ミールキットは「必要経費」です:計算苦手なSLD当事者が見つけた、キッチンストレスゼロの生き方

「料理が苦痛」という人へ、あなたは一人じゃない
結論から言います。ミールキットは「贅沢品」じゃなく、私にとっての「生存戦略」です。
「レシピに書いてある『大さじ2』って、どのくらい?」 「200gって、目分量でどれくらい?」 「塩少々って、少々ってなに?」
こんなことで頭がパンクしそうになったこと、ありませんか?
私はあります。というか、毎日でした。
はじめまして、りゅうぞうです。38歳、妻と子供が一人います。そして、自閉スペクトラム症(ASD)と限局性学習症(SLD)という2つの障がいを持って生活しています。
特にSLDの影響で、計算が壊滅的にできません。暗算はもちろん、計量カップを見ても数字が頭に入ってこない。「200mlの水」と言われても、それがコップ何杯分なのかイメージできないんです。
27歳で診断がついたとき、ショックより「やっと理由がわかった」という安堵感が大きかった。でも、日々の生活、特に「料理」という避けられない家事との戦いは続きました。
そんな私が出会ったのが、ミールキットという革命的なサービスです。
今日は、「計算が苦手」「料理がストレス」という方に向けて、私の実体験をもとにミールキットの活用法をお伝えします。
見出し1:計算できない私の「料理地獄」時代
毎日が計量との戦いだった
料理って、実は「計算の塊」なんですよね。
普通の人にとっては何でもないことが、私にとっては高いハードルでした。
私が料理で苦しんでいたこと:
- 計量スプーンの「大さじ」「小さじ」の違いがわからない
- 「200g」と言われても、感覚的に把握できない
- 複数の工程を同時進行できない(ASDの特性も関係)
- レシピの「適量」「少々」が曖昧すぎて混乱する
- 3品を同時に仕上げるタイミングが読めない
特に辛かったのは、「こんな簡単なこともできないのか」と自分を責める時間でした。
妻に「今日のご飯、塩辛くない?」と言われるたびに、心臓がギュッと締め付けられる。「また失敗した」「俺はダメだ」と、キッチンに立つのが怖くなりました。
「努力が足りない」と言われ続けた20代
診断がつく前の私は、ただの「不器用な人」でした。
「レシピ通りにやればできるでしょ?」 「慣れれば大丈夫だよ」 「ちゃんと集中してる?」
周りの人は悪気なく言っていたと思います。でも、私にとっては「努力しても報われない」という絶望を毎回突きつけられているようでした。
何度レシピを読んでも、数字が頭に入ってこない。計量カップを3回確認しても、「これで合ってる?」と不安になる。
そうやって作った料理は、時間がかかった割に味がブレブレ。家族に申し訳ない気持ちでいっぱいでした。
ミールキットとの出会い——「逃げ」じゃなく「戦略」だった
きっかけは妻の一言
転機が訪れたのは、3年前のことです。
仕事でヘトヘトになって帰宅した日、妻がこう言いました。
「今日、オイシックスのお試しセット頼んでみたんだけど、一緒にやってみない?」
正直、最初は乗り気じゃなかったんです。「ミールキットなんて割高でしょ」「料理くらい自分でできるようになりたい」というプライドもありました。
でも、実際に使ってみて、人生が変わりました。大げさじゃなく、本当に。
「計量いらず」の衝撃
ミールキットを開けた瞬間、目を疑いました。
野菜がカット済み。調味料が小袋で必要量だけ入っている。
これが、どれほど革命的だったか。
「大さじ2」じゃなく、「この袋を全部入れる」でいいんです。 「200g」じゃなく、「このパックを全部使う」でいいんです。
計算不要。数字との戦い、ゼロ。
私は初めて、「料理が楽しい」と思えました。
オイシックスを3年使って分かった、リアルなメリット・デメリット
ミールキットの詳細と選び方
ここで、私が実際に使っているオイシックスの「Kit Oisix(キットオイシックス)」について詳しく紹介します。
Kit Oisixの基本情報:
- 価格帯:1食あたり約700円〜1,500円(2人前)
- 調理時間:約20分が目安
- 特徴:主菜と副菜が20分で完成するセット
- 契約形態:定期便(隔週/毎週)または都度購入
SLD当事者として特に助かるポイント:
| 項目 | 通常の料理 | Kit Oisix |
|---|---|---|
| 計量 | 必要(計算地獄) | 不要(小袋で提供) |
| 野菜カット | 必要(時間かかる) | カット済み(一部) |
| 買い物 | 複数店舗を回る | 宅配で完結 |
| 献立 | 毎日考える | 選ぶだけでOK |
| 調味料 | 複数を組み合わせ | 合わせ調味料で提供 |
正直に書く「デメリット」
もちろん、良いことばかりではありません。3年使って感じたデメリットも正直に書きます。
デメリット一覧:
- 価格は確実に高い
- 自炊と比べると、1食あたり200〜400円ほど割高
- 月に換算すると、約5,000〜10,000円のコスト増
- メニューに飽きることがある
- 同じようなメニューがローテーションされる時期がある
- 「また鶏肉か…」と思うことも
- 届く曜日が固定される
- 急な予定変更に弱い(ASD的にはむしろ助かる面も)
- ゴミが増える
- 個包装なので、プラスチックゴミが多め
- 量が物足りないことがある
- 育ち盛りの子供がいると、追加で何か作る必要も
それでも「必要経費」と言い切る理由
「割高だよね?」とよく聞かれます。
はい、割高です。認めます。
でも、私はこう考えています。
「ストレスで心が壊れるコスト」と「ミールキット代」、どっちが高い?
私は過去、料理のストレスで心身のバランスを崩したことがあります。イライラして家族に当たってしまったり、「料理しなきゃ」というプレッシャーで眠れなくなったり。
その「見えないコスト」を考えたら、月1万円のミールキット代は安すぎる投資です。
数字を使わないキッチン革命——SLD当事者のための調理ハック
ここからは、ミールキット以外の「計算を回避する調理テクニック」を紹介します。リハビリ職の方や、支援者の方にも参考にしていただければ嬉しいです。
ハック1:計量スプーンを「色分け」する
100均で色違いの計量スプーンを買い、マスキングテープで名前を貼る。
- 赤=大さじ
- 青=小さじ
- 黄=大さじ半分
数字じゃなく、色で認識することで混乱を減らせます。
ハック2:「指」を計量器にする
これは海外の料理サイトで見つけた方法です。
- 塩「少々」=親指と人差し指でつまむ量
- 塩「ひとつまみ」=3本指でつまむ量
- 油「適量」=フライパンを一周させる量
曖昧な表現を「動作」に変換することで、数字から解放されます。
ハック3:「計量不要レシピ」を集める
最近は「目分量でOK」「計量不要」を謳うレシピ本やYouTubeチャンネルが増えています。
おすすめリソース:
- 『世界一美味しい手抜きごはん』(はらぺこグリズリー著)
- YouTubeチャンネル「リュウジのバズレシピ」
- クックパッドの「簡単」タグ検索
ハック4:調味料を「オールインワン」に統一
複数の調味料を合わせる作業が苦手なら、最初から合わさっているものを使う。
- 焼肉のタレ → 炒め物の味付けに万能
- めんつゆ → 煮物、和え物、丼物に対応
- 鍋キューブ → 鍋だけじゃなく炊き込みご飯にも
「邪道」と言われるかもしれませんが、私たちには私たちの正解があるんです。
実際の使用例:ある休日の昼食作り
Kit Oisix「ジューシーそぼろと野菜のビビンバ」を作ってみた
先日届いた人気メニューを、実際に作った様子をレポートします。
セット内容:
- 合いびき肉(下味付き)
- 小松菜(カット済み)
- にんじん(千切り済み)
- 温泉卵
- ナムルのたれ(小袋)
- コチュジャンだれ(小袋)
調理工程:
- フライパンでひき肉を炒める(5分)
- 野菜を加えて炒める(3分)
- ナムルのたれを加えて混ぜる(1分)
- ご飯に盛り、温泉卵とコチュジャンだれをかける
所要時間:15分
計量スプーン、使いませんでした。数字、一度も見ませんでした。
それなのに、家族から「美味しい!」と言ってもらえたんです。
この成功体験が、どれだけ自己肯定感を上げてくれるか。当事者の方なら、わかっていただけると思います。
失敗談——調味料を入れすぎた日
正直に失敗談も書きます。
一度、小袋の調味料を「半分使う」指示だったのに、全部入れてしまったことがあります。結果、しょっぱくて食べられない料理が完成しました。
これは私のASD特性で、「袋は全部使い切る」という思い込みがあったから。途中で止める、という判断が苦手なんです。
対策:
- 最初にレシピカードを声に出して読む
- 「半分」の指示があったら、先に袋にハサミで印をつける
- 家族に「今日は半分だけだよ」と声かけしてもらう
失敗から学び、次に活かす。これも「暮らしの攻略本」の大事な要素です。
主要サービス比較表
| サービス名 | 価格帯(1食) | 計量の有無 | カット済み野菜 | おすすめ度 |
|---|---|---|---|---|
| Kit Oisix | 約700〜1,500円 | ほぼ不要 | 一部あり | ★★★★★ |
| ヨシケイ | 約500〜800円 | 一部必要 | なし | ★★★☆☆ |
| コープデリ | 約600〜1,000円 | 一部必要 | 一部あり | ★★★★☆ |
| パルシステム | 約600〜900円 | 一部必要 | 一部あり | ★★★★☆ |
| Amazonフレッシュ | 約800〜1,200円 | ほぼ不要 | あり | ★★★★☆ |
| わんまいる | 約900〜1,100円 | 完全不要 | 調理済み | ★★★★★ |
SLD当事者に特におすすめのサービス
【計量が本当に苦手な方へ】わんまいる
「わんまいる」は、湯煎か流水解凍するだけで食べられる冷凍惣菜のセットです。
正直に言うと、料理とは言えないレベルの簡単さです。でも、それでいいんです。
- 調理時間:5分以下
- 計量:一切不要
- カロリー計算:済み
- 栄養バランス:管理栄養士監修
「今日は本当に無理」という日のお守りとして、冷凍庫に常備しています。
【コスパ重視の方へ】ヨシケイ
ヨシケイは、ミールキットの老舗です。価格が比較的抑えめで、毎日届けてくれるのが特徴。
ただし、カット済み野菜がない場合が多く、計量も一部必要です。SLD当事者には少しハードルが高いかもしれません。
私は「調子がいい週はヨシケイ、疲れている週はオイシックス」と使い分けています。
海外のミールキット事情——ここでしか読めない情報
実は、ミールキットの発祥はスウェーデンなんです。2007年に「Linas Matkasse」というサービスが始まり、その後世界中に広がりました。
アメリカの「Blue Apron」が変えた食卓
アメリカでは「Blue Apron(ブルーエプロン)」が2012年に登場し、ミールキット市場を一気に拡大させました。
Blue Apronの特徴:
- 1食あたり約1,200〜1,500円(約8〜10ドル)
- 農場直送の新鮮な食材
- 詳細なレシピカード付き
興味深いのは、障がい者向けのアクセシビリティ対応が進んでいること。レシピカードに点字版があったり、音声ガイド付きのアプリがあったりします。
日本のサービスも、こうした対応が広がってほしいですね。
ドイツの「HelloFresh」——世界最大手の実力
現在、世界最大のミールキット企業は「HelloFresh(ハローフレッシュ)」です。2021年に日本にも上陸しましたが、2022年に撤退してしまいました。
撤退の理由は「日本の食文化との相性」と言われています。日本人は味付けにこだわりが強く、海外レシピがそのまま受け入れられにくかったようです。
でも、私のようなSLD当事者にとっては、「味付けが決まっている」ことがむしろメリットだったんですけどね。
心の話:「助けを求める」ことを覚えた日
「できない」を認めるまでの葛藤
ミールキットを使い始めたとき、正直に言うと罪悪感がありました。
「こんなもの使わないと料理もできないのか」 「他の人は普通にやってるのに」 「甘えてるだけじゃないのか」
自分を責める声が、頭の中でぐるぐる回っていました。
特に、実家の母から「そんな高いもの使わなくても…」と言われたときは、心が折れそうになりました。
妻の言葉が全てを変えた
そんなとき、妻がこう言ってくれたんです。
「あなたが笑顔でいてくれる方が、私は嬉しい」
泣きました。本当に。
妻は続けました。
「料理で消耗して、イライラして、子供に当たっちゃうくらいなら、お金で解決できることはお金で解決しよう。それは逃げじゃなくて、家族を守る選択だよ」
この言葉で、私の中の何かが変わりました。
「助けて」と言えるようになるまで
それから、少しずつ「助けて」と言えるようになりました。
- 妻に「今日は疲れてるから、冷凍のやつでいい?」と言える
- 子供に「パパ、計算苦手だから、一緒にレシピ読んでくれる?」と頼める
- 職場の人に「数字が苦手なので、メモで渡してもらえますか」とお願いできる
「できない」を認めることは、弱さじゃない。
むしろ、自分の特性を理解した上で最適な方法を選ぶことは、生きる知恵だと思います。
まとめ:あなたの「必要経費」は何ですか?
「割高」の先にあるもの
この記事で伝えたかったことをまとめます。
ミールキット活用のポイント:
- 計量不要のサービスを選ぶ
- Kit Oisix、わんまいるがおすすめ
- 小袋調味料で数字との戦いを回避
- 「割高」を「必要経費」と捉え直す
- ストレスで心身を壊すコストの方が高い
- 家族の笑顔を守る投資と考える
- 自分に合った使い分けをする
- 調子がいい日は自炊、疲れた日はミールキット
- 完璧を目指さない
- 「助けて」と言える環境を作る
- 家族に特性を伝える
- 一人で抱え込まない
あなたは一人じゃない
もしこの記事を読んでいるあなたが、かつての私のように「料理ができない自分」を責めているなら、こう伝えたいです。
あなたは怠けているわけじゃない。 努力が足りないわけでもない。 ただ、脳の特性が少し違うだけ。
だから、自分を責めないでください。
ミールキットでも、冷凍食品でも、出前でも、何を使ったっていいんです。大事なのは、あなたとあなたの大切な人が、笑顔でいられること。
私は計算が苦手です。暗算もできません。でも、そんな私でも3,400万円の資産を築くことができました。「できない」を認めたからこそ、ここまで来れたんです。
あなたにも、あなただけの「攻略法」が必ず見つかります。
このブログが、その小さなヒントになれたら嬉しいです。
※この記事は2025年1月時点の情報をもとに作成しています。各サービスの価格や内容は変更される場合がありますので、公式サイトでご確認ください。
※オイシックス公式サイト:https://www.oisix.com/ ※わんまいる公式サイト:https://www.onemile.jp/






