蛍光灯のチラつきが地獄だった私が「光の処方箋」を見つけるまで|ASD感覚過敏×照明の最適解

あなたも「この光、なんか無理」と感じていませんか?
オフィスの蛍光灯の下にいると、なぜか頭がボーッとする。 コンビニに入った瞬間、目がチカチカして逃げ出したくなる。 家に帰っても、なんだか落ち着かない。
もしあなたがこんな経験をしているなら、それは「感覚過敏」のサインかもしれません。
はじめまして、りゅうぞうです。38歳、妻と子供が一人ずついる、ASD(自閉スペクトラム症)とSLD(限局性学習症)を持つ当事者です。
結論から言います。
照明を変えるだけで、家が「戦場」から「聖域」に変わります。
大げさに聞こえますか?でも私にとって、これは人生を変えた発見でした。
27歳で診断を受けるまでの20年間、私は「なぜ自分だけこんなに疲れやすいのか」がわからなかった。周りと同じ環境にいるのに、自分だけがグッタリしている。努力が足りないんだと、ずっと自分を責めていました。
でも違ったんです。私の脳は、光や音を「フィルターなし」で受け取っていた。蛍光灯のチラつきという、他の人が気づかないノイズを、私は全力で処理し続けていたんです。
この記事では、感覚過敏を持つ私が10年以上かけて見つけた「照明の最適解」をお伝えします。
1:なぜ蛍光灯は「拷問器具」になるのか?ASDと光の科学
感覚過敏とは何か?初心者向け解説
まず、感覚過敏について説明させてください。
感覚過敏とは、五感(視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚)の刺激を、一般的な人よりも強く感じてしまう特性です。ASDを持つ人の約70〜90%が、何らかの感覚過敏を持っていると言われています。
私の場合、特に強いのが視覚過敏でした。
私が苦手な光の特徴:
- 蛍光灯の微細なチラつき(フリッカー)
- 白すぎる光(色温度が高い光)
- 直接目に入る眩しい光
- 光の反射(テーブルや床の照り返し)
「え、蛍光灯ってチラついてるの?」と思った方もいるかもしれません。
実は、一般的な蛍光灯は1秒間に100〜120回点滅しています。多くの人はこれを認識しませんが、感覚過敏を持つ人は「無意識のレベル」でこのチラつきを感知し、脳が疲弊してしまうのです。
私の失敗談:新居の照明で地獄を見た話
実は恥ずかしい話、結婚して新居を構えた時に大失敗をしました。
「照明なんてどれも同じでしょ」
そう思って、一番安かったシーリングライト(蛍光灯タイプ)を全部屋に設置したんです。
結果、家にいるのに休まらないという最悪の状態に。
リビングにいると頭が重い。寝室で横になっても目が冴える。休日に家で過ごすと、月曜日には逆に疲れている。
妻に「なんでそんなにイライラしてるの?」と言われることが増え、夫婦関係にも影響が出始めました。
でも当時の私は、それが「照明のせい」だとは夢にも思っていなかった。
2:光の処方箋|感覚過敏を持つ私が辿り着いた照明選びの3原則
診断を受けた27歳以降、私は自分の「取扱説明書」を作るつもりで、何が自分を疲れさせるのかを徹底的に調べました。
そして辿り着いたのが、この3つの原則です。
原則1:色温度は「電球色」を基本にする
色温度とは、光の色味を数値化したものです。単位はK(ケルビン)。
| 色温度 | 光の色 | 特徴 |
|---|---|---|
| 2700K〜3000K | 電球色(オレンジ) | リラックス効果が高い |
| 4000K〜4500K | 温白色 | 自然光に近い |
| 5000K〜6500K | 昼白色・昼光色(青白い) | 覚醒効果が高い |
感覚過敏を持つ私たちにとって、昼白色・昼光色は要注意です。
青白い光は脳を覚醒させる効果があり、オフィスや学校で使われる理由はここにあります。でも、その「覚醒」が私たちには「刺激過多」になる。
私のおすすめは2700K〜3000Kの電球色。
夕焼けや焚き火の光に近い色温度で、人間が本能的にリラックスできる光です。
原則2:「調光機能」は必須装備
同じ光でも、朝と夜では必要な明るさが違いますよね。
さらに、ASDを持つ私たちは日によってコンディションが違う。昨日は平気だった光が、今日は刺さるように痛い、なんてことがザラにあります。
だから、調光機能(明るさを調整できる機能)は絶対に必要です。
最近のLEDシーリングライトは、ほとんどの製品に調光機能がついています。価格も5,000円〜15,000円程度で、蛍光灯時代と比べても電気代が安くなるので、初期投資はすぐに回収できます。
原則3:「直接光」より「間接光」を選ぶ
これが最も効果を実感したポイントでした。
直接光とは、照明器具から直接目に入る光のこと。一般的なシーリングライトがこれに当たります。
間接光とは、壁や天井に光を反射させて、柔らかく拡散した光のこと。
間接光の何がいいかというと:
- 光源が直接目に入らない
- 影のコントラストが柔らかくなる
- 空間全体がふんわりと明るくなる
私が愛用している間接照明の配置例:
- テレビの後ろにLEDテープライト
- ベッドの下にフロアライト
- 棚の上にクリップライト(上向き設置)
全てを間接照明にする必要はありません。メインの照明を暗めに設定し、間接照明で補助する「二層構造」がおすすめです。
3:具体的なアイテム紹介|私が実際に使っている照明たち
おすすめ1:Philips Hue(フィリップス・ヒュー)
価格帯: スターターキット 約20,000円〜30,000円
これは私の人生を変えたと言っても過言ではない製品です。
Philips Hueの特徴:
- スマホアプリで明るさ・色温度を自由に調整できる
- 1600万色以上の色に変更可能
- タイマー設定で朝は徐々に明るく、夜は徐々に暗くできる
- Google HomeやAlexaと連携できる
特に**「朝の目覚めルーティン」**が神機能です。
設定した時間の30分前から、徐々に明るくなっていく。これが自然な目覚めを促してくれるんです。
ASDを持つ人の多くが睡眠に問題を抱えていますが、私はこれで朝の目覚めが劇的に改善しました。
デメリット:
- 初期費用が高い
- Wi-Fi環境が必要
- 設定にある程度のITリテラシーが必要
おすすめ2:ニトリ「調光LEDシーリングライト」
価格帯: 約5,000円〜12,000円
ニトリ製品の良いところ:
- コスパが最強
- リモコンで簡単に操作できる
- 調光・調色両方に対応した製品が多い
- 全国に店舗があり、実物を確認できる
私の子供部屋にはこれを使っています。
デメリット:
- スマート機能はない
- Philips Hueほどの細かい調整はできない
おすすめ3:IKEAのLEDテープライト「MYRVARV」
価格帯: 約2,500円〜4,000円
間接照明を始めるなら、LEDテープライトが手軽です。
テレビの後ろや本棚の縁に貼るだけで、空間が一気にリラックスムードに変わります。
使い方のコツ:
- 貼る前に設置場所を脱脂する(テープの粘着力が上がる)
- コーナー部分は無理に曲げず、カットして繋ぎ直す
- 目線より低い位置に設置する
デメリット:
- 安い製品は光がムラになることがある
- 貼り直しが効きにくい
ルクスとケルビンを使いこなす「光のマネジメント術」
ここからは少しマニアックな話をします。
照明を選ぶとき、「ルクス(lx)」と「ケルビン(K)」の2つの数値を理解しておくと、失敗が激減します。
ルクス(lx)= 明るさの単位
| 場所 | 推奨ルクス |
|---|---|
| 寝室 | 50〜100 lx |
| リビング(リラックス時) | 100〜200 lx |
| リビング(作業時) | 300〜500 lx |
| オフィス | 500〜1000 lx |
感覚過敏を持つ私たちは、この数値の下限を狙うのがポイントです。
ケルビン(K)= 色温度の単位
先ほど説明した通り、数値が低いほど暖色(オレンジ)、高いほど寒色(青白い)になります。
私の設定例(Philips Hue使用):
- 朝の目覚め時:200 lx / 4000K(自然光に近い)
- 日中の作業時:350 lx / 3500K(少し明るめ)
- 夜のリラックス時:80 lx / 2700K(電球色で暗め)
- 就寝30分前:30 lx / 2200K(キャンドルのような光)
この「時間帯に合わせた光の切り替え」を自動化することで、私の睡眠の質は劇的に改善しました。
4:照明を変えたら、人生が変わった話
少し大げさに聞こえるかもしれませんが、事実をお伝えします。
照明環境を整えてから、以下の変化がありました。
変わったこと:
- 家にいる時間が「回復の時間」になった
- 夜の寝つきが良くなった
- 休日明けの疲労感が激減した
- 妻との会話が増えた(イライラが減ったから)
- 子供と遊ぶ余裕ができた
特に大きかったのは、**「家が安全基地になった」**という感覚です。
ASDを持つ私たちにとって、外の世界は刺激が多すぎる。だからこそ、家は「充電できる場所」でなければならない。
でも、その家の照明が自分を攻撃していたら、どこにも逃げ場がない。
照明を変えることは、自分の「逃げ場」を作ることなんです。
5:「できない自分」を認めることから始まった
正直に言います。
照明にこだわるようになったのは、「自分は普通の人と違う」という事実を受け入れてからでした。
27歳で診断を受けた時、私は「やっと理由がわかった」と安堵しました。でも同時に、「じゃあ、どうすればいいんだ」という途方もない不安も感じていた。
周囲に障がいを伝えることも、最初はとても怖かった。
「言い訳だと思われるんじゃないか」 「特別扱いしてほしいわけじゃない」 「でも、わかってもらえないと辛い」
何度も言葉を飲み込み、何度も伝え方を間違えました。
でも、少しずつわかってきたことがあります。
「できない」を認めることは、「諦める」ことじゃない。
むしろ、「できない」を認めてからこそ、「じゃあどうする?」という建設的な思考が始まるんです。
6:障がいを周囲に伝えるということ|私の試行錯誤
最初の失敗:「全部わかってほしい」という幻想
診断を受けた直後、私は周囲の人に自分の障がいを説明しようとしました。
「ASDっていうのはね、脳の特性で…」 「感覚過敏があって、蛍光灯とか苦手で…」 「SLDもあって、計算がどうしてもできなくて…」
真剣に聞いてくれる人もいました。でも、多くの場合は**「ふーん、大変だね」**で終わり。
そして私は、勝手に傷ついていました。
「なんでわかってくれないんだ」と。
でも今なら理解できます。「全部わかってもらう」なんて、そもそも無理なんです。
私だって、他の人の痛みを100%理解することはできない。脳の構造が違う人に、私の感覚を完璧に伝えることは不可能なんです。
伝え方を変えた:「配慮してほしいこと」だけを具体的に
試行錯誤の末、私が辿り着いた伝え方はこうでした。
「全部を理解してもらおうとしない。配慮してほしいことだけを、具体的に伝える。」
例えば職場では:
❌「感覚過敏があるので配慮してください」 ⭕「蛍光灯の下だと頭痛がするので、窓際の席にしてもらえると助かります」
❌「計算障害があるので苦手です」 ⭕「暗算ができないので、電卓を使わせてもらえますか」
❌「ASDなので急な変更が苦手です」 ⭕「予定変更がある場合、30分前に教えてもらえると対応しやすいです」
具体的なリクエストに変えることで、相手も「何をすればいいか」がわかる。そして私も、「これさえ配慮してもらえればOK」というラインが明確になる。
これはお互いにとってのWin-Winでした。
伝える相手を選ぶという選択
もう一つ大事なことがあります。
「全員に伝える必要はない」ということ。
正直、わかってくれない人はいます。「そんなの甘えだ」「気の持ちようだ」と言う人も、残念ながら存在します。
最初の頃、そういう人に対して必死に説明しようとして、余計に傷つきました。
でも今は違います。
伝えてもわかってくれない人には、それ以上説明しない。
その代わり、わかろうとしてくれる人との関係を大切にする。
エネルギーには限りがあります。わかってくれない人に使うエネルギーがあるなら、わかってくれる人や、自分の環境を整えることに使った方がいい。
これは「諦め」ではなく、**「戦略的撤退」**です。
7:計算ができないのに3,400万円貯められた理由
ここで、少し違う話をさせてください。
私はSLD(限局性学習症)で、計算が壊滅的にできません。
暗算は無理。二桁の足し算すら怪しい。買い物でお釣りの計算ができないから、いつも電子マネーを使っています。
でも、私は現在3,400万円の資産を持っています。そのうち90%が株式投資です。
「え、計算できないのに投資してるの?」
と思いますよね。私も最初はそう思っていました。
「できない」を認めたからこそ、仕組みに頼れた
計算ができないとわかっていたから、「自分の頭で計算しなくていい仕組み」を徹底的に探しました。
私が実践していること:
- 家計簿アプリで自動記録: マネーフォワードにクレジットカードと銀行口座を連携。自分で計算する必要ゼロ
- 積立投資の自動化: 毎月決まった金額を自動で投資信託に積立。判断も計算も不要
- ポートフォリオ管理もアプリ任せ: 証券会社のアプリが自動で計算してくれる
- 税金は税理士に丸投げ: 確定申告は専門家に任せる
つまり、「計算」という苦手な作業を、全て外部に委託しているんです。
これは、照明を変えて環境を整えることと本質は同じです。
「自分を変える」のではなく、「環境や仕組みを変える」。
ASDの人間は、興味のある分野には異常なほど集中できます。私の場合、それが「仕組み化」と「長期投資」だった。
計算ができなくても、「コツコツ続ける」ことはできる。
これが、私の強みでした。
見出し8:住環境を整えるという「自分への投資」
話を照明に戻します。
私が照明環境を整えるのにかけた費用は、ざっくり10万円程度です。
Philips Hueのスターターキット、各部屋の間接照明、調光対応のシーリングライト…。決して安くはない金額でした。
でも、これを「自分への投資」と考えると、見え方が変わります。
照明を変えて得られたもの:
- 毎日の睡眠の質向上 → プライスレス
- 仕事のパフォーマンス改善 → 収入に直結
- 家族との関係改善 → プライスレス
- 休日が本当の「休日」になった → プライスレス
10万円で、その後の人生の質が上がるなら、これほどコスパの良い投資はありません。
リハビリ職の方へ:環境調整という視点
この記事を読んでくださっているリハビリ職の方もいるかもしれません。
PT、OT、STの皆さん。
クライアントの中に、「なぜか疲れやすい」「集中できない」「家で休めない」という訴えをする方はいませんか?
もしその方が発達障害、特にASDの特性を持っているなら、住環境、特に照明環境の確認をしてみてください。
確認すべきポイント:
- 自宅の照明は蛍光灯か、LEDか
- 調光機能はあるか
- 光の色温度は何Kか(暖色か寒色か)
- 直接光が目に入る配置になっていないか
- 眩しいと感じる場所はないか
感覚過敏は、本人も自覚していないことが多いです。「蛍光灯が苦手」と言語化できている人は少ない。
でも、「なんとなく疲れる」「家にいても休まらない」という訴えの裏に、光の問題が隠れている可能性は十分にあります。
見出し9:ここでしか読めない海外事例|「センサリールーム」という発想
ここで、海外の事例を一つ紹介します。
欧米では、「センサリールーム(Sensory Room)」という概念が広まっています。
これは、感覚過敏を持つ人が刺激をコントロールできる空間のこと。
センサリールームの特徴:
- 調光可能な間接照明
- 落ち着いた色調の壁
- 柔らかい素材の家具
- 必要に応じて遮音できる設計
- アロマや音楽など、リラックスできる要素
イギリスでは、空港やショッピングモールにセンサリールームが設置されている場所もあります。
日本ではまだ馴染みが薄いですが、この発想は自宅に応用できます。
家全体をセンサリールームにする必要はありません。一部屋だけ、あるいは部屋の一角だけでも、「刺激をコントロールできる空間」を作ることで、逃げ場ができる。
私の場合、寝室がそれに当たります。
寝室は電球色の間接照明のみ。蛍光灯は一切なし。カーテンは遮光1級。壁は落ち着いたベージュ。
ここに入ると、脳が「休んでいいんだ」と認識してくれる。
「聖域」を持つこと。
これが、感覚過敏を持つ私たちにとって、どれほど大切なことか。
まとめ:あなたは一人じゃない
長い記事を最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
最後に、私が伝えたいことをまとめます。
この記事のポイント:
- 蛍光灯のチラつきや白すぎる光は、感覚過敏を持つ人にとって「見えない攻撃」になり得る
- 照明選びの3原則:電球色(2700K〜3000K)、調光機能、間接光
- 具体的なおすすめ製品:Philips Hue、ニトリ調光LED、IKEAのLEDテープライト
- 障がいを伝えるときは「全部わかってもらおう」ではなく「具体的なリクエスト」に変える
- 「できない」を認めることで、仕組みや環境に頼るという選択肢が生まれる
- 家の中に「聖域」を作ることは、自分への最高の投資
もしあなたが、かつての私のように「なぜか疲れやすい」「家にいても休まらない」と感じているなら。
もしあなたが、「自分はダメな人間だ」と自分を責め続けているなら。
それは、あなたのせいじゃないかもしれません。
環境が、あなたに合っていないだけかもしれない。
照明を変えるだけで、人生が変わることがある。私がその証拠です。
あなたは一人じゃない。
不器用な私ですが、このブログがあなたの「暮らしの攻略本」になれたら嬉しいです。
どうぞ、ゆっくりしていってください。







