「あと5分」が目に見える安心感。発達障害(ASD/SLD)の私が愛用する『Time Timer』は、大人の集中力管理にも最強のツールだった

時間は「見えない」から怖い
「あとどれくらいで終わるんだろう?」 「今のペースで間に合うのかな?」
そんな漠然とした不安に押しつぶされそうになりながら、結局何も手がつけられずに一日が終わってしまう……。そんな経験はありませんか?
こんにちは、管理人のりゅうぞうです。
今日は、私が長年抱えてきた「時間管理」という大きな壁と、それを乗り越えるために出会った「最強の相棒」についてお話ししたいと思います。それは、Googleなどの世界的企業でも会議の効率化に使われている『Time Timer(タイムタイマー)』というツールです。
でもその前に、なぜ私がこれほどまでに「時間」に悩み、そしてこのツールに救われたのか。まずは少しだけ、私の話をさせてください。
私の「できない」と「できる」:暗闇の中の20年間
2025年現在、私は38歳。妻と子供一人と共に暮らしています。 私は現在、自閉スペクトラム症(ASD)と限局性学習症(SLD)という2つの障がいを持って生活しています。
私が自分の障がいに気づいたのは、27歳の時でした。 それまでの20数年間は、まさに「暗闇の中で手探りをしている」ような感覚でした。周りの人と同じように努力しているはずなのに、なぜかうまくいかない。「自分はダメな人間なんだろうか」「努力が足りないだけなのか」と、自分を責め続ける日々を送っていました。
27歳で診断名がついた時、正直なところショックよりも、「やっと理由がわかった」という安堵感の方が大きかったことを覚えています。それは、私が「私として生きていく」ための再スタートの瞬間でもありました。
私の苦手なこと(できないこと)
障がいがあるからといって、全てができないわけではありません。でも、苦手なことは確実にあります。 例えば、「暗黙の了解を読み取ること」や「急な予定変更への対応」は大の苦手です。
そして、今回のテーマに深く関わるのが、SLD(限局性学習症)の症状の一つである「計算が極端に苦手」という点です。 恥ずかしながら、私は簡単な暗算や算数がどうしてもできません。これが、時間管理において致命的なハードルになっていました。
「今は13時45分だから、あと15分作業すると……えっと……」
普通の人が無意識に行っているこの「時間の引き算・足し算」が、私の脳内ではエラーを起こしてしまうのです。
私の得意なこと(できること)
一方で、得意なこともあります。 「興味のある分野への深い集中力」や「独自の視点で物事を捉えること」。 そして何より、自分が苦しんだ分だけ、「同じような悩みを持つ人の痛みに寄り添うこと」ができると思っています。
私がこのブログを書く理由はただ一つ。「あなたは一人じゃない」と伝えたいからです。 かつての私のように、診断がつかずに苦しんでいる方、診断されて間もなく戸惑っている方、そしてそのご家族へ。私の失敗談や生活の中で見つけた「工夫」が、少しでも心が軽くなるヒントになれば嬉しいです。
不器用な私ですが、どうぞゆっくりしていってください。
なぜ「スマホのタイマー」じゃダメなのか?
さて、本題に入りましょう。 時間管理といえば、今や誰もが持っているスマートフォンにもタイマー機能はついています。 「スマホでいいじゃないか」と思いますよね?
でも、私のような特性を持つ人間にとって、スマホのタイマーには2つの大きな弱点があります。
1. デジタル数字は「計算」が必要
デジタル時計の「14:35」という表示を見て、あとどれくらい時間があるかを感じ取るには、脳内で計算処理が必要です。 「15:00まで作業する」と決めた時、常に「15:00 – 14:35 = 25分」という計算をし続けなければなりません。
SLDを持つ私にとって、これは常に脳のリソース(CPU)を浪費し続ける行為です。作業に集中したいのに、時間の計算にエネルギーを使ってしまっては本末転倒です。
2. スマホは「誘惑の塊」
これが最大の敵です。タイマーをセットしようとしてスマホを手に取る。その瞬間、SNSの通知が目に入る。ニュースアプリのアイコンが気になる。 「タイマーをかけるはずが、気づいたら20分Twitter(X)を見ていた」 ……皆さんも経験ありませんか?
集中するためのツールを触るために、集中力を削ぐ入り口を通らなければならない。これは構造上の欠陥です。
「Time Timer」が変えた私の世界
そこで出会ったのが、『Time Timer』です。 このタイマーの最大の特徴は、「残り時間が赤い円盤の面積で表示される」こと。
時間が経過するとともに、赤い部分が時計回りに減っていき、最後にはなくなります。 ここには「数字」も「計算」も必要ありません。 ただパッと見るだけで、「あ、赤い部分がこれだけ減った」「あとこれくらい残っている」というのが、直感的に脳に飛び込んでくるのです。
世界のGoogleも認めた「デザインスプリント」の必需品
実はこのTime Timer、子供の学習用や療育グッズとしてだけでなく、大人のビジネスシーンでも高く評価されています。 あのGoogleが開発した、短期間で集中して問題を解決する手法「デザインスプリント」。このプロセスにおいて、Time Timerは必須アイテムとして紹介されています。
「会議の時間を守る」「議論をダラダラさせない」 世界のトップエリートたちも、目に見えない時間を可視化するために、このアナログなツールを使っているのです。 「ガジェット好き」としての私の心も、この事実に強く惹かれました。「子供用でしょ?」という先入観を捨て、「プロフェッショナルなツール」として導入できたのは、この信頼性があったからです。
日曜午後の「ダラダラ」を「達成感」に変える活用法
では、具体的にどう使っているのか。 私のような特性を持つ人にとって、最もハードルが高いのが「休日のタスク消化」です。 平日は仕事という強制力がありますが、日曜の午後は自由すぎて、逆に何をしていいかわからずフリーズしてしまいます。
そこでTime Timerの出番です。
シナリオ1:「片付けなきゃ」と思いながら3時間経過した時
部屋が散らかっている。片付けなきゃいけない。でも面倒くさい。どこから手をつけていいかわからない。 そんな時は、Time Timerを「15分」にセットします。
「部屋を全部きれいにする」と考えると脳が拒否反応を起こしますが、「この赤いのが消えるまでの15分だけ動く」なら、不思議と体が動きます。 赤い面積が減っていくのが見えるので、「お、あと半分だ」「あとちょっとで終わりだ」というゲーム感覚が生まれます。
そして不思議なことに、一度動き出すと「過集中」モードに入りやすく、タイマーが鳴った後もそのまま掃除を続けてピカピカにしてしまうことも。これを心理学では「作業興奮」と言いますが、その着火剤としてTime Timerは最強です。
シナリオ2:執筆作業や趣味の創作
私は小説を書いたり、ブログを書いたりするのが趣味ですが、これも「書き始め」が一番重い。 そんな時は「30分」セット。 「30分だけ執筆する」と決めて、Time Timerを視界の端に置きます。
デジタルの数字だと「あと何分?」と気になってチラチラ見てしまいますが、Time Timerの赤い面積は周辺視野でもなんとなく把握できます。 「まだ赤いのがたっぷりあるな(余裕)」 「あ、赤が細くなってきた(ラストスパート)」 この感覚が、深い集中ゾーンを維持させてくれます。いわゆる「ポモドーロ・テクニック(25分集中+5分休憩)」の実践にも最適です。
りゅうぞうのおすすめTime Timer 3選
「Time Timer」には多くの類似品がありますが、私は断然「正規品」をおすすめします。 安価な類似品は「チッチッチッ」という秒針の音がうるさかったり(聴覚過敏の私には地獄です)、すぐに壊れたりすることがあるからです。正規品は基本的に無音(または静音)で、作りもしっかりしています。
ここでは、用途別に私がおすすめするモデルを紹介します。
1. 王道のデスクワーク・学習用
【Time Timer モッド (Home/Education)】
- 特徴: 手のひらサイズで、シリコンカバーがついているモデル。
- おすすめ理由: デスクの上に置いても邪魔にならない絶妙なサイズ感。デザインもシンプルで、大人の書斎に置いても違和感がありません。私の執筆活動のメインパートナーです。
- こんな人に: デスクワークでの集中力を高めたい人、ポモドーロ・テクニックを実践したい人。
2. 視認性抜群!リビング・家族用
【Time Timer オリジナル 8インチ (中サイズ)】
- 特徴: 一回り大きいサイズ(約20cm×20cm)。磁石がついているタイプもあり、ホワイトボードや冷蔵庫に貼れます。
- おすすめ理由: 離れた場所からでも「赤」がはっきり見えます。私の家では、子供のYouTube視聴時間の管理や、朝の支度時間(「赤いのがなくなるまでにお着替えしようね」)に使っています。言葉で「早くしなさい!」と怒る回数が激減しました。
- こんな人に: 子供のダラダラに悩む親御さん、リビング全体で時間を共有したい人。
3. 持ち運び・外出先用
【Time Timer ツイスト】
- 特徴: デジタル表示ですが、円形のバーで残り時間を表示するハイブリッドタイプ。マグネット付きで非常にコンパクト。
- おすすめ理由: カフェで作業する時や、職場の会議室に持ち込む時に便利です。従来のTime Timerのアナログ感とは少し違いますが、「視覚的に時間が減る」というメリットは享受できます。
- こんな人に: カフェ勉派、フリーアドレスのオフィスで働く人。
心の処方箋:道具に頼ることは、弱さじゃない
最後に、少しだけ心の話をして終わりたいと思います。
診断を受ける前の私は、「タイマーなんて使わなくても、時間を管理できるようにならなきゃ」と思っていました。 「普通の人は、道具なんてなくてもできるんだから」と。
でも、それは間違いでした。 目が悪い人が眼鏡をかけるように、足が悪い人が杖を使うように、脳の特性に合わせて「自分を助けてくれる道具」を使うことは、決して甘えでも弱さでもありません。
むしろ、「自分の苦手さを認め、それを補うための工夫をする」ことこそが、本当の意味での自立であり、強さなのだと今は思います。
「助けて」と言えるようになるまで、私は随分と時間がかかりました。 できない自分を隠そうとして、必死に取り繕って、結果的に周囲に迷惑をかけてしまったことも一度や二度ではありません。
診断を受けてから、私は少しずつ変わりました。 「計算が苦手です」「急な変更はパニックになります」 そう周囲に伝え、そして自分自身にも「だから、道具を使おう」と許可を出せるようになりました。
Time Timerの赤い円盤が減っていく様子を見ていると、私はこう感じます。 「時間は有限だけど、今の私にはまだこれだけの時間が残されている」と。
それは焦りではなく、安心感です。 「見えない時間」というお化けに怯えていた暗闇から、光の当たる場所へ。 たった一つのアナログなタイマーが、私の自己肯定感を少しだけ、でも確実に押し上げてくれました。
もし、あなたやあなたのご家族が、時間管理や集中力で悩んでいるなら。 そして、「なんでできないんだろう」と自分を責めているなら。 一度、この「赤い面積」に頼ってみてください。
そこにあるのは、管理される窮屈さではなく、「今、ここ」に集中できる自由かもしれません。
読者の皆様へのお願い
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管理人:りゅうぞう








