お小遣いは「定額制」より「報酬制」?:数字に弱い私が、どうやってお金の増減を学んだか

「お金の感覚」が分からなかった子ども時代
「500円玉と100円玉5枚、どっちが多い?」
小学生の頃、この質問に即答できなかった私は、今3,400万円の資産を持っています。
…信じられますよね?私自身、今でも信じられない時があります。
こんにちは、りゅうぞうです。38歳、妻と子どもの3人家族。自閉スペクトラム症(ASD)と限局性学習症(SLD)を持って生きています。
特に私の場合、計算と書字が極端に苦手です。暗算なんてもってのほか。スーパーのレジで「398円と298円、合わせていくら?」と聞かれたら、頭が真っ白になります。
そんな私が、なぜお金を増やせるようになったのか。
答えは「お小遣い制度の工夫」にありました。
この記事では、数字に弱い当事者の方、そしてそんなお子さんを持つ親御さんに向けて、「報酬制お小遣い」という方法が私の人生をどう変えたかをお話しします。
定額制お小遣いの「落とし穴」と私の失敗談
「毎月3,000円」が理解できなかった
多くの家庭で採用されている「定額制お小遣い」。毎月決まった金額をもらう、シンプルな仕組みですよね。
でも、数字の概念が弱い私にとって、これは最悪の仕組みでした。
なぜなら、私には「3,000円が30日間でどれくらい持つか」が想像できなかったからです。
私の典型的な失敗パターン
- 1日目:「3,000円もある!」とテンションが上がる
- 3日目:駄菓子屋で500円使う(残り2,500円)
- 7日目:ゲームセンターで1,000円溶かす(残り1,500円)
- 10日目:友達と買い食い500円(残り1,000円)
- 15日目:「あれ?もうない?」
- 16日目〜30日目:何も買えない地獄
この「何も買えない地獄」の間、私はなぜお金がなくなったのか、全く理解できていませんでした。
「使ったから減った」という因果関係が、頭の中で繋がらなかったんです。
親も困惑、私も困惑
当時の親は「なんでこの子はお金の管理ができないんだろう」と悩んでいたと思います。
私自身は「なんで皆は月末までお金があるんだろう」と不思議でした。
お互いが「なぜ?」のまま、解決策を見つけられなかった。これが定額制お小遣いの落とし穴でした。
「報酬制お小遣い」との出会いが人生を変えた
きっかけはオジサン一言
中学2年の時、理解のあるおじさんが、親にこう提案してくれました。
「りゅうぞう君には、『お手伝い1回=100円』みたいな報酬制を試してみませんか?」
おじさんの説明はこうでした。
「定額制は『時間の経過』でお金をもらう仕組み。でも数字が苦手な子には『行動の結果』でお金をもらう方が分かりやすいことがあります」
正直、最初は親も半信半疑でした。「甘やかしになるんじゃないか」という心配もあったそうです。
でも、試してみたら…私の「お金への理解」が劇的に変わったんです。
報酬制で変わった3つのこと
1. 「行動」と「お金」が直接つながった
| お手伝い内容 | 報酬 |
|---|---|
| 風呂掃除 | 100円 |
| 皿洗い | 50円 |
| 洗濯物たたみ | 50円 |
| 庭の草むしり | 200円 |
「風呂を掃除したら100円もらえる」
このシンプルな因果関係が、数字に弱い私でも理解できました。定額制の「30日間で3,000円を割り振る」という抽象的な計算は不要でした。
2. 「貯める」という概念が生まれた
欲しいゲームソフトが4,500円。
報酬制になって初めて、「4,500円のために何回お手伝いすればいいか」を考えるようになりました。
- 風呂掃除100円 × 45回 = 4,500円
「45回頑張れば買える」
この発見は、私にとって革命でした。初めて「貯金」というものをしました。
3. 「使う」ことへの意識が変わった
駄菓子屋で500円使おうとした時、頭の中で計算しました(正確には、紙に書いて数えました)。
「500円 = 風呂掃除5回分」
…急に、お菓子より風呂掃除の苦労が頭をよぎりました。
お金が「抽象的な数字」から「自分の労力」に変わった瞬間でした。
実践!報酬制お小遣いの「始め方」と「続け方」
ステップ1:報酬表を作る(視覚化が命)
数字に弱い子どもには、「見える化」が最重要です。
おすすめの報酬表フォーマット
【りゅうぞうのおてつだい表】
☆ふろそうじ → 100えん 🛁
☆さらあらい → 50えん 🍽️
☆せんたくもの → 50えん 👕
☆そうじき → 100えん 💨
☆くつならべ → 30えん 👟ポイント:
- ひらがなで書く(読みやすさ重視)
- 絵文字やイラストを添える
- 冷蔵庫など、毎日見える場所に貼る
ステップ2:「報酬の渡し方」を工夫する
悪い例:「今月は2,000円分頑張ったね、はい2,000円」
良い例:「風呂掃除したから、はい100円」
その場で、現金で渡すことが大切です。
なぜなら、数字に弱い子にとって「貯まった合計額」は抽象的すぎるから。「今この瞬間、100円増えた」という体験の積み重ねが重要です。
ステップ3:「貯金箱」は透明なものを使う
私が使っていたのは、100均の透明な瓶でした。
お金が「見える」ことで、増えていく実感が得られます。
不透明な貯金箱だと、中にいくら入っているか分からず、私には「存在しないお金」と同じでした。
ステップ4:目標を「具体的なモノ」に設定する
悪い例:「5,000円貯めよう」
良い例:「あのポケモンのゲーム(4,980円)を買おう」
数字だけの目標は、私にはモチベーションになりませんでした。「欲しいモノの写真」を貯金箱の横に貼ると、目標が具体的になります。
報酬制から学んだ「投資の本質」
ここから少し専門的な話をします。リハビリ職の方や、投資に興味がある方向けの内容です。
「報酬制お小遣い」と「株式投資」の共通点
実は、報酬制お小遣いで学んだ考え方が、私の投資スタイルの基礎になっています。
報酬制で学んだこと:
- 行動(お手伝い)→ 結果(お金)の因果関係
- 労力を「お金の価値」に換算する習慣
- 目標のために「待つ」という忍耐力
これが投資に応用されると:
- 企業の行動(事業)→ 結果(株価・配当)の因果関係を見る
- 株価を「自分の労力何回分か」で考える
- 長期投資で「待つ」ことができる
私は今、配当金という「定期的な報酬」をもらうスタイルで投資しています。これって、子どもの頃の「お手伝い → 100円」とまったく同じ構造なんです。
株を持っている → 配当金がもらえる
このシンプルな因果関係が、複雑な投資理論より私には分かりやすかったんです。
「計算できない」からこそ辿り着いた投資法
多くの投資家は、PER(株価収益率)やROE(自己資本利益率)などの指標を複雑に計算します。
でも、計算が苦手な私には無理でした。
だから私は、**「この会社の商品を自分は使っているか?」**という基準だけで選んでいます。
- 毎日使うスマホのメーカー
- いつも行くスーパーの親会社
- お気に入りの服のブランド
「使っていて良いと思う会社 = 他の人も使い続けるだろう」
このシンプルな判断基準で、結果的に10年間で資産を増やすことができました。
計算ができないことは、「シンプルに考える力」を身につけるきっかけになったんです。
親御さんへ伝えたいこと
「お金の教育」に正解はない
私の親は、最初は「報酬制は甘やかしでは?」と悩んでいました。
世間では「子どもに労働対価でお金を渡すのは教育上良くない」という意見もあります。
でも、「正しい方法」より「その子に合った方法」を選ぶことが大切だと、私は身をもって経験しました。
お金に弱い子への3つのメッセージ
もし、お子さんがお金の管理に苦労しているなら、伝えてほしいことがあります。
- 「計算ができなくても、お金は増やせる」
- 「人と違う方法で学んでいいんだよ」
- 「失敗しても、それは学びになる」
私は38歳の今でも、スーパーのレジでの暗算はできません。
でも、スマホの電卓を使えばいい。クレジットカードの明細を見れば、使った金額は分かる。「できない」を「別の方法でできる」に変えることが、この社会を生きるコツだと思っています。
【おすすめ】当事者の気持ちがわかる本
最後に、私が心を救われた本を紹介します。
📚 『自閉症の僕が跳びはねる理由』(東田直樹 著)
言葉で伝えることが難しい著者が、13歳の時に書いた本です。「なぜこういう行動をするのか」が当事者目線で語られていて、家族の方にもぜひ読んでほしい一冊です。
📚 『LD(学習障害)のすべてがわかる本』(上野一彦 監修)
SLDについて、専門用語を使わずに解説されています。「うちの子、もしかして?」と思っている親御さんの、最初の一冊としておすすめです。
まとめ:「できない」は「違う方法でできる」の入り口
この記事でお伝えしたかったことは、3つです。
【まとめ】
- ✅ 定額制お小遣いが合わない子には、報酬制という選択肢がある
- ✅ 「行動 → 結果」の因果関係が見える仕組みが、数字に弱い子には有効
- ✅ 「計算できない」は、「シンプルに考える力」を育てるきっかけになる
私は27歳で自分の障がいを知り、38歳になった今、3,400万円の資産を持って生活しています。
その基盤を作ったのは、中学生の時に始めた「報酬制お小遣い」でした。
「うちの子、お金の管理ができない」 「自分は数字に弱いから、投資なんて無理」
そう思っている方がいたら、伝えたいです。
大丈夫。方法は一つじゃない。
あなたに合った方法は、きっと見つかります。見つからなければ、一緒に探しましょう。
このブログが、そのヒントになれたら嬉しい



