書けない、数えられない。でも、声なら出せる。

「また買い忘れた…」

スーパーの日用品コーナーで立ち尽くしながら、私は何度この言葉を心の中で繰り返したかわかりません。

家を出る前に「洗剤がなくなりそうだから買わなきゃ」と思っていたはずなのに、いざ店に着くと頭の中が真っ白になる。メモを書こうとしても、ペンを持つ手が重い。書いている途中で何を書いていたか忘れてしまう。そもそも、家にある在庫が「あと何個」なのかを数えること自体が、私にとっては苦痛でしかありませんでした。

結論から言います。

私はスマートスピーカー(Amazon Echo・Alexa)を導入したことで、買い物リストの管理から解放されました。書かなくていい。数えなくていい。ただ「声を出すだけ」で、日常の在庫管理が劇的に楽になったんです。

この記事では、ASD(自閉スペクトラム症)とSLD(限局性学習症)を持つ私・りゅうぞうが、実際にスマートスピーカーをどう活用しているのか、失敗談も含めて正直にお話しします。

同じように「書けない」「数えられない」で悩んでいる方へ。あなたは一人じゃありません。


1:なぜ私は「買い物リスト」が書けなかったのか

書字障害(ディスグラフィア)のリアル

SLD(限局性学習症)の中でも、私が特に苦手なのが「書くこと」と「計算すること」です。

書字における私の困難:

  • ペンを持つと、手が異常に疲れる
  • 文字のバランスが取れず、自分で読めない字を書いてしまう
  • 書いている途中で、何を書こうとしていたか忘れる
  • そもそも「書く」という行為自体に強い心理的抵抗がある

これは「努力不足」ではありません。脳の情報処理の特性なんです。

27歳で診断を受けるまで、私は自分を責め続けていました。「なんでこんな簡単なことができないんだ」と。でも、診断名がついた瞬間、「できない理由」がわかったことで、ようやく「じゃあ別の方法を探そう」と思えるようになりました。

暗算ができない私の買い物事情

SLDのもう一つの特性として、私は暗算がほぼできません。

計算における私の困難:

  • 2桁の足し算でも紙と電卓が必要
  • 「在庫があと何個か」を数えようとすると、途中で何個目かわからなくなる
  • 価格計算ができず、買い物の予算管理が苦手

「洗剤があと2個だから、今週中に買えばいいかな」という普通の判断が、私には難しいんです。


2:スマートスピーカーとの出会い|「声で管理する」という革命

きっかけは妻の一言だった

「りゅうぞう、これ使ってみたら?」

妻がAmazon Echo Dot(第5世代)を見せてくれたのは、2023年のことでした。正直、最初は半信半疑でした。「機械に話しかけるなんて恥ずかしい」「どうせ使いこなせない」と思っていたんです。

でも、試しに「アレクサ、洗剤をリストに入れて」と言ってみたとき、世界が変わりました。

本当に、それだけでリストに追加されたんです。

ペンを持たなくていい。紙を探さなくていい。ただ、思いついた瞬間に声を出すだけ。

この「書かない在庫管理」こそ、私のような特性を持つ人間にとっての救世主でした。

スマートスピーカーとは何か(初心者向け解説)

スマートスピーカーとは、音声で操作できるAI搭載のスピーカーのことです。

代表的な製品:

製品名音声アシスタント名価格帯
Amazon EchoAlexa(アレクサ)約5,000円〜
Google NestGoogleアシスタント約6,000円〜
Apple HomePodSiri約15,000円〜

私が使っているのは、Amazon Echo Dot(第5世代)で、価格は約7,500円でした。初期設定もスマホアプリの指示に従うだけで、30分もかからず完了しました。


3:実践編|私の「声で管理する」買い物リスト活用法

基本の使い方:思いついたら即・声に出す

私の買い物リスト管理は、とてもシンプルです。

ステップ1:気づいた瞬間に声をかける

「アレクサ、洗剤をリストに入れて」
「アレクサ、トイレットペーパーを追加して」
「アレクサ、牛乳を買い物リストに入れて」

ステップ2:買い物前にリストを確認する

「アレクサ、買い物リストを読んで」

→ アレクサが「リストには、洗剤、トイレットペーパー、牛乳があります」と読み上げてくれます。

ステップ3:買ったらリストから削除する

「アレクサ、洗剤をリストから削除して」

たったこれだけです。

私が実際に登録している定番アイテム

参考までに、私が日常的にリストに追加しているものをご紹介します。

日用品:

  • トイレットペーパー
  • ティッシュ
  • 洗濯洗剤
  • 食器用洗剤
  • シャンプー・リンス
  • 歯磨き粉

食品:

  • 牛乳
  • パン
  • 子供のお菓子

ポイント: 「なくなりそう」と思った瞬間に声をかける習慣をつけることが大切です。後回しにすると忘れます(経験談)。

スマホ連携で外出先でも確認できる

Alexaアプリをスマホにインストールしておくと、外出先でも買い物リストを確認できます

スーパーのレジに並んでいるときに「あれ、何買うんだっけ…」となっても、スマホを開けばリストが見られる。これが本当に助かります。


4:正直に話す|スマートスピーカーのデメリットと失敗談

失敗談①:聞き取りミスで謎のリストができる

ある日、「アレクサ、醤油を追加して」と言ったはずなのに、リストを見たら「しょうゆうを追加しました」と謎のアイテムが登録されていました。

対策: 登録後に「アレクサ、買い物リストを読んで」と確認する習慣をつける。

失敗談②:家族がいる前で話しかけるのが恥ずかしかった

最初の頃、妻や子供の前で「アレクサ、〇〇を追加して」と話しかけるのが妙に恥ずかしかったです。

でも、1週間もすれば慣れました。今では家族全員が普通にアレクサに話しかけています。むしろ、5歳の息子が「アレクサ、今日の天気は?」と聞いているのを見ると微笑ましいです。

デメリットまとめ

スマートスピーカーの注意点:

  • Wi-Fi環境が必要(インターネット接続必須)
  • 電気代が若干かかる(月数十円程度)
  • 聞き取りミスが起こることがある
  • プライバシーへの配慮が必要(音声データがクラウドに送信される)

ただし、これらのデメリットを差し引いても、書字のストレスから解放されるメリットの方がはるかに大きいというのが私の実感です。


定型リストと「ルーティン機能」で在庫管理を自動化する

ここからは少しマニアックな話をします。

Alexaには「ルーティン」という機能があり、特定のトリガーで複数のアクションを自動実行できます。

私が設定しているルーティン例:

「アレクサ、月曜チェック」と言うと…

  1. 「今週の買い物リストを確認しますか?」と聞いてくる
  2. リストを読み上げる
  3. 「他に追加するものはありますか?」と質問する

これにより、毎週月曜日に在庫を確認する習慣が自然と身につきました。

さらに上級者向けには、IFTTT(イフト) というサービスと連携させることで、買い物リストをGoogleスプレッドシートに自動記録することも可能です。これにより、「先月何を買ったか」「月にどれくらい日用品を消費しているか」がデータとして残ります。

(私は計算が苦手なので、スプレッドシートの集計機能に任せています。テクノロジーに頼れるところは全力で頼る。これが私のスタンスです。)


5:「できない自分」を受け入れたら、人生が楽になった

障がいをどう周囲に伝えてきたか

私がASDとSLDの診断を受けたのは27歳のときでした。

それから11年。今では職場にも、家族にも、友人にも、自分の特性を伝えています。

伝え方のコツ:

  • 「障がいがあるから何もできない」ではなく、「〇〇は苦手だけど、△△は得意」と伝える
  • 具体的に何に困っているか、どうしてほしいかをセットで伝える
  • 相手を責めるのではなく、「助けてもらえると嬉しい」というスタンスで話す

例えば、職場では「メモを取るのが苦手なので、重要なことはメールで送ってもらえると助かります」と伝えています。

「助けて」と言えるようになるまで

正直に言います。

「助けて」と言えるようになるまで、5年以上かかりました。

27歳で診断を受けてから、32歳くらいまでは「自分で何とかしなきゃ」「迷惑をかけてはいけない」と思い込んでいました。

転機は、息子が生まれたときでした。

赤ちゃんの世話をしながら、家事をこなし、仕事もする。パンクしかけたとき、妻に「限界だ、助けてほしい」と初めて言えたんです。

その瞬間、妻は「やっと言ってくれた」と笑っていました。

「助けて」は、弱さの証明じゃない。 信頼の証明なんです。


まとめ:テクノロジーは「できない」を「できる」に変えてくれる

この記事では、スマートスピーカーを使った「書かない・計算しない在庫管理」についてお話ししました。

この記事のポイント:

  • 書字や計算が苦手でも、音声入力で買い物リストは管理できる
  • Amazon Echo + Alexaアプリで、外出先でもリスト確認が可能
  • デメリットはあるが、書字のストレスから解放されるメリットの方が大きい
  • 「できない自分」を受け入れ、テクノロジーに頼ることで生活は楽になる

私は計算が苦手です。暗算ができません。メモを書くのも苦痛です。

でも、そんな私が今、3,400万円の資産を築き、家族と穏やかに暮らしています。

「できない」があるからこそ、「別の方法」を探す力がついた。 これが私の11年間で得た、最大の学びです。

あなたも、自分を責めるのをやめて、テクノロジーに頼ってみませんか?

「アレクサ、洗剤をリストに入れて。」

たったその一言が、あなたの日常を変える第一歩になるかもしれません。