確定申告の季節、あなたは大丈夫ですか?

「確定申告」という4文字を見ただけで、胃がキュッと縮む感覚、わかりますか?

私はわかります。というか、わかりすぎて辛いです。

結論から言います。私は確定申告を税理士さんに「丸投げ」することで、人生が激変しました。年間約5万円の出費。でもこれは「コスト」ではなく「投資」だったと、今なら胸を張って言えます。

「いやいや、確定申告くらい自分でやれよ」

そう思ったあなた。正論です。世の中には無料の確定申告ソフトもあるし、税務署の相談窓口だってある。「自分でやれば0円」なのに、なぜわざわざお金を払うのか。

その理由を、SLD(限局性学習症)で計算が壊滅的に苦手な私の実体験をもとに、赤裸々にお話しします。


地獄の3日間——自分で確定申告に挑戦した結果

小見出し:電卓を叩く手が震えた夜

32歳の頃、私は「いい大人なんだから自分でやろう」と、確定申告に挑戦しました。

当時すでに株式投資を始めていて、特定口座の年間取引報告書が届いていました。「数字を転記するだけでしょ」と軽く考えていたんです。

甘かった。甘すぎた。

まず、年間取引報告書の「どの数字」を「どの欄」に書けばいいのかわからない。ネットで調べても、「この金額を○○欄に記入します」という説明が、私の脳内で別の言語に変換されていくような感覚。

何度読んでも、頭に入ってこないんです。

私のSLDは特に算数・計算領域に強く出ます。具体的には:

  • 暗算がまったくできない(12+8すら指を使う)
  • 数字の桁を頻繁に見間違える(10,000を1,000と読む)
  • 計算の「手順」を覚えられない(控除の順番など)

さらにASD(自閉スペクトラム症)の特性として、予想外の事態でフリーズする傾向があります。

確定申告書を前にした私は、まさにフリーズ状態。3日間、リビングのテーブルに書類を広げたまま、ほとんど進まない。妻に「大丈夫?」と聞かれても「うん…」としか答えられない。

結局、計算ミスと記入ミスを何度も繰り返し、3日で合計15時間以上を費やしました。

そして最後に気づいたんです。

「そもそも、これが合っているのかどうかすらわからない」

恐怖でした。税務署から「間違ってますよ」と連絡が来たらどうしよう。追徴課税?延滞税?脱税扱い?

考えれば考えるほど不安で、夜眠れなくなりました。


「助けて」が言えなかった理由

なぜ最初から税理士さんに頼まなかったのか。

答えはシンプルです。「こんなこともできないのか」と思われるのが怖かった。

確定申告なんて、多くの人が自分でやっていること。特に私と同世代のサラリーマン投資家は、YouTubeや本で勉強して、サクッと終わらせている(ように見える)。

「りゅうぞうさん、38歳で確定申告もできないんですか?」

そう言われる想像をするだけで、心臓がバクバクしました。

でも今ならわかります。「できない」を認めることは、弱さじゃない。 自分の特性を理解した上で、最適な解決策を選ぶことは、むしろ戦略的な強さなんです。


税理士「丸投げ」という選択——具体的な方法とコスト

税理士さんの探し方と費用の目安

「税理士に頼む」と言っても、どうやって探すの?いくらかかるの?

私が実際にやった方法と、費用感をお伝えします。

【税理士の探し方】

方法メリットデメリット
税理士紹介サービス(税理士ドットコムなど)複数の税理士を比較できる、無料で相談可能相性が合うかは会ってみないとわからない
知人の紹介信頼度が高いそもそも知人に税理士を使っている人がいないと難しい
地域の税理士会地元密着で相談しやすいネット完結が難しい場合も

私は「税理士ドットコム」という紹介サービスを使いました。無料で登録でき、「個人の確定申告」「投資関連」などの条件を入力すると、対応可能な税理士さんを紹介してもらえます。

【費用の目安】

個人の確定申告を丸投げした場合の相場は:

  • シンプルな給与所得+株式のみ:3万円〜5万円
  • 副業収入あり:5万円〜8万円
  • 不動産所得あり:8万円〜15万円

私の場合、給与所得+株式の配当・売買のみだったので、年間約5万円でした。

「5万円か…高いな」と思いましたか?

でも、ちょっと待ってください。


時給換算で考える「丸投げ」の経済合理性

私が自分で確定申告をやった年、費やした時間は約15時間

仮に私の時給を2,000円とすると、15時間 × 2,000円 = 30,000円分の労働

しかも、この15時間は「精神的に消耗しながらの15時間」です。普通の仕事の15時間とは、疲労度が全然違う。

さらに、こんな「隠れコスト」もありました:

  • 確定申告のことで頭がいっぱいになり、本業に集中できなかった日数:約1週間
  • 夜眠れなくなり、体調を崩した:微熱で2日休む
  • 妻との会話が減り、家庭の空気が悪くなった:プライスレス(マイナスの意味で)

これらを総合すると、「自分でやる」コストは、実質10万円以上だったと思います。

だったら、5万円払ってプロに任せ、その時間と精神力を他のことに使う方がいい。

これが私の結論です。


税理士さんに伝えたこと——「障がい」のカミングアウト

税理士さんとの初回面談で、私はこう伝えました。

「私は発達障がいがあって、計算と数字の処理がとても苦手です。なので、できる限りシンプルに、わかりやすく説明していただけると助かります」

正直、緊張しました。でも、言って正解でした。

税理士さんの反応は、拍子抜けするほどあっさりしたものでした。

「わかりました。では、書類だけ送っていただければ、こちらで全部やりますね。わからないことがあれば、私から電話しますから」

それだけ。

税理士さんにとって、「計算が苦手な人」は珍しくないんです。そもそも「計算が得意な人」だけが依頼してくるわけじゃない。むしろ、苦手だからこそプロに頼むわけで。

私が勝手に「恥ずかしい」と思っていただけでした。


「丸投げ」の具体的な流れとコツ

年間スケジュールと準備するもの

私が毎年やっている「丸投げ」の流れは、こんな感じです:

【年間スケジュール】

時期やること
1月中旬証券会社から「年間取引報告書」が届く
1月下旬届いた書類を封筒にまとめて税理士さんに郵送(またはスキャンしてメール)
2月中旬税理士さんから「確認事項」の連絡(あれば)
3月上旬税理士さんが申告書を提出 → 完了報告

【準備するもの】

  • 年間取引報告書(証券会社から届くもの)
  • 源泉徴収票(会社からもらうもの)
  • ふるさと納税の寄附金受領証明書
  • 医療費の領収書(10万円を超える場合)
  • マイナンバーのコピー

これらを封筒に入れて送るだけ

私は「書類が届いたら、その日のうちに封筒に入れる」というルールを作っています。「後でやろう」と思うと、どこに置いたかわからなくなるので…(ASDあるある)。


デメリットも正直に伝えます

税理士への丸投げ、いいことばかりではありません。デメリットもあります。

【デメリット】

  • 費用がかかる:年間5万円は、人によっては大きい
  • 税の知識が身につかない:自分でやれば勉強になる側面もある
  • 税理士さんとの相性問題:合わない人に当たると、やり取りがストレスになる
  • 緊急対応が難しい場合も:確定申告シーズンは税理士さんも忙しい

特に「税の知識が身につかない」については、私も最初は気になりました。でも、正直に言うと…

「知識より平穏を取りました」

私にとって、確定申告の知識を身につけることより、毎年2月3月を穏やかに過ごせることの方が、圧倒的に価値が高かったんです。


特定口座「源泉徴収あり」でも確定申告した方がいいケース

ここからは少しマニアックな話。中級者以上の方向けです。

「特定口座(源泉徴収あり)」を使っていれば、基本的に確定申告は不要です。証券会社が自動で税金を計算・納付してくれるから。

でも、確定申告した方が「得」になるケースがあります。

【確定申告した方がいいケース】

  1. 複数の証券口座で損益を通算したい場合
    • A社で50万円の利益、B社で30万円の損失 → 通算すると20万円の利益に税金がかかる
    • 確定申告しないと、A社の50万円分の税金(約10万円)がそのまま引かれる
  2. 過去3年以内に損失の繰越控除を使いたい場合
    • 例:2023年に100万円の損失、2024年に80万円の利益
    • 繰越控除を使えば、2024年の税金は0円にできる
  3. 配当金の税金を取り戻したい場合(所得が低い年)
    • 年収が低い年は、配当所得を「総合課税」で申告すると、税率が下がる場合がある
  4. 外国税額控除を受けたい場合
    • 米国株の配当には、現地で約10%の税金が引かれている
    • 確定申告で「外国税額控除」を申請すると、一部が戻ってくる

私の場合、外国税額控除のために確定申告をしています。米国株を持っているので、これをやらないと「二重課税」された状態になってしまうんです。

この辺の判断も、税理士さんに任せると「○○さんの場合は、申告した方が約3万円お得ですよ」と教えてもらえます。自分で調べる時間を考えると、この情報だけでも依頼料の元が取れると私は思っています。

まとめ:「できない」を受け入れた先にある自由

最後に、この記事で伝えたかったことをまとめます。

【この記事のポイント】

  • 確定申告は、SLD(計算障がい)のある人にとって「ラスボス級」の難敵
  • 自分で無理にやると、時間・精神・健康・人間関係、あらゆるコストがかかる
  • 税理士への「丸投げ」は、年間5万円程度で実現できる
  • 時給換算で考えると、十分に元が取れる「投資」になる
  • 「助けて」と言うことは、弱さではなく戦略