音に殺されそうだった日々

結論から言います。私が3,400万円の資産を築いた最大のモチベーションは、「静けさを買うため」でした。

「え、資産運用の話じゃないの?」と思われたかもしれません。でも、ちょっと待ってください。

私はASD(自閉スペクトラム症)とSLD(限局性学習症)を持つ38歳、りゅうぞうです。計算は暗算どころか、繰り上がりの足し算すら怪しい。書字も苦手で、自分の名前を何度書いても「これでいいんだっけ?」と不安になる。

そんな私が、なぜ資産形成に成功したのか。

答えは単純です。「静かな場所に住みたい」という、切実すぎる願いがあったから。

聴覚過敏を持つ人にとって、音は「うるさい」のレベルじゃありません。刃物みたいに神経を削ってくる。隣の部屋のテレビの音、上階の足音、外を走るバイクの排気音——普通の人が気にならない音が、私には拷問でした。

この記事では、「静かな住環境への投資」という切り口から、障がいを持ちながら資産を築くモチベーションの作り方をお話しします。


聴覚過敏との壮絶な戦い

「普通のアパート」が地獄だった20代

27歳で診断を受ける前、私は「なぜ自分だけがこんなに音に苦しむのか」がわからなかった。

最初に一人暮らしを始めた築30年のアパート。家賃4万5,000円。条件としては悪くなかったはずです。でも、入居3日目にして後悔しました。

地獄のBGMリスト:

  • 隣人の目覚まし時計(朝5時。壁越しにハッキリ聞こえる)
  • 上階のお子さんの足音(ドタドタドタ……永遠に続く)
  • 外の道路を走るトラック(振動が床から伝わってくる)
  • 換気扇のモーター音(低周波が脳を揺らす感覚)

「みんな我慢してるんだから」と自分に言い聞かせました。でも、我慢できなかった。夜中に何度も目が覚める。仕事中もずっと音が頭に残っている。休日に家にいるのが苦痛で、カフェや図書館を転々とする生活。

これ、「住む」って言えますか?

睡眠不足と疲労が蓄積して、メンタルも崩壊寸前。当時の私は、問題が「聴覚過敏」にあることすら気づいていませんでした。

診断後に見えた「解決策」

27歳でASDの診断を受けたとき、医師から言われた言葉が忘れられません。

「りゅうぞうさん、あなたの聴覚過敏はかなり強いですね。環境調整が最優先です」

環境調整。つまり、「自分を変える」のではなく「環境を変える」という発想。

それまで私は、「我慢すればいい」「慣れればいい」と思っていました。でも、聴覚過敏は「慣れ」で解決する問題じゃない。むしろ、無理を続けると悪化することすらある。

この瞬間、私の中で明確な目標が生まれました。

「静かな場所に住む。そのためにお金を貯める」


「静けさを買う」ための資産形成戦略

計算苦手でも投資はできる

ここで多くの人が疑問に思うでしょう。

「計算が苦手なのに、どうやって3,400万円も?」

正直に言います。私は今でも暗算ができません。 2桁の足し算でも電卓を使います。株価の計算?PERやPBR?数字を見ただけで頭が痛くなります。

でも、投資に「計算能力」は必須じゃないんです。

私が実践した「計算不要」の投資法:

方法具体的な内容なぜ計算不要か
インデックス投資全世界株式に毎月定額積立銘柄選びも計算も不要
自動積立設定給料日に自動で証券口座へ忘れても勝手に貯まる
長期保有買ったら10年以上放置売買タイミングを考えない
家計簿アプリマネーフォワードで自動管理手計算ゼロ

特にインデックス投資は、私のような「数字アレルギー」持ちの救世主でした。

難しい分析は一切不要。「全世界の経済は長期的には成長する」という前提を信じて、毎月コツコツ買うだけ。実際、私の資産の90%がこの方法で築いたものです。

「静かな家」を目標にした理由

資産形成を続けるには、強いモチベーションが必要です。

「老後のため」「なんとなく不安だから」——こういう漠然とした理由だと、途中で挫折しやすい。特に私のような「先の見通しを立てるのが苦手」なASD特性を持つ人間には、具体的なゴールが必須でした。

私の場合、そのゴールが「静かな住環境」でした。

具体的な目標設定:

  • 防音性の高いマンション:築10年以内、鉄筋コンクリート造
  • 閑静なエリア:駅徒歩15分以上OK、大通りから離れた場所
  • 角部屋 or 最上階:隣人・上階の音リスクを最小化
  • 予算:購入なら頭金1,000万円以上、賃貸なら家賃12万円以上

この「数字」が明確だったから、「あといくら」が見えた。見えるから、続けられた。


防音マンション探し・完全攻略ガイド

聴覚過敏当事者が見るべきポイント

ここからは、実際に私が学んだ「防音性の高い物件の見分け方」を詳しく解説します。

物件選びのチェックリスト:

①構造を確認する

  • 鉄筋コンクリート造(RC造):基本中の基本
  • 鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造):さらに良い
  • 木造・軽量鉄骨:聴覚過敏には厳しい(経験済み)

②壁の厚さを聞く

  • 理想は180mm以上
  • 不動産屋に「戸境壁(こざかいへき)の厚さを教えてください」と聞く
  • 曖昧な回答の物件は避ける

③床のスラブ厚を確認

  • 200mm以上が望ましい
  • 二重床・二重天井だとさらに防音効果UP

④窓の仕様

  • 二重サッシ or 防音ガラス
  • 道路側の窓は特に重要

⑤周辺環境の現地調査

  • 平日・休日、朝・昼・夜、異なる時間帯に訪問
  • 近くに学校、工場、飲食店がないか
  • 飛行機のルート下でないか(Googleマップで確認可能)

私が選んだ物件と、その結果

現在住んでいるのは、築8年の鉄筋コンクリート造マンション。角部屋で、大通りから2本入った閑静な住宅街にあります。

スペック:

  • 家賃:13万2,000円(管理費込み)
  • 戸境壁:180mm
  • スラブ厚:200mm
  • 窓:ペアガラス(二重窓ではないが、静かな場所なので問題なし)

住んでみた感想:

正直に言います。人生が変わりました。

以前のアパートでは、週末も疲労で何もできなかった。今は、家で本を読める。集中して作業ができる。妻や子どもとの時間を穏やかに過ごせる。

「たかが住環境」と思うかもしれません。でも、聴覚過敏の当事者にとって、静けさは「贅沢」じゃなくて「生存条件」なんです。


お金をかけた防音アイテム・テクノロジー

住環境以外の「音対策」投資

マンションの防音性が高くても、完璧ではありません。私が追加で投資した防音アイテムを紹介します。

①ノイズキャンセリングイヤホン

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  • 商品名: Sony WF-1000XM5
  • 価格: 約36,000円
  • 使用感: 外出時の救世主。電車、カフェ、あらゆる場所で「自分だけの静けさ」を持ち歩ける
  • デメリット: 長時間使用で耳が疲れる。バッテリー切れの恐怖

②防音カーテン

  • 商品名: ピアリビング 5重構造防音カーテン
  • 価格: 約25,000円(窓2枚分)
  • 使用感: 外からの中高音をかなりカット。遮光効果もあり睡眠の質が向上
  • デメリット: 重い。取り付けに苦労した

③耳栓(睡眠用)

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  • 商品名: MOLDEX メテオ
  • 価格: 約500円(8ペア入り)
  • 使用感: コスパ最強。使い捨てなので衛生的
  • デメリット: 目覚ましが聞こえにくい(スマートウォッチの振動アラームで解決)

④ホワイトノイズマシン

  • 商品名: Yogasleep Dohm
  • 価格: 約8,500円
  • 使用感: 「無音」より「一定の音」の方が落ち着く場合に有効
  • デメリット: 好みが分かれる。私は使わなくなった

「聴覚過敏」と「ミソフォニア」の違い

少し専門的な話をします。

聴覚過敏(Hyperacusis) と ミソフォニア(Misophonia) は混同されがちですが、別の現象です。

項目聴覚過敏ミソフォニア
反応する音大きな音・特定の周波数特定の「トリガー音」(咀嚼音、鼻すすりなど)
感じ方音が「痛い」「不快」音に対して「怒り」「嫌悪感」
原因聴覚システムの過敏脳の感情回路との関連
ASDとの関連高い独立した症状として存在

私の場合、両方の傾向があります。大きな音は物理的に痛い(聴覚過敏)。そして、人の咀嚼音は生理的に耐えられない(ミソフォニア)。

この違いを理解していると、対策も変わってきます。聴覚過敏には「音量を下げる」アプローチ、ミソフォニアには「トリガー音を避ける or 別の音で覆う」アプローチが有効です。

まとめ:静けさは、投資する価値がある

長くなりましたが、最後にお伝えしたいことをまとめます。

この記事のポイント:

✅ 聴覚過敏にとって、静かな住環境は「贅沢」ではなく「生存条件」

✅ 防音性の高い物件を選ぶには、構造・壁厚・スラブ厚・周辺環境を確認

✅ 計算が苦手でも、インデックス投資×自動積立で資産形成は可能

✅ 「静かな家に住む」という具体的な目標が、継続のモチベーションになる

✅ 障がいを伝えるには「型」を持つこと。具体的なお願いで締める

✅ 「助けて」と言えるようになるには、小さなお願いから練習する


私は今、とても静かな部屋でこの記事を書いています。

窓の外からは、かすかに鳥の声。それだけ。

10年前の私が見たら、信じられないような光景でしょう。あの頃、騒音に追い詰められて「もう無理だ」と思っていた私に、教えてあげたい。

「大丈夫。静けさは、買える。」

そのためにお金を貯めよう。自分を守る環境は、自分で作れる。

あなたがもし、今の住環境で苦しんでいるなら。「我慢するしかない」と思っているなら。

それは違います。

工夫の余地がある。お金をかける価値がある。そして、その目標のために資産を築くことは、立派な「自分への投資」です。

不器用な私でもできました。だから、あなたにもきっとできる。


最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

静かな場所で、穏やかに、あなたらしく生きられることを願っています。

りゅうぞう