「できない」を認めて楽になる|カミングアウトと「助けて」が言えるまでの話

あなたは今、「できない自分」を責めていませんか?
「なんでこんな簡単なことができないんだろう」
そう自分を責めて、夜中に泣いたことはありませんか?
私はあります。何度も、何度も。
役所の書類が書けない。お釣りの計算ができない。みんなが当たり前にできることが、どうしてもできない。その度に「自分はダメな人間だ」と思い込んでいました。
でも、今ははっきり言えます。
「できない」を認めた瞬間から、人生は驚くほど楽になりました。
この記事では、ASD(自閉スペクトラム症)とSLD(限局性学習症)を持つ私が、どうやって周囲に障害を伝えてきたか、そして「助けて」と言えるようになるまでの道のりをお話しします。
計算と書字が極端に苦手な私ですが、実は今、3400万円の資産を築いています。その90%は株式です。
「計算できないのに投資?」と思いますよね。
そう、「できない」と「できる」は、私たちが思っているほど単純じゃないんです。
同じように苦しんでいるあなたへ。この記事が、小さな光になれたら嬉しいです。
隠し続けた20代|カミングアウトできなかった理由
「バレたら終わり」という恐怖
診断を受けたのは27歳のときでした。
正直、ホッとした気持ちと同時に、こう思いました。
「これは絶対に誰にも言えない」
当時の私が恐れていたことをリストにすると、こんな感じです。
- 「障害者」というレッテルを貼られる
- 仕事を任せてもらえなくなる
- 友人が離れていく
- 結婚できなくなる
- 「言い訳」だと思われる
特に最後の「言い訳だと思われる」が一番怖かった。
「計算できないんです」と言ったら、「努力が足りないだけでしょ」と返される。その場面を想像するだけで、胃がキリキリしました。
隠すために使ったエネルギーは膨大だった
隠すって、本当に疲れるんです。
飲み会の割り勘では、わざとトイレに立って誰かが計算し終わるのを待つ。書類を書くときは、何度も下書きしてから清書する。それでも字が汚いと言われる。
「普通のふり」をするために、毎日全力疾走していました。
今思えば、そのエネルギーを別のことに使えていたら、もっと早く資産形成できていたかもしれません。
転機になった出来事|「もう隠せない」と思った日
職場での限界
30歳を過ぎた頃、職場で補助の仕事を任されました。
「簡単な入力作業だから」と言われたのですが、私にとっては地獄でした。
数字の入力ミスが多発。チェックしても、チェックしても間違える。
ある日、上司に呼び出されて言われました。
「君、やる気あるの?」
その瞬間、何かが弾けました。
泣きながら伝えた日
「実は、学習障害があるんです」
震える声で、初めて打ち明けました。
上司の反応は、予想と違いました。
「そうだったのか。もっと早く言ってくれれば、違う仕事を振れたのに」
責められると思っていた。でも、返ってきたのは「なぜ言わなかった」という言葉でした。
もちろん、すべての職場がこうとは限りません。理解のない環境もあるでしょう。
でも、この経験は私に大きな気づきを与えてくれました。
隠すことで守っていたのは、自分のプライドだけだった。
そして、そのプライドは、自分を苦しめる檻でしかなかったのです。
「助けて」の具体的な言い方|実践フレーズ集
「カミングアウトが大事なのはわかった。でも、具体的にどう言えばいいの?」
そう思いますよね。私も最初は言葉が見つかりませんでした。
ここでは、私が実際に使っている「助けて」のフレーズを場面別に紹介します。
【役所での手続き】
役所の書類って、本当に難しいですよね。専門用語だらけで、どこに何を書けばいいのかわからない。
私が使うフレーズ:
「すみません、書字障害があって書類を書くのが難しいんです。代筆をお願いできますか?」
ポイントは「障害名を具体的に言う」こと。
「字が苦手で」だと、「練習すれば?」と返されることがあります。でも「書字障害」と言えば、「あ、そういうことか」と理解してもらいやすい。
もう一つのコツ:
「何か証明書は必要ですか?」
先に聞いておくと、スムーズです。多くの場合、口頭の申告だけで対応してもらえますが、障害者手帳があると話が早いこともあります。
【お店での計算】
コンビニやスーパーでは、キャッシュレス決済を徹底しています。
でも、現金しか使えない場面もある。そんなときはこう言います。
私が使うフレーズ:
「計算が苦手なので、お釣りを確認していただけますか?」
これだけで大丈夫。店員さんは慣れているので、丁寧に対応してくれます。
【友人・知人への伝え方】
ここが一番難しいですよね。
私は「重くなりすぎない」ことを意識しています。
私が使うフレーズ:
「実は計算がめちゃくちゃ苦手で、割り勘とか任せると大変なことになるんだ(笑)」
笑いを交えることで、相手も構えずに聞いてくれます。
その後、興味を持ってくれた人には詳しく話す。興味なさそうな人には、それ以上深入りしない。
全員に理解してもらう必要はないんです。
「合理的配慮」を引き出す交渉術
少しマニアックな話をします。
2024年4月から、改正障害者差別解消法が施行されました。これにより、民間企業にも「合理的配慮の提供」が義務化されています。
合理的配慮とは?
障害のある人が、障害のない人と同じようにサービスを受けたり、働いたりできるように、必要な調整や変更を行うことです。
たとえば、私の場合:
| 困りごと | 合理的配慮の例 |
|---|---|
| 書類が書けない | 代筆・口頭での確認 |
| 計算ができない | 電卓の使用許可・検算のサポート |
| 口頭説明が理解しにくい | 書面での説明 |
交渉のコツ:
- 事前に連絡する(当日だとバタバタする)
- 具体的に伝える(「障害があります」ではなく「計算ができません」)
- 代替案を提案する(「こうしてもらえると助かります」)
「配慮してください」ではなく、「こうすればお互いスムーズですよね」というスタンスで伝えると、相手も受け入れやすいです。
「できない」を認めたら、お金が増えた話
ここで、冒頭で触れた「3400万円の資産」の話をします。
計算ができない私が、なぜ資産を築けたのか?
答えはシンプルです。
「自分で計算しない仕組み」を作ったから。
私の投資スタイル
- インデックス投資をメインに(個別株の分析は苦手だから)
- 自動積立を設定(毎月決まった額が自動で投資される)
- 資産管理アプリで全体像を把握(計算はアプリがやってくれる)
細かい計算は、全部テクノロジーに任せています。
私がやるのは、「大きな方針を決める」ことだけ。
- どのくらいリスクを取るか
- いつまでに、いくら必要か
- 何に投資するか
これは、計算力ではなく「考える力」の領域です。
「できない」を認めたから見えた景色
もし私が「計算できないけど、頑張って克服しよう」としていたら、投資なんて始められませんでした。
「できない」を認めたからこそ、「じゃあ、できる方法を探そう」と発想を転換できた。
弱点を隠すより、弱点を前提にした戦略を立てる。
これが、私の人生を変えた考え方です。
周囲の無理解への向き合い方
もちろん、すべてがうまくいくわけではありません。
カミングアウトしても、理解してもらえないことはあります。
「そんなの甘えでしょ」 「みんな苦手なことはあるよ」 「障害を言い訳にしてない?」
こういう言葉を投げかけられると、心がえぐられますよね。
私の「気持ちの整理術」
ステップ1:まず、傷ついた自分を認める
「傷ついてないふり」をすると、後で爆発します。「今、傷ついたな」と自分で認めること。
ステップ2:相手の言葉を「翻訳」する
「甘えでしょ」という言葉の裏には、「私にはあなたの苦しみが想像できない」という意味が隠れています。相手の想像力の限界であって、あなたの価値とは関係ない。
ステップ3:距離を取る
無理に理解してもらおうとしない。理解してくれる人との時間を増やす方が、心が楽になります。
「わかってくれる人」は必ずいる
全員に理解されなくていい。
でも、一人でも「わかるよ」と言ってくれる人がいれば、生きていける。
私はそう思っています。
まとめ:「できない」は、あなたの終わりじゃない
ここまで読んでくださって、ありがとうございます。
最後に、伝えたいことをまとめます。
この記事のポイント:
- 「できない」を隠すより、認めた方が人生は楽になる
- カミングアウトは「全員に」する必要はない
- 「助けて」は具体的なフレーズを用意しておくと言いやすい
- 弱点を前提にした「仕組み」を作れば、強みに変わる
- 理解されないことはある。でも、わかってくれる人は必ずいる
「できない」は、あなたの終わりじゃありません。
むしろ、そこからがスタートです。
私は計算ができません。字も下手です。でも、自分なりのやり方で、自分なりの人生を築いています。
あなたにも、あなただけのやり方があるはずです。
この記事が、その第一歩を踏み出すきっかけになれたら、これ以上嬉しいことはありません。







