「計算できない」のに、なぜ資産が増えるのか?

「え、計算苦手なのに投資してるの?」

これ、私がよく言われる言葉です。

はじめまして、りゅうぞうです。38歳、妻と子供が一人ずついる普通の(いや、ちょっと変わった)父親です。

私には自閉スペクトラム症(ASD)と限局性学習症(SLD)という2つの障がいがあります。特にSLDの影響で、暗算がまったくできません。スーパーのレジで「合計1,847円です」と言われても、財布の中身と照らし合わせるのに数秒かかります。恥ずかしながら、九九も怪しい部分があります。

でも、私の資産は現在約3,400万円。そのうち90%が株式です。

「嘘でしょ?」と思いますよね。私も不思議に思うことがあります。

結論から言います。

計算が苦手だからこそ、私は「余計なことをしない投資」に徹することができました。

そして、ASDの特性である「同じことを繰り返すのが好き」という性質が、資産形成において最強の武器になったのです。

今日お話しするのは、「毎月1日にだけ口座を見る」というシンプルなルーティンについてです。


なぜ「見ない」ことが資産を守るのか

投資初心者がハマる「毎日チェック地獄」

投資を始めたばかりの頃、私もやってしまいました。

毎日、いや、1日に何度も証券口座を開いてしまう。

  • 朝起きてすぐチェック
  • 仕事の休憩時間にチェック
  • 寝る前にまたチェック

上がっていれば嬉しい。下がっていれば不安になる。

特にASDの私は、一度気になり始めると頭から離れなくなります。仕事中も「今、いくらになってるかな」と考えてしまい、集中力が完全に奪われました。

そしてある日、やってしまったのです。

株価が5%下がった日に、パニックになって売ってしまいました。

結果、その株は翌月には10%上がりました。もし持ち続けていれば、プラスだったのに。

計算が苦手な私でも、これだけは分かりました。

「見れば見るほど、余計なことをしてしまう」


感情と投資は相性が最悪

ここで少し専門的な話をします。

行動経済学という分野があります。これは「人間は合理的に行動できない」ということを研究する学問です。

その中に「損失回避バイアス」という概念があります。

簡単に言うと、人間は「得する喜び」よりも「損する痛み」を2倍強く感じるということです。

例えば:

  • 1万円得した → 嬉しさ「1」
  • 1万円損した → 悲しさ「2」

だから、株価が下がると過剰に反応してしまう。売らなくていいのに売ってしまう。

私のような感情のコントロールが苦手なASD当事者にとって、これは致命的な問題でした。

だからこそ、「見ない」という選択をしたのです。


毎月1日ルーティンの具体的なやり方

私の「月イチ確認ルール」

現在、私が実践しているルーティンはこれです。

【りゅうぞう式・月イチ投資ルーティン】

日付やることやらないこと
毎月1日証券口座にログイン売買の判断
毎月1日総資産額をメモ個別株の値動き確認
毎月1日積立が実行されたか確認他の投資家のSNSを見る
2日〜月末何もしない口座を開く

シンプルでしょう?

ASDの「同一性保持」という特性が、ここで活きてきます。

「同一性保持」とは、「いつも同じだと安心する」という特性のことです。これ、一般的には「融通がきかない」とネガティブに捉えられがちですが、投資においては最強の武器になります。

なぜなら、毎月同じ日に、同じことをするだけでいいからです。

変化が苦手?大丈夫。投資に変化は必要ありません。


具体的な手順を公開

私が毎月1日にやっていることを、さらに詳しくお伝えします。

ステップ1:決まった時間にログイン

私は毎月1日の朝7時に証券口座を開きます。なぜ朝7時かというと、市場が開く前だからです。株価がリアルタイムで動いていると、気になって仕方がなくなります。市場が閉まっている時間帯なら、落ち着いて確認できます。

ステップ2:総資産額だけをメモ

私はスマホのメモアプリに、総資産額だけを記録しています。

2024年1月1日:3,200万円
2024年2月1日:3,180万円
2024年3月1日:3,250万円
...

これだけです。個別の銘柄がいくら上がった、下がった、というのは見ません。

ステップ3:積立が実行されたか確認

私はインデックスファンドの自動積立を設定しています。毎月15日に自動的に買い付けられるのですが、1日に前月分がちゃんと実行されたかだけ確認します。

ステップ4:ログアウトして、アプリを閉じる

ここが一番大事です。確認が終わったら、すぐに閉じる。

「ちょっと他のファンドも見てみようかな」「最近話題のあの株、どうなってるかな」という誘惑に負けないことが重要です。


なぜ「個別株は別の話」なのか

ここで、タイトルにもある「個別株は別の話」について触れておきます。

正直に告白します。

私、個別株も持っています。しかも、けっこうな銘柄数を。

私の投資は「二階建て」

私の資産は、大きく分けて2つの階層で構成されています。

【1階:毎月積立(月イチ確認でOK)】

eMAXIS Slim 全世界株式を中心に、毎月118,000円を9銘柄に自動積立しています。これが資産の「土台」。完全放置で、月イチ確認だけです。

【2階:個別株(積立なし・保有のみ)】

NVIDIA、Astera Labs、ルーブリックなど、米国個別株を9銘柄保有しています。


「別の話」である3つの理由

理由1:毎月積立していない

個別株は一度買ったら基本放置。毎月の判断が必要な積立はしていません。

理由2:分析は「計算」じゃなく「興味」

決算書は読めません。でもASDの特性で、興味のある分野には深く集中できる。テクノロジーやAIに惹かれて、「この会社が作る未来に投資したい」という感覚で選んでいます。

理由3:最悪ゼロになっても1階が守ってくれる

ここが一番大事。個別株が全部なくなっても、毎月の積立という土台がある。だから冒険ができるのです。


読者の方へ

もし個別株に興味があるなら、まず1階(積立)を作ってください

「見なくても大丈夫」という感覚が身についてから、余裕資金で始めても遅くありません。

土台があるから、冒険ができる。

これは投資だけじゃなく、人生全般に言えることかもしれませんね。


ルーティンを支えるツールと工夫

私が使っているアプリ・サービス

ルーティンを継続するために、いくつかのツールを活用しています。

1. 証券会社の自動積立機能

私は楽天証券とSBI証券を使っていますが、どちらも自動積立機能があります。毎月決まった日に、決まった金額が自動的に投資されます。

これが最高なのは、「買うタイミングを考えなくていい」ということです。

「今は高いから待とう」「もっと下がるかも」という感情的な判断を完全に排除できます。

2. リマインダーアプリ

毎月1日の朝7時に、スマホのリマインダーが鳴るように設定しています。

「口座確認の日」

これだけ。ASDの私にとって、「決まった時間に通知が来る」というのはとても安心できる仕組みです。

3. 家計簿アプリは使わない(あえて)

これは意外かもしれませんが、私は家計簿アプリを使っていません。

理由は単純で、数字を見すぎると気になって仕方がなくなるからです。

代わりに、毎月の生活費は「決まった金額だけ生活口座に入れる」という方法を取っています。入っているお金だけで生活する。シンプルです。


ルーティンを続けるための心構え

正直に言います。

最初の3ヶ月は、本当に辛かったです。

「今日、口座を見たい」「ちょっとだけ」「1分だけ」

この誘惑との戦いでした。

でも、ASDの「こだわり」がここでも活きました。

「毎月1日に見る」と決めたら、それ以外の日に見るのはルール違反になります。私はルール違反が大嫌いです。

だから、「見たい」という気持ちを「ルールを守りたい」という気持ちで上書きしました。

3ヶ月経った頃には、見なくても平気になっていました。

むしろ、見ないことが当たり前になっていました。


まとめ:「同じ」を続ける力が、あなたの資産を守る

ここまで読んでくださって、ありがとうございます。

最後にお伝えしたいことがあります。

ASDの特性は、資産形成において「弱み」ではありません。

  • 変化が苦手 → 無駄な売買をしない
  • こだわりが強い → ルーティンを継続できる
  • 感情のコントロールが難しい → だからこそ「見ない」仕組みを作る

私たちの特性を、「だからダメ」ではなく「だからこそ」に変換することができます。


計算が苦手でも、暗算ができなくても、資産を増やすことはできます。

私がその証拠です。

必要なのは、複雑な計算ではなく、シンプルなルーティンです。

毎月1日にだけ口座を見る。それ以外は見ない。

たったこれだけのルールが、感情的な無駄遣いを防ぎ、あなたの資産を守ってくれます。


もしあなたが「自分には投資なんて無理だ」と思っているなら、ぜひ試してみてください。

「できない」を「やらなくていい」に変える。

それが、私たちらしい資産形成の形だと思います。

一緒に、ゆっくり歩いていきましょう。

りゅうぞう