あの「レジ前の地獄」、あなたも経験ありませんか?

「378円です」

レジのお姉さんの声が聞こえた瞬間、私の頭は真っ白になります。

財布を開ける。小銭がジャラジャラ。1円玉が何枚あるか数えようとするけど、後ろに並ぶ人の視線が背中に刺さる。焦れば焦るほど、数字が頭の中でバラバラになっていく。

結局、千円札を出して、お釣りでまた小銭が増える。

帰り道、財布はパンパン。心はぺしゃんこ。

「なんで私は、こんな簡単なこともできないんだろう」

27歳で自閉スペクトラム症(ASD)と限局性学習症(SLD)の診断を受けるまで、私はずっとそう思っていました。特にSLDの中でも「算数障害(ディスカリキュリア)」の傾向がある私にとって、お金の計算は日常に潜む最大の敵だったんです。

でも、今は違います。

結論から言うと、「完全キャッシュレス化」したことで、レジ前の恐怖から解放されました。

この記事では、計算が苦手な私が試行錯誤の末にたどり着いた「お金と向き合わなくていい仕組み」を、すべてお伝えします。同じ悩みを抱えている方の「生存戦略」になれば嬉しいです。


私が「現金」を手放すまでの話

27年間、ずっと「普通のふり」をしていた

思い返せば、私の人生は「計算から逃げる歴史」でした。

小学校の算数の授業では、繰り上がり・繰り下がりの計算で必ず間違える。テストはいつも赤点ギリギリ。先生には「もっと集中しなさい」と言われ、親には「ちゃんと練習すればできるはずでしょ」と言われ続けました。

大人になっても、その恐怖は消えません。

  • スーパーのレジ:会計のたびに冷や汗
  • 飲み会の割り勘:計算が遅くて「え、まだ?」という空気
  • ATMでの出金:いくら下ろせばいいか分からなくなる

特に辛かったのは、「みんなが当たり前にできることができない自分」を隠さなければいけなかったことです。

「計算苦手なんだよね〜」と笑って誤魔化しても、「そんなの誰でもそうだよ」と返される。でも、私の「苦手」は、そういうレベルじゃなかった。

診断を受けて、やっと「逃げていい」と思えた

27歳で発達障害の診断を受けたとき、正直に言うとホッとしました。

医師から「SLDの特性として、数字の処理が困難な人は一定数います。努力不足ではありません」と言われたとき、初めて自分を許せた気がしたんです。

そして、こう思いました。

「苦手なことを克服するんじゃなくて、苦手なことをしなくて済む仕組みを作ればいいんじゃない?」

そこから、私の「完全キャッシュレス化計画」がスタートしました。


私が選んだ決済アプリと、その理由

キャッシュレス決済って、今は山ほど種類がありますよね。

PayPay、楽天ペイ、d払い、au PAY、メルペイ、LINE Pay、Suica、iD、QUICPay……正直、最初は「多すぎて何を選べばいいか分からん!」と混乱しました。

でも、計算が苦手な私たちにとって大事なのは、**「シンプルで、考えなくていいこと」**です。

以下、私が実際に使っているアプリと、選んだ理由を紹介します。

メイン決済:PayPay(ペイペイ)

選んだ理由:

  • 使える店が圧倒的に多い(個人店舗やローカルなお店でも対応)
  • チャージが簡単(銀行口座連携で自動チャージも可能)
  • 残高が一目で分かる(アプリを開いた瞬間に表示される)

正直、PayPayひとつあれば、日常の買い物の9割はカバーできます。

私の使い方のコツ:

毎月1日に「今月の生活費」として決まった金額(私は5万円)をチャージ。その範囲で暮らすことで、計算しなくても残高を見れば「あといくら使える」が分かる仕組みにしています。

サブ決済:Suica(スイカ)/モバイルSuica

選んだ理由:

  • 電車やバスで絶対に必要
  • タッチするだけで決済完了(アプリを開く必要すらない)
  • コンビニや自販機でも使える

Suicaの良いところは、「かざすだけ」という究極のシンプルさです。

レジで「PayPayで」と言うのすら緊張する日は、スマホをタッチするだけで済むSuicaに助けられています。

クレジットカード(タッチ決済)

最近のクレジットカードには「タッチ決済(コンタクトレス決済)」機能がついているものが多いです。

私は楽天カードを使っていますが、暗証番号を入力する必要がなく、かざすだけで決済できるので、レジ前での焦りが激減しました。

ポイント:

クレジットカードは「使いすぎが怖い」という人も多いですよね。私もそうでした。

そこで、利用通知をオンにすることをおすすめします。カードを使うたびにスマホに通知が届くので、「いま何に使ったか」がリアルタイムで分かります。


飲み会の「割り勘パニック」を回避する方法

計算が苦手な人間にとって、飲み会の最後に訪れる「じゃあ割り勘ね〜」という瞬間は、まさに地獄の入り口です。

「一人3,850円ね」と言われた瞬間、頭がフリーズ。

「え、私いくら出せばいいの?」「お釣りは?」「4,000円でいい?」

周りは次々とお金を出していくのに、自分だけがモタモタしている。あの焦燥感、本当につらいですよね。

私が使う割り勘アプリ:paymo(ペイモ)終了後の代替案

以前は「paymo」という割り勘アプリが便利だったのですが、残念ながらサービス終了。

現在、私が活用しているのは以下の方法です。

① PayPayの「送金機能」

幹事さんに「PayPayで送っていい?」と聞いて、合計金額をそのまま送金。小銭のやり取りゼロ。

② LINE Payの「割り勘機能」

LINEグループ内で「割り勘」機能を使うと、自動で一人当たりの金額が計算されて表示されます。私は計算しなくていい。神機能。

③ 幹事を買って出る作戦

これ、意外と使えます。

自分が幹事になって、「一人4,000円でお願いします!」とキリのいい金額を設定。集めたお金をそのまま払えば、端数計算とは無縁です。


家計管理も「計算しない」仕組みにする

「キャッシュレスにしたら、逆にお金の流れが分からなくなって使いすぎそう……」

この不安、めちゃくちゃ分かります。

だからこそ、家計簿アプリとの連携が必須なんです。

おすすめ家計簿アプリ:マネーフォワード ME

私が愛用しているのは「マネーフォワード ME」です。

なぜこれを選んだか:

  • 銀行口座、クレジットカード、電子マネーを自動連携
  • 買い物するだけで自動的に記録される
  • グラフで「今月いくら使ったか」が一目瞭然

つまり、私は何もしなくていいんです。

レシートを手入力する必要もなければ、計算する必要もない。ただ普通に暮らしているだけで、アプリが勝手に家計簿を作ってくれる。

無料版でも十分使えますが、私は月額500円のプレミアム版を使っています。連携できる口座数が無制限になるので、複数の決済アプリを使い分けている人にはおすすめ。

「週1回、残高を見る」だけのルール

家計簿アプリを入れても、毎日チェックするのは面倒ですよね。

私のルールは超シンプルです。

毎週日曜日に、アプリを開いて残高を見る。それだけ。

「今週は使いすぎたな」と思ったら、翌週は少しセーブする。細かい計算は一切しません。


コラム:中級者向け|キャッシュレス派のための「ポイント経済圏」入門

ここからは少しマニアックな話。

キャッシュレス決済を使うなら、ポイント経済圏を意識すると、さらにお得になります。

経済圏とは? 特定の企業グループのサービス(銀行、クレカ、通販、スマホなど)をまとめて使うことで、ポイントが貯まりやすくなる仕組みのこと。

主な経済圏:

経済圏主なサービスおすすめな人
楽天経済圏楽天カード、楽天銀行、楽天市場、楽天ペイネット通販が多い人
PayPay経済圏PayPay、PayPayカード、Yahoo!ショッピング実店舗での買い物が多い人
ドコモ経済圏dカード、d払い、dポイントドコモユーザー

私はPayPay経済圏にまとめています。理由は、近所のスーパーやドラッグストアがPayPay対応だから。

ただ、「ポイントを貯めること」に執着しすぎると、本末転倒になります。

私たちの目的は、あくまで「計算から解放されること」。ポイントはあくまでオマケとして考えましょう。


デメリットも正直に伝えます

キャッシュレス生活、最高!……と言いたいところですが、正直に言うとデメリットもあります

① 使えない店がまだある

地方の個人店や、古い飲食店では「現金のみ」のところも。

私は財布に緊急用の3,000円だけ入れています。これで大体なんとかなります。

② スマホの充電が切れると詰む

これ、何度かやらかしました。

対策として、モバイルバッテリーを常に持ち歩くようにしています。Ankerの小型タイプ(約2,500円)がおすすめ。

③ 「現金感覚」が薄れやすい

数字を見ても実感が湧かないのは、計算が苦手な人の特性でもあります。

だからこそ、週1回の残高チェックが大事。「なんとなく使う」を防ぐための習慣です。


まとめ:計算ができなくても、生きていける

この記事で伝えたかったことを、改めて整理します。

  • キャッシュレス決済で、小銭の計算から解放される
  • 割り勘アプリや送金機能で、飲み会のパニックを回避
  • 家計簿アプリとの連携で、計算せずに残高管理
  • 週1回、残高を見るだけのシンプルなルールで家計を把握

計算が苦手なことは、恥ずかしいことじゃありません

私も長い間、「こんなこともできない自分は情けない」と思っていました。でも、今は違います。

できないことは、ツールに任せればいい。

テクノロジーは、私たちのために存在しています。使えるものは、遠慮なく使い倒しましょう。

あなたがレジ前でフリーズしなくなる日は、きっと来ます。

この記事が、その第一歩になれたら