レジの前で立ち尽くしていた、あの頃の自分へ

結論から言います。

キャッシュレス生活を始めてから、私の人生は確実に楽になりました。大げさじゃなく、本当に。

「87円のお釣りです」

この言葉を聞いた瞬間、頭が真っ白になる感覚。わかりますか?

私はSLD(限局性学習症)の中でも、特に計算が壊滅的に苦手です。暗算?無理です。小銭を数える?地獄です。レジで後ろに人が並んでいるのに、財布の中の小銭をガチャガチャやっている自分。焦れば焦るほど、どのコインがいくらなのかわからなくなる。

「早くしてよ」という無言の圧力を背中に感じながら、結局いつも「すみません、1000円で」と大きいお札を出してしまう。

そして家に帰ると、財布はパンパン。小銭の山。

この「日常の小さな地獄」から解放されたのが、完全キャッシュレス生活でした。


私の「現金恐怖症」ができるまで

27年間、私は「普通」のフリをしていた

はじめまして、りゅうぞうです。38歳、妻と子供が一人ずついます。

私がASD(自閉スペクトラム症)とSLD(限局性学習症)の診断を受けたのは27歳の時でした。それまでの人生は、まさに暗闘の連続。

「なんでこんな簡単なことができないんだろう」

この言葉を、何千回、自分に向けて言ったかわかりません。

特に辛かったのは、お金のやり取りでした。

【私の苦手なことリスト】

  • 暗算が壊滅的にできない(3桁の足し算も電卓必須)
  • 小銭の組み合わせを瞬時に判断できない(87円を出すのに30秒以上かかる)
  • 急な計算を求められるとパニックになる
  • 「これで足りますか?」と聞かれると頭が真っ白になる

コンビニで買い物をするたびに、私の中では小さな戦争が起きていました。

あの日、スーパーで泣きそうになった話

忘れもしない、27歳になる少し前の出来事です。

近所のスーパーで買い物をして、レジに並びました。合計は「1,847円」。財布には小銭がたくさん。「よし、今日こそちゃんと小銭で払おう」と決意しました。

でも、ダメでした。

100円玉、50円玉、10円玉、5円玉、1円玉。それぞれ何枚出せばいいのか、頭の中でグルグル回るのに、答えが出てこない。

後ろでおばちゃんが「ため息」をついた音が聞こえました。

レジのお姉さんは笑顔だったけど、その笑顔がだんだん引きつっていくのがわかりました。

結局、5000円札を出しました。お釣りは3,153円。また小銭が増えました。

店を出た後、駐車場の車の中で、しばらく動けませんでした。

「なんで、こんな簡単なことが、できないんだ」


キャッシュレス生活という「救済」との出会い

最初の一歩:クレジットカードを「使い倒す」と決めた日

診断を受けた後、私は自分の「できないこと」を受け入れる作業を始めました。

「できないことは、できない。でも、できないことを『回避する方法』は存在する」

この考え方に至るまで、正直、時間がかかりました。でも、これが私の人生を変えたんです。

最初に取り組んだのが、完全キャッシュレス化でした。

【私が導入したキャッシュレスツール一覧】

ツール用途おすすめ度
クレジットカードメインの支払い手段★★★★★
PayPayクレカ非対応の小規模店舗★★★★☆
モバイルSuica電車・コンビニ★★★★★
楽天ペイ楽天経済圏との連携★★★☆☆
Apple Watch財布を出す手間すら省く★★★★★

「現金お断り」ではなく「現金を使わない生活設計」

ここで大事なポイントをお伝えします。

キャッシュレス生活は、「現金を拒否する」ことではありません。

「現金を使わなくても済む生活を、自分で設計する」ことなんです。

私の場合、こんな風に生活を組み立てました。

【りゅうぞう式・キャッシュレス生活設計】

  1. メインカードを1枚決める
    • 私は楽天カードを使っています
    • 理由:ポイント還元率が高い、アプリで利用履歴がすぐ見れる
  2. サブとしてQRコード決済を用意
    • PayPayは加盟店が多いので、クレカが使えない個人店で重宝
  3. 交通系ICはスマホに集約
    • モバイルSuicaを入れておけば、改札もコンビニもスムーズ
  4. 現金は「お守り」として少額だけ持つ
    • 私は財布に3,000円だけ入れています
    • 災害時や、本当にキャッシュレスが使えない時のため

具体的な使用例と、私が発見した「コツ」

Apple Watchという「革命」

これは本当に、私の人生を変えたガジェットです。

Apple Watch Series 9を使っていますが、これがあれば財布すら出す必要がありません。

レジで「Suicaで」と言って、手首をかざすだけ。

3秒で支払い完了。

あの「小銭を数える時間」が、完全にゼロになりました。

【Apple Watchのメリット(障がい当事者目線)】

  • ✅ 計算が一切不要:表示された金額をそのまま決済
  • ✅ 焦る必要がない:かざすだけなので、後ろの人を待たせない
  • ✅ 履歴がすぐ確認できる:「いくら使ったっけ?」がスマホですぐわかる
  • ✅ 財布を忘れても大丈夫:時計さえあれば買い物できる

【デメリットも正直に書きます】

  • ❌ 初期費用がかかる:Apple Watch Series 9は約59,800円~
  • ❌ 充電が必要:毎日充電しないと電池が切れる
  • ❌ 現金しか使えない店では無力:まだ現金のみの店も存在する

「家計管理」も自動化した話

ここで、もう一つ大事な話をします。

キャッシュレス化の最大のメリットは、「家計管理の自動化」です。

私は計算が苦手なので、家計簿なんて絶対に続きません。手書きで収支を計算する?無理です。

でも、キャッシュレス決済なら、全ての記録が自動で残るんです。

私が使っているのはマネーフォワードMEというアプリ。

クレジットカード、銀行口座、証券口座を連携しておくと、何にいくら使ったかが全部自動で記録されます。

計算しなくていい。入力しなくていい。ただ眺めるだけ。

これが、計算障害を持つ私にとって、どれほど救いになったか。

ちなみに、私は現在資産が約3,400万円あります。その90%は株式です。

「計算ができない=お金の管理ができない」

この思い込みは、完全に間違いです。

計算ができなくても、**「計算しなくていい仕組み」**を作れば、資産は増やせます。


障がい×資産形成という「意外な相性の良さ」

ここからは、少しマニアックな話をします。

私がなぜ3,400万円の資産を築けたのか。それは、ASDとSLDの特性が、ある種の「投資向き」だったからです。

計算ができないからこそ、「シンプルな投資」に徹した

私は個別株の分析とか、複雑な計算が必要な投資手法は無理です。

だから、インデックス投資に全振りしました。

  • eMAXIS Slim 全世界株式
  • S&P500連動型の投資信託

これらを、毎月一定額、自動で積み立てるだけ。

判断しない。計算しない。ただ、機械的に続けるだけ。

これが、私にはできました。

ASDの特性で「一度決めたルールを淡々と続ける」のが得意だったんです。

市場が暴落しても、私は売りませんでした。なぜなら、「売る」という判断をするのが面倒だったから

結果的に、それが正解でした。

キャッシュレス化で「無駄遣い」が減った理由

現金を使っていた頃、私はよく「端数合わせ」のために余計な物を買っていました。

「あと13円で1,000円ちょうどだから、ガム買おう」みたいな。

でも、キャッシュレスにしてから、そういう無駄な買い物が激減しました。

必要なものだけを買い、ピッとかざして終わり。

年間にすると、たぶん数万円は節約できているんじゃないかと思います。


キャッシュレス化の「障壁」と乗り越え方

「現金しか使えない店」問題

正直、まだ現金しか使えない店は存在します。

特に、個人経営の飲食店や、地方の小さなお店。

私の対処法は、**「そういう店に行く頻度を減らす」**ことでした。

冷たいようですが、自分の心の健康を守るための選択です。

どうしても行きたい場合は、事前に3,000円だけ財布に入れておいて、「お会計はだいたいこのくらいかな」と予測して、お札で払います。

お釣りは気にしない。小銭入れに突っ込んで終わり。その小銭は、後日コンビニのセルフレジで使い切ります。

「管理できなくなるのでは?」という不安への回答

キャッシュレスを始める時、妻から言われました。

「使いすぎない?ちゃんと管理できる?」

正直な話、最初の1ヶ月は少し使いすぎました。

でも、マネーフォワードで「今月いくら使ったか」が見える化されてからは、自然と歯止めがかかるようになりました。

「見える化」は、障がいの有無に関わらず、最強の家計管理術だと思います。


まとめ:あなたの「できない」は、「やり方を変える」だけで消える

長くなりましたが、最後にお伝えしたいことがあります。

私はずっと、「普通の人と同じようにできない自分」を責めてきました。

小銭を数えられない自分。暗算ができない自分。レジで焦る自分。

でも今は、「できない自分」を責めるのではなく、「できなくても困らない仕組み」を作ることに集中しています。

キャッシュレス生活は、その第一歩でした。

【今日からできる、キャッシュレス生活の始め方】

  1. クレジットカードを1枚作る(年会費無料のものでOK)
  2. PayPayをスマホに入れる(本人確認まで済ませておく)
  3. 家計管理アプリをインストールする(マネーフォワードME推奨)
  4. 「現金は緊急用」と割り切る(3,000円だけ持ち歩く)

たったこれだけで、あなたの日常から「小銭を数える苦行」は消えます。


最後に、かつての私のように、レジの前で立ち尽くしているあなたへ。

大丈夫。あなたは一人じゃない。

「できない」ことがあっても、人生は楽しめます。

工夫次第で、いくらでも生きやすくなれます。