の私が夫と普通に暮らすために書いているノート』ななしのういさん
この本を読んで、「工夫していいんだ」と心から思えました。
著者のななしのういさんも発達障害当事者。日常生活の「困った」を、独自のノート術で乗り越えている様子が描かれています。
私が特に救われたのは、「できないことは、できる人に頼む」という姿勢。
「頼る」ことを「甘え」だと思っていた私に、「それも立派な生活スキルだよ」と教えてくれた一冊です。
『嫌われる勇気』岸見一郎・古賀史健
言わずと知れたベストセラーですが、障がい受容の過程で読むと、また違う響き方をします。
「他者の期待を満たすために生きているのではない」
この言葉を読んだとき、涙が出ました。
ポイントを最大化できなくても、計算ができなくても、それは「他者の期待」を満たせないだけ。
「私は私の人生を生きていい」と思えるようになった一冊です。
『お金の不安と焦りがなくなる 自分サイズのお財布の育て方』市野瀬克己
この本は、「お金の管理」を超シンプルにする方法が書かれています。
複雑な家計管理は不要。自分に合った「ちょうどいい」を見つければいい。
計算が苦手な私にとって、「複雑にしなくていい」という許可をもらえた本でした。
まとめ:あなたは「損してる」んじゃない、「生き延びてる」んです
長い記事を読んでいただき、ありがとうございます。
最後に、同じように苦しんでいる方へ、伝えたいことがあります。
ポイント還元を追いかけて、パニックになっていませんか?
「お得に生きなきゃ」と、自分を追い詰めていませんか?
私はそれを、やめました。
ポイントは無視していい。
現金は持たなくていい。
決済手段は1つでいい。
「シンプルに生きる」ことは、「損する」ことじゃありません。
「生き延びる」ための、立派な戦略です。
私は計算ができません。
でも、3,400万円の資産を持っています。
妻と子供がいて、毎日それなりに幸せに暮らしています。
「できないこと」を受け入れたから、「できること」に集中できた。
「普通」を諦めたから、「私らしい普通」を見つけられた。
これが、私の10年間の答えです。
あなたは一人じゃありません。
同じように苦しんでいる人は、きっとたくさんいます。
そして、その苦しみを乗り越えた先に、ちゃんと「生きていける道」があるんです。
不器用でいい。計算できなくていい。ポイントを無視してもいい。
あなたは、あなたのやり方で生きていい。
このブログが、その小さな光になれたら嬉しいです。
りゅうぞう







