感覚過敏でも「自分だけの聖域」は作れる|ASD当事者が実践する部屋づくりと愛用グッズ全公開

「普通の部屋」が「戦場」に感じる、あなたへ
結論から言います。感覚過敏があっても、快適に過ごせる住環境は必ず作れます。
エアコンの稼働音が気になって眠れない。蛍光灯のチラつきが頭痛を引き起こす。新品の服のタグが肌を刺すように痛い——。
こんな経験、ありませんか?
私はASD(自閉スペクトラム症)とSLD(限局性学習症)の当事者です。「感覚過敏」という言葉では収まりきらないほど、日常のあらゆる刺激が私の神経を削ってきました。
でも、今の私の部屋は違います。ここは私にとって「聖域」です。
この記事では、私が試行錯誤の末にたどり着いた住環境の工夫と本当に使えるグッズを、失敗談も含めてすべてお伝えします。リハビリ職の方や、当事者のご家族にも、「なぜこれが必要なのか」が伝わるように書きました。
私の「感覚地獄」体験談——引っ越し直後の悪夢
新居が「拷問部屋」だった日々
15年前、私は念願の一人暮らしを始めました。内見では「明るくていい部屋だな」と思ったんです。
大きな間違いでした。
入居初日から、私の神経は悲鳴を上げ始めました。
- 照明:LEDシーリングライトの「ジー」という高周波音が24時間聞こえる
- 床材:フローリングの冷たさと硬さが足裏から全身に響く
- 壁紙:真っ白な壁紙が光を反射し、目が痛くて開けていられない
- 換気扇:微かな振動が床を伝わり、常に身体が揺れている感覚
「普通の人」には何も感じない環境が、私には24時間稼働の拷問装置でした。
最初の1ヶ月で5kg痩せました。眠れない、食べられない、部屋にいるだけで消耗する。仕事のパフォーマンスは激落ち。「引っ越したら楽になる」と思っていた自分が、どれだけ甘かったか。
転機——「環境は変えられる」という気づき
転機は、作業療法士(OT)の一言でした。
「環境調整は、あなたの努力不足じゃなくて、生存戦略だよ」
この言葉で、私の意識が変わりました。
「我慢する」のではなく「環境を自分に合わせる」。これはわがままではなく、サバイバルスキルなんだと。
そこから始まった私の「部屋改造プロジェクト」。今では、この部屋が世界で一番落ち着ける場所になっています。
感覚別・住環境の工夫と愛用グッズ完全ガイド
【聴覚過敏】音の暴力から身を守る
愛用品①:ノイズキャンセリングイヤホン
私の相棒:Sony WF-1000XM5(約4万円)
正直に言います。高いです。でも、私の人生を変えたガジェットNo.1です。
選んだ理由:
- 業界最高峰のノイズキャンセリング性能
- 長時間装着しても耳が痛くならない設計
- 「外音取り込み」モードで、必要な音だけ聞ける
実際の使用感:
スーパーでの買い物が「できる」ようになりました。以前は冷蔵ケースの「ブーン」という低周波音、BGM、人の話し声、レジの電子音——これらが混ざり合って、10分で限界でした。
今はイヤホンを装着して、軽いBGMを流しながら買い物します。体感で、疲労度が7割減。
デメリットも正直に:
- 完全に音を消すと、後ろから来る人に気づけない
- 充電を忘れると地獄(予備バッテリーは必須)
- 耳の形によっては合わない人もいる
予算を抑えたい方へ: Anker Soundcore Space A40(約1万3千円)も十分な性能です。私も予備として持っています。
愛用品②:高密度の耳栓——Mack’s Pillow Soft
イヤホンを使えない場面用に、シリコン製の耳栓を常備しています。
Mack’s Pillow Soft(約1,000円/6ペア)
水泳用ですが、形を変えられるので耳の形にフィットします。100均の耳栓は硬くて痛かった私でも、これは長時間いけます。
部屋の工夫:音を「吸う」環境づくり
グッズだけでなく、部屋自体を「静かにする」工夫も重要です。
- 厚手のカーテン:外からの騒音を3割カット
- 本棚を壁際に:本が吸音材になる(意外と効果大)
- 隙間テープ:ドアの隙間から入る廊下の音を遮断
- ラグを敷く:床からの振動と反響音を軽減
費用対効果が最も高かったのは「隙間テープ」でした。100均で買えて、廊下の足音が聞こえなくなった瞬間の感動は今でも忘れません。
【視覚過敏】光の刺激をコントロールする
愛用品③:調光・調色LEDライト
Philips Hue スターターキット(約2万円)
「高い」と思いましたか?私も最初はそう思いました。
でも、光を自由にコントロールできる価値を知った今、これなしでは生活できません。
私の設定:
- 朝:2700K(オレンジがかった暖色)・明るさ50%
- 昼:4000K(ニュートラル)・明るさ70%
- 夜:2200K(キャンドル色)・明るさ20%
ポイントは「色温度」です。
【初心者向け解説】色温度とは?
光の「色味」を表す数値(単位:K=ケルビン)。数字が小さいほどオレンジ色(暖色)、大きいほど青白い(寒色)。蛍光灯のような青白い光(5000K以上)は、感覚過敏の人には刺激が強すぎることが多いです。
私は蛍光灯の青白い光がダメで、それを「自分が弱いせい」と思っていました。違ったんです。光の種類を変えればよかっただけでした。
予算を抑える方法: リモコン付きの調光電球(約2,000円)から始めても十分です。アプリ連携はなくても、「暗くできる」だけで世界が変わります。
部屋の工夫:光を「選ぶ」環境
- 遮光カーテン:朝日の強制起床を防ぐ
- 間接照明:直接光を見ない配置
- PCモニターにブルーライトカットフィルム:これだけで目の疲れが半減
【触覚過敏】肌に触れるものすべてを見直す
愛用品④:無印良品「オーガニックコットンシリーズ」
私の「触覚過敏三種の神器」:
- オーガニックコットン天竺編みTシャツ(約1,990円)
- 脇に縫い目のないタンクトップ(約990円)
- 二重ガーゼパジャマ(約4,990円)
選ぶ基準:
- タグは外せるか、プリントタグか
- 縫い目が肌に当たらない構造か
- 洗濯を繰り返しても硬くならないか
無印良品の「脇に縫い目のない」シリーズは、名前の通り縫い目を脇から外した設計。これが地味に革命でした。
失敗談: ユニクロのヒートテックは、私には合いませんでした。「着ると温かい」という化学繊維が、私には「着ると痒い」でした。合成繊維が肌に合わない人は意外と多いです。
愛用品⑤:ニトリ「Nウォームスーパー」シリーズ
冬の寝具として最強です。
なぜ良いか:
- 起毛が短く、チクチクしない
- 静電気が起きにくい
- 洗濯できる
感覚過敏の人あるある:「気持ちいい」と「気持ち悪い」の境界が曖昧。モフモフ系が好きな人もいれば、私のように「毛足が長い素材は気持ち悪い」という人もいます。
自分の「OK」と「NG」を言語化することが、買い物の失敗を減らすコツです。
スマートホーム化——テクノロジーを味方につける
小見出し:「声で操作」が感覚過敏に効く理由
私が使っているスマートホーム機器:
- Amazon Echo Dot(約6,000円)
- SwitchBot スマートプラグ(約2,000円)
- SwitchBot カーテン(約9,000円)
- Philips Hue(前述)
「声で操作」のメリットは、単に「便利」だけではありません。
感覚過敏の人にとっての真価:
- 光のスイッチを探す → 眩しい場所に行く必要がない
- カーテンを開ける → 朝日を浴びながらの動作が不要
- リモコンを探す → 視覚的な探索タスクを減らせる
「アレクサ、おやすみ」
この一言で、部屋の全照明が消え、カーテンが閉まり、エアコンが静音モードになる。このシームレスさが、感覚過敏の私を救っています。
【中級者向けコラム】感覚過敏×スマートホームの「沼」——APIとIFTTT連携の世界
ここからは、少しマニアックな話をします。
私は投資の世界で「テクノロジーが人間の作業を代替・拡張する未来」を信じています。これは私自身の生活にも当てはまります。
SwitchBot APIを使った自動化の例:
- 室温が28度を超えたら自動でエアコンON(熱がこもると感覚過敏が悪化するため)
- CO2濃度が1000ppmを超えたら換気扇ON(空気が悪いと頭痛が来るため)
- スマホのGPSが自宅500m圏内に入ったら照明を「帰宅モード」に
これらをIFTTT(イフト)というアプリで連携させています。
【解説】IFTTTとは?
「If This Then That」の略。「もし〇〇が起きたら、△△する」という条件を設定できるサービス。プログラミング不要で、様々なアプリやデバイスを連携できます。無料プランあり。
投資とスマートホームの共通点——どちらも「仕組み化」が鍵です。
私は計算が苦手です。でも、「仕組み」を作る能力は、計算能力とは別物です。自動化で生活を管理するのも、積立投資で資産を作るのも、根っこは同じ。一度設定すれば、あとは自動で動く仕組みを作ること。
これが、SLD当事者の私が3,400万円の資産を築けた理由でもあります。







