こんにちは、管理人の[りゅうぞう]です。

突然ですが、あなたは「優先席」に座れますか?

「え? 席が空いていれば座るよ」という方もいれば、「絶対に座らない」という方もいるでしょう。 でも、私たちが抱えている悩みは、もう少し複雑で、切実です。

私はASD(自閉スペクトラム症)とSLD(限局性学習症)を持っています。 一見すると、五体満足な20代後半の男性です。でも、脳内では常に情報が暴走していて、立っているだけでHP(体力)がゴリゴリ削られていく感覚があります。

それでも、優先席の前に立つと、心臓がキュッとなるんです。 「若いのに」「元気そうなのに」「スマホいじってるくせに」 そんな無言の視線(あるいは実際の言葉)が怖くて、限界まで我慢して立ってしまう。

今回は、そんな「見た目じゃ辛さが伝わらない(優先席の葛藤)」問題について、法律の知識や最新のテクノロジー、そして私の実体験を交えて深掘りします。

この記事は、情報の処理が苦手な私たちのための「車椅子」となるような、実践的なコラムです。


1. なぜ「見た目」と「辛さ」は乖離するのか?

まず、私たちが直面している「見えない障害」の正体を整理しましょう。

初心者向け用語解説:内部障害・発達障害の「疲れ」

多くの人が「障害=車椅子や白杖」というイメージを持っていますが、実際はもっとグラデーションが複雑です。

  • 内部障害(ないぶしょうがい): 心臓、腎臓、呼吸器などの機能障害。外見からは全く分かりませんが、少しの運動で息切れや動悸が起こります。
  • 感覚過敏(かんかくかびん): 私のようなASDの人に多い特性。電車のガタンゴトンという音、他人の話し声、蛍光灯の光が「痛み」として脳に刺さります。立っているだけで、ジェットコースターに乗り続けているような疲労感があるのです。

これらは「怠け」ではなく「脳や身体の機能的なエラー」です。でも、社会のレンズを通すと「元気な若者」に見えてしまう。ここに最大のバグがあります。


2. 【最新情報】2024年4月施行! 知っておくべき法律の話

ここで少し、真面目ですが超重要な話をします。 私たちの生活を支える法律「障害者総合支援法(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律)」や、関連する法改正についてです。

法律は「守りの盾」になる

今まで、「配慮をお願いすること」は、どこか「わがまま」のように感じていませんでしたか? しかし、2024年(令和6年)4月1日から、改正障害者差別解消法が施行され、民間企業(鉄道会社やお店など)に対しても「合理的配慮(ごうりてきはいりょ)」の提供が義務化されました。

  • これまで: 役所は義務、会社は「努力義務(できればやってね)」
  • これから: 会社も「義務(やらなきゃダメ)」

これはどういうことかと言うと、私たちが「辛いので座らせてください」「助けてください」と意思表示をした時、鉄道会社や周囲は「負担が重すぎない範囲で対応しなければならない」という法的根拠が強化されたのです。

つまり、あなたが優先席に座ることは、誰かの慈悲にすがる行為ではなく、「社会的な権利」として認められつつあるのです。このマインドセットを持つだけで、座席に座る勇気が少し湧いてきませんか?


3. 【りゅうぞうの体験談】優先席での冷や汗と「ヘルプマーク」の重み

私が診断を受ける前の話です。 満員電車で脳がパニック(メルトダウン寸前)になり、冷や汗をかきながら優先席に座り込んでしまったことがありました。

その時、目の前に立った高齢の男性に、杖でコツコツと私の靴を叩かれました。 言葉はありませんでしたが、目は明らかに「立て」と言っていました。

私は当時、自分が発達障害だとは知らず、「自分はなんて根性がないんだ」と自分を責め、ふらつく足で立ち上がり、隣の車両へ逃げました。あの時の恥ずかしさと情けなさは、今でも夢に見ます。

ヘルプマークを付ける葛藤

今、私はカバンに「ヘルプマーク」を付けています。 東京都が作成し、今や全国に普及した「赤地に白の十字とハート」のマークです。

正直、最初は付けるのに抵抗がありました。「私は障害者です」と看板を下げて歩くようで怖かった。 でも、これを付けることは「周囲への甘え」ではなく、「情報の開示」なのだと気づきました。

テクノロジーの視点で言えば、ヘルプマークは「アナログなAR(拡張現実)タグ」です。 私の見た目という情報に、「内部にエラーあり」という追加情報をポップアップさせてくれるツールなのです。


4. マニアックコラム:海外の「見えない障害」事情(ひまわりストラップ)

ここで少し、海外の事例を紹介するマニアックなコーナーです。中級者以上の情報通な方へ。

日本では「ヘルプマーク」が主流ですが、イギリス発祥で世界中に広まっている「ひまわり支援ストラップ(Hidden Disabilities Sunflower)」をご存知ですか?

  • 概要: 緑のストラップにひまわりの絵が描かれています。
  • 意味: 「私には見えない障害があります。少し支援や時間が必要です」というサイン。
  • 普及: ロンドンのヒースロー空港をはじめ、欧米のスーパーマーケットや鉄道で導入が進んでいます。

ここが面白い!: 日本のヘルプマークは「助けて!」という緊急性が強いデザインですが、ひまわりストラップは「Just give me time(ちょっと時間をください)」という、よりソフトで日常的なメッセージを含んでいます。 「焦らせないでほしい」「計算に時間がかかる」という私のSLD(学習症)の特性には、実はこの「ひまわり」の概念の方がしっくり来たりします。

日本でも、航空会社(JALやANAなど)が導入を始めています。この「ひまわりの概念」がもっと広まれば、優先席の空気感も「譲る・譲らない」の二元論から、「お互いのペースを尊重する」へと変わるかもしれません。


5. デジタルの杖:優先席で身を守るための「装備」と「戦術」

精神論だけでは、満員電車のストレスには勝てません。 私が実践している、テクノロジーを駆使した「優先席サバイバル術」をリスト形式で整理しました。

① ノイズキャンセリング・イヤホン(聴覚のATフィールド)

これはもう、ASDの私にとっては「耳の車椅子」です。

  • おすすめ機種: Apple AirPods Pro 3 または Sony WF-1000XM5
  • 効果: 電車の騒音や他人の舌打ち、話し声を物理的にカットします。「外音取り込みモード」にすれば、必要なアナウンスだけ聞くことも可能。
  • 優先席での活用: イヤホンをしていると「生意気だ」と思われるリスクもありますが、最近は「デジタル耳栓」としての認知も広まっています。ヘルプマークとセットで使うのがコツです。

② スマホのメモアプリ(筆談ボード代わり)

声が出せないほど辛い時、口頭で説明するのは不可能です。 あらかじめ、スマホのメモ帳に以下のような文章を打っておき、画面を見せる準備をしています。

「目に見えませんが、障害があり体調が悪いです。申し訳ありませんが、座らせてください」

これを画面いっぱいに表示させておくだけで、お守りになります。

③ スマートウォッチの心拍数モニタリング

Apple Watchなどで心拍数を可視化します。 「なんか辛い気がする」という主観ではなく、「心拍数が120を超えているから休もう」と数値で判断します。これにより、無理をして立ち続けることを防げます。


まとめ:あなたは「座っていい」

最後に、この記事の要点をまとめます。

  1. 見えない障害の辛さは、脳や身体の機能エラーであり、甘えではない。
  2. 2024年4月の法改正で、合理的配慮は民間企業でも義務化された(法的根拠がある)。
  3. ヘルプマークは「アナログなARタグ」。情報の非対称性を埋めるツール。
  4. ノイズキャンセリングやスマホ画面を活用し、言葉を使わずに身を守る。

もし、優先席に座っていて冷たい視線を感じたら、心の中でこう唱えてください。 「私は今、見えない車椅子に乗っているんだ」と。

テクノロジーや法律は、使いこなして初めて意味を持ちます。 私のこのブログが、あなたが社会という荒波を渡っていくための「魔法の杖」の一つになれば、これほど嬉しいことはありません。

管理人の[りゅうぞう]でした。